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ポケモンが「ゲームの入り口」として残されている福音

ポケモンシリーズは去年(2021年)25周年をむかえた。
書き手である私は今年50歳なので、最初の「赤緑」をやった頃にはすでに25で、立派な社会人だった(いや立派ではないけど年齢的にw)。
それまでも順調にPCゲームからファミコンなどのコンシューマーゲーを通過し、ドラクエやFFの発売日には休暇をとってやり込む程度のゲーム好きだった。最初のポケモンを買った理由など、おそらく携帯用ゲーム機で<何か>やりたいくらいのものだったはずだ。別になんでもよかった。
セットでかった覚えがあるので。

で、ハマった。25にもなっていたのだが。

主人公の10歳の子供が(御三家とよばれる)最初の3種類のポケモンからパートナーを選び、一緒に旅をしながらバトルを繰り広げて強くなる。
いわゆるRPGだって、旅をしながら強くなるのだから一緒だとおもうのだが、役職もなにもない<ただのポケモン好きな子供>の主人公が、相棒のポケモンを連れて、野生のポケモンとバトルしゲットし、仲良くなって仲間として一緒に戦う。強くなる。各地のトレーナーと交流して、因縁のライバルがいて(そこには友情もあって)、切磋琢磨する。

当時のRPGは割とゲーム設計が厳しくて、中間ボス戦ですらきちんとレベルあげしたりアイテムあつめしとかないと、ヒリヒリのバトルになったりしたものだ(しかもそのアイテムはすでに回収不能だったりダンジョンの入り口まで戻らなきゃならないみたいなことが少なくない)。
が、ポケモンは違った。
チュートリアル的な導入で、手持ち以外も積極的に捕まえて育てていけば、相手の弱点をつく(ジャンケンのように属性で勝ち負け有利が出る)ことが出来、レベル上げをしなくても勝てるというのがわかるのでそのようにするし、たとえ負けても再チャレンジも容易。もちろん、自分の手持ちポケモンを有利不利関係なく、レベルを上げまくれば一点突破で勝つことだって可能だ。
ゲーム内のお金もたまりやすい、アイテムも買いやすい、次の目的地もちゃんと示してくれる親切設計。図鑑だけは友達と交換しないと埋まることはないけど他はだいたいソロプレイでなんとかなる。
(まあそのへんが、ポケモンをぽちぽちゲーといって揶揄する人がいることにも繋がるんだけど)

とにかくそういう<ガイド>が親切なのだ。
多分大人のゲーマーには物足りないと思わせる程度には。

物足りない訳は
「ポケモンの主人公が10歳のポケモン好きの少年/少女、つまり君らと一緒のただの子供だよ?」という設定だからだ。
開発元が見ているゲームプレイヤー像はスレた大人ゲーマーではなく、
あくまでも10歳前後の子供。
下手したら、プレイヤーにとってははじめてのゲームだ。
それを崩さず、ゲームシリーズとして貫いている。
そこが実に素晴らしいのだ。ポケモンは。


(はい長いですがここまでが前提です)

お正月からこっち『ポケットモンスター剣盾(ソード&シールド。2019年11月発売)』をやっている。ナンバリングタイトルとしては8作目?
わたしは『ダイヤモンド・パール(2006年)』以来だ。
それまでも(これからも)アニポケ(アニメ版のポケモン。ゲーム世界とリンクして補完しつつもいつも<サトシ>が主人公なところがゲームとの最大の違い)は見続けていたので、久々感はないが、ゲームとしては久々だ。

最初に『赤緑』をやっていたゲームボーイはモノクロドットだったが、『剣盾』はSwitchでフルカラーでアニメーションがついている。
もうそれだけでたまらないものがあるのだが、相変わらずの親切設計だし、以前より断然ふえたフレーバーテキストのおかげもあって世界観がぐっと広がっていた。

それでもやはりポケモンは「子供のためにある」のだ。
主人公は相変わらずの10歳。
男女キャラが選べて名前がつけられる<自分>は、田舎の農家の一人っ子で、同じ村出身の現ポケモンバトルトーナメントの(10年連続)チャンピオンの弟と一緒に、このチャンピオンから最初のパートナーを渡されて、旅をする。

目標はこのチャンピオンを倒すことだ。

このチャンピオンの弟は従来のライバルキャラなんだろうけれど、ギスギス感はゼロだし、チャンピオンの弟だっていう葛藤が彼にはある。

(なんで、こういう切なさそうな表情すらする)

主人公たちは各地の年齢も性別バラバラな、個性は揃いのジムリーダーを倒しつつ、最後はチャンピオンに挑戦するのだが、このジムリーダー達がまたいい。きちんとチャレンジャーの子供達を育ててやろうっていう意思をみせる。

