文劇3のおかげで太宰に出会った話

お久しぶりです。


文劇3を観劇してから、二か月もすれば一年経つらしいです。

文アルはドボドボ沼ってまして、沼も増えた事ですし推し(谷佳樹)(一個前のブログ辺り見て貰えると私が何故彼のバースデーイベントに行くに至るかもわかると思います)も増えて楽しいオタクライフをエンジョイしています。


オタクなのですが、それは私の側面です。オタクである傍ら、私はちいさい頃からの夢である小説家、というものに憧れて小説を書き続けています。いい年して何をという感じなのですが全然諦められません。だからってどんどん公募に出すという訳でも無く、自分で書いて、たまにひっそりとネットに上げたりして、それで満足していました。

自分の話をします。学生の頃の話です。私は夢のために大学に進学して一度夢を諦めました。稚拙な計画のために自分の実力以上の事をしようとして簡単に心が折れました。私の小説はこんなものかと見限ってしまいました。長く書いているから他の人より巧く書けるだけなのだと思いました。才能と呼ばれるものが自分には無く、私がどれだけ小説を愛していても小説は私に寄り添ってはくれないのだと。

多分それが事実なのだと思います。小説は私を愛してはくれなかった。私には小説があるとは言えません。みっともなく縋って、でもどうすればいいのかわからなくて、ずっとただ書いて、でも評価されない小説が増えるだけで、選ばれなかった小説が増えるだけで、何も、創作は楽しくなかったです。

文劇3を観た後、乙女の本棚というシリーズから出ている「女生徒」を読みました。 太宰治は昔から暗そうなイメージがあったし、周囲の人達からも、きっと死にたくなるから読まない方がいいよ、と言われ続けていました。そういう作風なんだろうなと勝手に思っていたし、嫌厭していた時期もあります。

でも。だけど。素敵だった。

瑞々しく描かれた女生徒は、私にとって「ほんとうに書きたかった少女」の姿をしていました。

このひとの、本が、読みたい、そう思って、「斜陽」を読んで、「人間失格」を読んで、「駆け込み訴え」、「きりぎりす」、「千代女」、色々読みました。「女生徒」も文庫本で読みました。

いつの間にか、太宰が好きな作家で、憧れで。私にとっての「灯火」になっていました。 太宰を読んだから書いた話がありました。少女の話をずっと書き続けていて、やっぱり少女の話でした。書きあげた時に、影響されてるなあ、と苦笑した記憶があります。今も、まだ、影響されています。多分ずっと。

私は、本屋でこそ出会わなかったけれど、本を手にとって、読んで、確かに太宰と「お見合い」をしました。まだ読んでいない太宰の有名作も沢山あります。読むのが怖い作品もあります。いつか手を伸ばして、太宰の世界を、もっと知りたいと思っています。もしかしたら、ただ単純に。太宰の作品に恋をしただけなのかもしれません。

太宰の作品に出てくる女達の、これほどに愚かしい、そう思わずにはいられない彼女達の、生命、と言いますか。生々しい感情が、好きです。何かを愛し、何かに縋り、何かに飽いて、何かに倦んで、何かを求める。そういう彼女達が好きです。 こんな風に書きたいと強く思いました。

ただ漠然と、綺麗な話を書きたい、そう思って書いてきました。今だって綺麗な話が書きたいです。だけど、綺麗な少女を書こう、とは思っていないです。生きている、少女を書きたい、そう思っています。

ところで、太宰の名を関した文学賞があります。調べていて知った事で、私にはひとつの目標ができました。好きなひとの名前を冠した賞が欲しい、とは、なんともおかしなことですが、そういう所だって好きなのです。仕方が無い。仕方が無いのです。夢を諦められない、小説しか無い、そう考えている私が、大切に抱えて、道行きを示してくれる、そういう灯火になったのが私にとっての太宰です。

この一年近く、私が自分の物語を書き続けて来れたのは。間違いなく太宰のおかげです。迷う事はあると思います。でも道があるのがわかっただけでも、私にとっては大きな意味のある事でした。

この灯火と一緒に、もう少し、歩いて行きたいです。

今は歩ける事が楽しくて、ずっとずっと歩いていたい、書いていたい、そういう、私です。こんなものかと思った事も、棄ててしまいたかった日も、結局捨てきれず拾い直した夢も。ちゃんと、今は、胸に抱いて進んでいます。 太宰で良かったと思います。私の灯火が太宰で良かった。太宰が良かった。

あの日ステラボールで「文豪とアルケミスト」に出会えて良かったです。 文劇3ありがとう、朔ちゃんが死んでなかったら観に行ってなかったけど全員死ぬとか聞いてないかったからなと未だに友人の事は信用ならないという認識です。朔ちゃんも白秋先生も大好きだし志賀も武者小路も高村先生も賢治先生も中也君も安吾も好きです。本棚は溢れるし墨は足りないしそれでも毎日楽しいです。たくさん本を読んでたくさん書いていきます。


それでは。