虹アニメ13話観た?????
(2020/12/29 追記しました)
観た?????
ぼくは観ました。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の第13話を……。
最高のアニメじゃないですか???
いやー、びっくりしたなー……。ぼく、好きなコンテンツのアニメ化って期待しないで待っちゃうんですよね。裏切られたら怖いから……。だから、いつも「取り敢えずコンテンツが盛り上がって原作サイドが儲かるぞ!やったね!」って、他人事みたいな喜び方をするんですけども。虹についても「悲願だったアニメ化に辿り着いたんだなあ、おめでとう~!」って後方彼氏面……彼氏でもないなこれ。訳知りおじさん面で拍手を送ってたんですね。というかぼくの推し、多分存在そのものがアニメ化の最大の障壁だし……。
というのに、こんな……こんな最高のアニメ化を果たしてくれて……ありがとう……。
↓ これは推し回の記事 ↓
というわけで、今回も限界noteです。
語ればきりがないから、今回はできるだけひとつのテーマについて話すものとします。
ここから選ぶひとつが何かって……そりゃまあ、『高咲侑』です。
わかるね。
させてほしい……高咲侑の話…
元々、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のストーリーらしいストーリーは、昨年10月あたりにリリースされたスクスタ上で展開されていました。同好会のメンバーはお馴染みの9人に、プレイヤーの『あなた』自身。結構明確にキャラクターが設定されてもいるけれど、同時にプレイヤーの分身として位置付けられています。要するに、RPG……ロールプレイングゲームの主人公、というイメージが近いですね。個を持ちながら固有の名前を持たないため、ファンの間では『あなたちゃん』という少し変わった愛称で親しまれてきました。
で、アニメ化。
……えっ、あなたちゃんどうするん?
『あなたってこんな子!』
そうなん???
えーめっちゃかわいいなぼく。わーい。
名前も一般公募で決定され、ここでようやく『高咲侑』となるわけです。
これがまたねー、すげーいい名前なんですよね。あなたちゃんということで名前がYou!というだけでなく、過去主人公の『高』坂穂乃果、『高』海千歌にあやかって『高』咲侑というわけです。侑という字にも「たすける」とかって意味があるらしいよ。あなたちゃんっぽーい。ヒュウ。
とはいえ、スクスタ版まで高咲侑となるわけではありません。
あちらは今も変わらず『あなたちゃん』です。
じゃあつまり高咲侑ってどういう位置付けなの?
つまるところ、虹アニメの主人公・高咲侑の位置付けとは。
それは、アニメ化にあたり固定化されたあなたちゃんの分身、ひいてはあなたの分身……となります。
アニメから入った人にはいまいちピンとこないかもしれないけど、でも、そうなの。
9話までの各メンバー個別回を思い返すと、侑ちゃん、めっちゃスパダリしてたじゃないですか。そんなパーフェクトコミュニケーション連発する?人たらしすぎん?いやまあそれが異質かっていうと主人公無双の作品なんて世に溢れているんですけど、侑ちゃんのそれについては、ぼくは『RPGの主人公』だからと理解しています。ゲームって、基本的にプレイヤーに蹂躙されるようにできてるんですよ。めちゃくちゃ難しいゲームもあるけれど、ゲームオーバーをいくら繰り返そうとも、クリアした後世界にいるのは常勝無敗の最強存在なんですよね。彼女のスパダリぶりを正確に表すなら、『プレイヤー無双』となります。
あなたの分身。高咲侑です。
ところが。
10話で異変が起きます。
いつの間にか、ピアノが上手くなっていた侑ちゃん。
起きた出来事に対処するのではなく、自分の意志で、誰に言うでもなく密かに、それこそ作中で描写されることすらなく練習を続けていたその行動は、『あなたの分身』という在り方から逸脱しています。
これ、まじで心臓止まるかと思ったんですよね。
必要とされ産み落とされた、意地の悪い言い方をするなら都合のいいコピー品だった高咲侑が、いつの間にか一人の足で歩き始めていた。
高咲侑は、『あなた』から『誰でもない自分』になろうとしていました。
まじ?よすぎる……。
「いつかあなたの大好きが見つかったら、今度は私に応援させてください。侑さん自身の、大好きを」
せつ菜のこの言葉で、13話に至るまでの道行きは定まっていたように思います。
そして、12話。
「私ね。音楽やってみたいんだ」
歩夢に伝えたくて、けど何度も失敗しながらようやく口にできた、侑ちゃんの夢。
ここに至るまでの衝突も象徴的で、侑ちゃんの行動はめちゃくちゃ手強い歩夢の葛藤を突き崩すことができず、糸口を拓いたのはせつ菜の激励でした。あんまりどれもこれも一つの結論に紐付けていくのは無粋ではあるけれど、プレイヤー無双の魔法が解けている、という側面も少なからずある気がします。
そういうわけで。
これは、高咲侑が『あなた』から旅立つ物語です。
んじゃ13話に話を戻そうか。
そうして始まるスクールアイドルフェス。
その様子は個性豊かでごっちゃごちゃで、そこかしこ「これは……なんだ……?」みたいな光景になっちゃってるところも含めて、虹ヶ咲って感じがしますね。素敵です。
……あの、ヒーローショー、なんで3人がかりなの???
