中心体

こんにちは。いろはです。今回の「高校生物」は中心体についてです。

中心体は、多くの下等植物や一般の動物細胞の細胞質内にみられる小体です。普通、核の近くにあり、中心にある1〜2個の中心粒とまわりの基質からなります。 中心粒(中心小体)は9本の短い管が縦に環状に並んだ円筒状の物体です。これらは細胞分裂の際に2分して両極へ移動して、二つの中心体の間に紡錘体が形成されます(詳細は細胞分裂のときに)。


 中心体内に存在する2つの中心小体は同質ではなく、”より古い”方の中心小体(母中心小体: mother centriole)はdistal appendageやsubdistal appendageと呼ばれる構造を持っています。distal appendageは一次繊毛形成時に中心体を形質膜へと移動させるのに必要であると考えられています。subdistal appendageにはNineinなどのタンパク質が局在しており、微小管を中心小体に繋ぎ留める機能を持っています。

一般に間期(細胞分裂していない時期で、細胞がそれ独自の働きをしている時期)の細胞では、中心体は細胞体の中心部に位置し周縁部に向かって微小管を放射状に伸ばしています(ただし、中心体で重合した微小管は必ずしも常に中心体に繋ぎ止められているわけではなく、細胞によっては速やかに微小管から放出される場合もあります)。また、中心体のすぐ近くにはゴルジ体があり、微小管はゴルジ体からの膜小胞を細胞膜まで輸送するレールとなっています。

神経幹細胞を含む多くの細胞は一次繊毛と呼ばれる微小管束によって膜が突出したアンテナ状の構造を持っています。一次繊毛は一般的に非運動性で、hedgehogシグナルやPDGFシグナルといった細胞外シグナルや機械刺激に対するセンサーとして働いています。間期の細胞において母中心小体は基底小体として機能し、一次繊毛の基部に停留して一次繊毛を構成する微小管束の伸長を制御しています。

一部の細胞は一次繊毛から派生した二次繊毛(secondary cilia)を持っています。一次繊毛が1つの細胞に1本なのに対し、二次繊毛は細胞種により複数(時には数百本)形成されることがあります。複数の二次繊毛が形成される際、中心小体は細胞周期を無視した機構により複製され、繊毛と同数の基底小体が形成されます。二次繊毛を構成する微小管束はダイニン分子と結合し、その滑り運動により繊毛打を発生させます。

今回はここまでです。
次回は細胞壁についてです。

いろは。

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