LSEの解法について(EO→LR vs EOLR vs EOLRb)

OHのNRが更新されましたね.ちなみに僕は何も為せなかったので大会レポートは書きません.今回のテーマはLSEの解法,具体的にはLSEの開始時点でどこまで考慮するかについて議論します.

LSEの選択肢

タイトルにも書いた3つの選択肢について,簡単に説明します.詳しくはNR保持者の記事をご覧ください.

EO→LR

おそらくRouxを学ぶ際に最初に教わる方法だと思います.エッジの向き(EO)を合わせてから,ULURエッジを入れます.

EOLR

ULURエッジの位置に応じてEO手順を複数使い分けて,ULURをペアリングした状態にします.いったんDFDBにしまうことを目標にしていますが,1/4の確率でキャンセルが入り,そのままULURを入れることができます.

EOLRb

ULURエッジの位置に加え,コーナーとの色の関係にも着目し,EOとULURを一気にそろえます.基本的な考え方は,複数のEOLRを使い分けることにより,上記のキャンセルが入る確率を1/4より高くしようというものです.

EO→LR vs EOLR

結論から言うと,EOLRを使った方が良いです.

まずトップ層の使用率を見てみます.WR保持者のSean Patrick VillanuevaやOcR保持者のDwyane RamosはEOLRをあまり使いませんが,他は基本的にEOLRを使っています.

各々のメリットとデメリットを見てみましょう.

EO→LR

(メリット)

  • エッジの向きのみに注目すればよいので,判断が簡単.

(デメリット)

  • 手数が多い.

EOLR

  • 手数が少ない.特に,EO→LRと揃えた場合に生じるM' Mなどの無駄な部分も,EOLRを使えばキャンセルを入れられる.

  • エッジの向きに加え,ULURエッジの位置を確認する必要があるので判断が難しい.特にD面の死角に入ってる場合は,裏側などを見ないと判断できないものもある.

EOLRはこういったサブステップにありがちな,手数が減らせるけど判断が難しいというものですね.しかしこのデメリットはほとんど0にできると思っています.それは,CMLLを回す前に読むことです.CMLL手順によるエッジの移動は単純なものが多く,それらを覚えてしまえばCMLLからノンストップでEOLRに入ることができます.ULURが死角にあった場合でも,CMLLを回しながらキューブを少し傾けて確認すれば,あまり時間をロスすることなく判断できます.
よって,EOLRは使うべきだと思います.個人的には,CMLL42手順と同じく,学んで初めてスタートラインに立てる,それぐらいに重要なものだと考えています.

EOLR vs EOLRb

これは非常に難しく,今の時点では結論を出すことができません.

EOLRは上級者から中級者までのタイム帯で広く使用されています.しかし,EOLRbをちゃんと使っている人となるとトップ層でもMagnus LenschやViljo Eloなどに限られます.

各々のメリットとデメリットを見てみましょう.

EOLR

(メリット)

  • エッジの向きとULURの位置のみに注目すればよいので,EOLRbよりは判断が簡単.

  • 一旦DFDBにいれてからM2すると,4c読みが簡単である.

(デメリット)

  • EOLRbより手数が増えることがある.

EOLRb

(メリット)

  • EOLRより手数が減ることがある.

(デメリット)

  • エッジの向き,ULURの位置に加え,コーナーとの色の関係に着目する必要があるので,判断が難しい.

  • そのままULURが揃うと,BUなどの方法により4c読みしなければならず,難しい.

手数が増えることがある,減ることがある,と書いたのは,通常のEO→LRに対するEOLRほど手数の削減が見込めないからです.とはいえ,うまくキャンセルを入れられるパターンの際は手数を削減することができます.
しかし,これには難点があり,それはEOLRbそのものの判断と,4c読みが難しくなることです.EOLRbをCMLL前に読むと考えると,コーナーの挙動まで覚える必要があり,煩雑になります.かといって,CMLLを回してからコーナーの位置を確認するのは少し勿体ないです.
また,4c読みも厄介です.Rouxをやっている方ならお分かりだと思いますが,キャンセルが起こってULURが揃ったとき,4c読みは難しいですよね.瞬発力が求められます.一方,DFDBによる4c読みは判断から次の動作まで余裕があり,簡単です.
しかし,これらのデメリットは判断が難しいという類のもので,将来的にはCMLLでコーナーの位置を読むのは当たり前,BUによる4c読みは一瞬でできる,といった時代が来るかもしれません.

最後に

というわけで,NRが出た記念にLSEの解法をまとめてみました.僕自身もEOLRbは全然使えていないですし,将来的なポテンシャルはある技術だと思います.まだ基本的なEO→LRしかできないという方は,まずEOLRの概念を理解して,少しずつ使えるようになると良いと思います.一方EOLRbの情報は限られていますが,自分で手順を作ることも容易なので,ぜひ一緒に開拓しましょう.

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