場面は変わり、歩夢がチラシ配りをしている侑ちゃんを見つけます。
そこで歩夢へ語られた侑ちゃんの言葉からは、その奥底にある不安が伺えました。
「なんというか、自信が欲しいんだよね、私。今から新しいことやるって、やっぱり、大変だろうし。だからさ、このフェスティバルをやりきれたら、私だって、きっとなんとかなるって……怖がらないで、自分の夢に向かっていけるはずだって、思いたいんだよね」
たとえ強く決意を固めようと、新しいことへ臨む時、生まれる不安はどうしたって拭い去ることのできない感情です。
なーんてことを話していたのに、ところがどっこい非情な雨。野外ステージの宿命か、スクールアイドルフェスは大打撃を受けてしまいます。
東雲学院とのコラボステージも幻と消えました。そ、そんな……。
で、この時の侑ちゃんがなーっ!弱い……!
抱える不安の打破をフェスに託していた侑ちゃんにとって、抗うことのできない天候の変化は成功を諦めざるを得ない事態でした。
「雨、止めーっ!」と言って雨が止んだりしたらいいんですけど、それは神話とかの世界です。
できるのは、ただ待つことのみ。
ようやく降り止んだ頃には、既にステージを使用できる時間を回っていました。ただ待つだけだった時間は、侑ちゃんの諦念を膨らませるには十分だったかもしれません。
けれど、誰もが同じように自信を喪失させ、諦めたわけではありません。
侑ちゃんがこれまでに多くの人を巻き込んで広げた熱は、雨にも負けず残り続けていました。
ステージの特別使用のため根回しをしたのは、侑ちゃんではありません。同好会のメンバーでもありません。
ファンは帰るどころか、参加スクールアイドルの誰よりも早くステージに集まっていました。きっとそれも、あさぎたちや今日子たち、名前も知らないスタッフやファンの一人ひとりが動いた結果でした。
歩夢が、侑ちゃんの手を引いて走り出します。
この時、歩夢は息が上がっていないのがあまりにもいい……。
そして始まる、最後のステージ。
「一人で夢を追うことは簡単ではなくて、それぞれが、それぞれの壁にぶつかったけど」
「その度に誰かが誰かを支えて、今日、ついに大きな夢を叶えることができました」
「私達は、一人だけど独りじゃない」
「今までみんなに支えてもらった分、次は私達が、みんなの夢を応援します!」
「これからも、つまづきそうになることはあると思うけど。あなたが私を支えてくれたように、あなたには、私がいる!この思いは一つ――だから、全員で歌います!」
「「「あなたのための歌を!」」」
無理だ!!!こんなん!!!!!
後ろで12話同様のピアノイントロから始まるのとかまじで無理!!!!!
殺しにかかってる!!!!!
歌詞も殺しにかかってる!!!!!
一部のみの抜粋ができなくて、危うく全文掲載しそうになったから各々聴け!!!!!
こんなもん語ったところで言葉が足りるわけないだろ!!!!!
はい無理!!!!!
各々もっかい観てくるように!!!!!
「何事も、全部うまくいくなんてことは、あるわけなくて。実際は、後悔しちゃうことばかりなんだと思う。」
「――でも!」
最後のステージを見届けた彼女は、後日晴れやかな表情で転科試験へ臨み……世界で一番いいEDテーマのNEO SKY, NEO MAP!へ繋ぎ、物語は一旦の幕を下ろしました。
や やばすぎる……。
これは、高咲侑が『あなた』から旅立つ物語でした。
だけど、それと同時に、全てのメッセージは『旅立つあなた』のためのものでした。侑ちゃんはただ『誰でもない自分』へ旅立っていく代表として舞台に立っていただけで、それをしていいのは侑ちゃんだけではなくて。
これは、全てのあなたが誰でもない自分へ旅立つために、背を押す物語。
はー……。
もう…………。
一人ひとりの色を大切にする虹ヶ咲だからこそ描けた、最高のメッセージじゃないですか……?