このジムリーダーは多分50代やと思う。ジムリーダー最高年齢は88歳なので若手なのか。。
若手か?(地域の青年団の平均年齢が50代で若いとかいわれるあれか)
チャンピオンの格好どうかと思ったあなた!わたしも未だにどうかとおもうし、作中のNPCにもどうかとおもうっていわれてるので大丈夫ですw
ちなみにマントはスポンサーロゴだらけ。この剣盾のポケモンリーグは割と商業主義的な側面がクローズアップされてるのも、黒くてなかなかよかったです。

ポケモンのこの<自分をただの子供扱いしない、そして親でも先生でも親戚でもない先輩や大人達の見守りと関わり>が常にあるところ、本当にいいなって思う。昨今の子供は、知らない大人には声かけされたら逃げなさいとかいわれているようだが、知らない大人が見守り育ててくれるという場がここにある、というのがまたいい。
(私は長い間ガールスカウトにいたので、リーダーや高校生くらいのスカウトのお姉さん達との関わりはこういうものであったから、それなりに厳しくとも居心地がよいものであることを知っている。
甘えに遠慮がある分、自分が成長するしね)

そして前述のとおり、ゲームシステムはとても親切設計で、ハードルは低い。ひとつのバトルにかかる時間も短めなので、集中力が途切れがちなお子様にきちんと優しい。
他のゲームならオンラインプレイで知らない人たち(≒大人)と交流なりしてプレイしなければならないフィールドボス(任意)ですら、ネットなしでNPCとともにソロプレイ(擬似パーティプレイ)も可能という子供にも配慮された安全性、自分のレベルにあわせてフィールドボスのレベルも変わる親切設計など、本当に素晴らしい。これでパーティプレイを覚えたら各種ゲームのオンラインプレイだって想像しやすい。

ナンバリングタイトルというものは大概、追っかけてやり続けてくれている古参のゲームファンのために、ついやり込み要素を増やしすぎたり、初期の導入がおざなりになったり、通信対戦やパーティープレイ前提にしたりとやりがちなものだが、ポケモンはあえてそれを<いつもの>システムを8割踏襲することを是としている。入り口を低くしたまま新規要素をすごく我慢してるとこは本当に素晴らしい。
ちゃんと今でも「ポケモンではじめてコンシューマ機をかってゲームをプレイする子供」を見てるのだ。
そしてこの親切設計でやり込みまでしなければ30時間も掛からず終わるのも優しい。そんなにゲームが得意じゃない子が一人で終わらせられるというのはとても達成感的に大事なこと。どんなゲームもエンドロールをみる喜びというのは格別で、それなら次もやってみようってなるじゃない?
ポケモンはこうやって『赤緑』の頃からずっと、ゲーム入門者にとっての面白く正しい<低いハードル>なんだ。
(ちなみにやり込み要素が終わったあとにかなりあり、DLCが2本ほどあるのでここからかなり遊べそう…)

「ゲームの入り口としてポケモンが未だに用意されている」こと、
久々剣盾をプレイしてそれがなんて素敵なことなんだろうと再確認したお正月だった(そしてもうかなり終盤だ。生活をつぎ込んでいるw)

ちなみに
ポケモンは主には「ポケモンバトルでチャンピオンになる」が主軸なのだが、毎回その他のストーリーラインがある。
環境や自然について考えさせられるものが多いのだが、今回はそれがエネルギー政策についてだったのが実に時代だなと思った。

そこで描かれているぱっと見は悪く暴走した悪役のような社長は、自分が石炭で栄えた街の出身で、父親を採掘事故で失くし、母と弟のために急激に大人にならざるおえなかった過去のある人で、彼が新エネルギーに執着したのもやむなしと思わせるなにかがあるのだが、大して本編では語られず、そのへんはテキストでサラッと処理されるので、大人には大人の味わいがあるのも触れておく。まあぶっちゃけ「妄想のしがいがある」フレーバーテキストは各キャラクター毎に山ほど用意されていますw

あとこれとは別に伝説のポケモンは今回も出てきます。
伝説のポケモンあってのポケモン


ゲーム性とは関係ないけど、Switch版、モーションがとにかく細かい。
Switchは短いながらも動画録画できるのでコマ送りもしやすいのだけど、本当に細かく表情つけてモーションついてて見応えしかない。キャラごとの差異とかも比べると本当にいい。そのキャラクターごとの行動や言動がまた味わい深いので、こちらも妄想しがいがあるw
カメラワークもかっこいいのもよかったです。
録画しまくってて全然さくっと進めませんww

ポケモンといえゲーム始まって一番最初にいる太め男性のNPCが
「かがくのちからってすげー」っていうのは、もう1作目からずっとお約束なのです。
ちな2018年の横浜でのピカチュウ大発生でチュウ(コロナで3年やれてない)イベントの
サブタイも「SCIENCE IS AMAZING」だったよ!
かがくのちからってすげー!


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