お題「告白の作法」

昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
この二人はちょっと訳アリな感じでした。
というのも、近所で噂が広まっていたからです。

村人A「あのじいさんは天狗だ」
村人B「いや、ばあさんが天狗だ」
村人C「いやいや、じいさんが天狗で、ばあさんは河童だ」
村人D「いやいやいや、ばあさんが天狗で、じいさんは地底人だよ」
村人A「なにをう!じゃあ確かめに行こうじゃないか」
村人B「え?それってだるくね?」
村人C「確かにだるいね、じゃあやめよう」
村人D「うん、やめとこう」

こうした噂がとても頻繁に出回るのです。
しかし不思議なことに、
誰かが確かめようと言い出すと、
他の誰かが急に「だるい」と言い出し、
最終的には全員が「だるいからやめよう」で一致するのです。

その数が100回を超えたあたりで、
村人の一人がある衝撃的な告白をしました。
村人Z「わははははは!」
村人Z「聞けい!村人どもよ」
村人Z「わしが天狗である!」
村人Z「わははははは!」
村人Z「わしの術で村人全員のだるみを操っておるのじゃ」
村人A「な、なんだってー」
村人B「え、何その唐突な告白」
村人C「いや告白するにも作法ってもんがあんだろ」
そしたら全員だるくなったそうな。

ー完ー

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