虹ヶ咲のファンの中に、もしも一歩を踏み出せず、ひとつの大勢に甘んじているあなたがいたのなら。それを送り出すために歌う歌は、他のどんなグループにも歌えない歌だと思うんですよね……思わない……?
そういうことをさ……頑張って言語化してたら、もうぼくは涙でぐちゃぐちゃだよ。
わかったね。
あなたは今、何をしたいですか。
ぼくは、何をしようかな。
……あの、ところで、「私達がご案内します!」って頼もしいスタッフについていった果林先輩、これ結局迷子になってますよね???????なに?????????
(2020/12/29:追記)
……という感じで締めて(?)いたんだけど、これ書いた後にめちゃくちゃ大事なところに気付いてしまったので、書くね。
多分いろいろな感想や考察を巡っていればこんな辺境へ来なくとも辿り着く箇所だとは思うんだけど、そもそも勘のいい人なら自力で気付いているとも思うんだけど、でもぼくは書く……何故なら……書きたいので……。
追記:『夢がここからはじまるよ』の歌詞について
というわけで、フェスの延長ステージで歌われた『夢がここからはじまるよ』の歌詞の話をします。
めっちゃくちゃいい曲だよね……ソロアイドルとしての在り方を確立した虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が、何故グループとしての全員曲へ至るのか。話数を重ねるにつれそのハードルは上がっていったように思うけれど、こんなに美しい回答はあるでしょうか。ねえなー……。
この歌の作曲は、もちろん高咲侑その人です。
では、作詞はどうか。
ことこのアニメでは、作詞・作曲については『胸の歌を信じなさい』というか『細けえこたァ~』の精神で進行してきたんですが、この歌だけは特別です。
だって侑ちゃんが作曲した歌だから。
『作った誰かがいる』ということに大きな意味を持つこの歌は、作中唯一、作詞にも確たるバックグラウンドが必要とされました。
まあ、送り出される侑ちゃん自身とは考えにくいし、そうしたら答えはひとつで、当然同好会の9人ということになるのですが。
ぼくはここまでで納得しちゃってたんですが、これ、作詞の過程がきちんと描写されていたんですね……。
ノートやんけ……。
これ、もちろん「そういえばあのノートについてどっかで触れてたっけ?」という疑問を抱かないではなかったんですけど、13話を観返してると「ウワーッ!!!最高!!!!!」という感情で塗り潰されて頭の片隅に追いやられちゃうんですよね。
昨日風呂に入ってる時急に気付いた。
(急に気付いた時のぼく)
するとこの歌詞は、歩夢が主導して回していることになるんですよね。侑ちゃんにみんなからの感謝を伝えて、生まれた夢を応援するために。自分ひとりでなく、同好会として。
やめて……解像度が上がっちゃう……。
「できたみたいね。東雲学院とのコラボステージの後で、みんな集まれるみたいだから――」
この直後に雨が降ってしまうのですが、果林先輩の台詞からは、このノートを侑ちゃんへ贈る予定だったことが伺えます。
侑ちゃんの夢がみんなへ語られたのは、フェスの前日でした。
フェスの最中にノートを回しながら歌詞をリレーしていくのは、それだけでもかなりの強行軍です。もしかしたら、本当はこの日はノートを贈るだけで、ステージで披露する想定ではなかったのかもしれません。
フェスをやり遂げることができず、挫けそうになる侑ちゃんがいたからこそ、あの日、あの場であのステージが生まれました。
これさあ!!!
材料こそ全て用意されてはいるけれど、作中ではっきり明言しなくていいの!?!?!?
いいの!!!!!!ありがとう!!!!!!
こういう、めちゃくちゃ大事なのに気付かないとわからないこと、ぼくはだいすき。大好物。
最後の回でこういうことして、でもここに気付かなくても消化不良感の出ない作劇、力がありすぎると思いました。
気付く前から泣いていたのに、気付いてからもっと泣いています。
そんで歌詞を読み返してまた泣いてる。
以上。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?