細胞壁

こんにちは。いろはです。今回の「高校生物」は細胞壁についてです。

細胞壁は細胞膜の外側を囲っている細胞外マトリックスです。細胞壁をもつ生物は植物、キノコやカビなどの真菌類細菌類であり、動物細胞には存在しません

植物や酵母などの細胞および細菌細胞の細胞膜の外側をおおう機械的に強い構造体です。細胞壁は光学顕微鏡でも観察できます。植物や酵母においても細菌においても糖が多数結合してできる多糖類が主成分です。
 細菌の場合、2種類の糖が交互につながった長い多糖の鎖の間を特別なアミノ酸からなる短いペプチドの鎖がつなぐ網状の構造をとっています。つまり、細菌の細胞壁は、細胞全体をおおう袋状の構造のすべてが共有結合でつながった分子量数十億の巨大分子と見なすことができます。この分子の形が細胞の形を決めているので、細胞分裂の時には古い細胞壁の分解と新しい細胞壁の合成が適切な場所で順序よく進行する必要があります。ペニシリンをはじめとする抗生物質には細胞壁合成反応を妨げるものが多いです。

植物と真菌類、細菌とでは細胞壁を構成する成分が異なります。植物の細胞壁は主にセルロースやヘミセルロース、リグニンから形成されています。一方、真菌類はキチン、細菌は糖鎖とペプチドの化合物であるペプチドグリカンが主成分となっています。
植物の細胞壁は、細胞表面に構築される薄い一次細胞壁と、伸長終了後に一次細胞壁の内側に構築される二次細胞壁の2種類に分類されます。一次細胞壁の主要な構成成分は、グルコースが直鎖状に重合したセルロースで、通常は30~36 本のセルロース分子がシート状の束になり結晶化しています。このセルロース微繊維間をキシログルカンなどのヘミセルロースが架橋することで、一次細胞壁の格子状の基本骨格が形成されます。化学的に安定なセルロース微繊維間を切断や繋ぎ換えの容易なヘミセルロースで架橋することで、一次細胞壁は硬さだけではなく、伸展などを許容する柔軟性を兼ね備えています。二次細胞壁はリグニンが多く付着する場合(木化)とスベリンが多く付着する場合(コルク化)があり、、導管や繊維などの細胞をより強固な構造にしています。
真正細菌の細胞壁に特徴的なのは莢膜の存在です。莢膜とは細菌が分泌した多糖やポリペプチドが形成する細胞表面の層のことで、生物学的には莢膜の有無で判別できるグラム染色による分類に利用されています。グラム染色で紫色に染まるものをグラム陽性細菌、紫に染まらず赤く見えるものをグラム陰性細菌といい、グラム陽性細菌とグラム陰性細菌とではグラム陽性の物の方が厚い細胞壁を有しています。

細胞壁には原形質連絡と呼ばれる部分があり、そこでは隣合う細胞どうしの細胞膜が繋がっています。多くは滑面小胞体が連結した管が見られ、細胞どうしの物質のやり取りを効率化しています。

今回はここまでです。
次は液胞についてで、細胞小器官や細胞の構造の詳細についてはラストになります。

いろは。

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