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[詩] 崖の上の二人

君と僕は、
どういうわけか、
切り立った崖の
上に立っている。

グランドキャニオンみたいなところだ。

二人とも、
絶対絶命みたいな場面
なのかもしれない。

君がどうしようかと
思っている
まさにその時、
僕は、崖から
下に向かってとびおりる。

なんて、こと
するんだ、

君は叫んだの
かもしれない。

でも、
僕だって、
君が思うほど
無謀じゃない。

僕の背中には
羽根がついていて、
とび降りたあと、
どこかの時点で
風にのって
飛んでいったんだ。

本当は、君の背中にも
羽根はついている。

でも、君をそれを知らない。

だから、そこに立って
僕を信じられない顔で
見送っている。

君にも
羽根があるんだと
昨日の夜、
君に伝えたのだけれど、
君は、僕が、
冗談を言っていると思ったようだ。

それに
壁の上で、
そのことを
忘れてしまっている。

崖の下から吹き上げる風が
君を怯えさせる。

本当は、その風すら
君のために
吹いていると言うのに。

僕は、君が、
納得するように
その羽根のことを
伝える術を
持たない。

実は、
僕だって、この前まで
自分に羽根があるのを知らなかった。

僕にも君にも
誰かを
説得できない。

そんな
ことも
あるんだ。

ぼくは
とべば
開く羽根を
もっている。

そして
君も。


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