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短編物語(フィクション)& 詩

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作った短編と詩を集めています
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#水彩画

[詩] スズメ

しっているとおもってたこと ただしいとしんじてたこと ちがってた ちがってるんだろう ちがってるカノウセイがあるぞ となって なんだなんにもしらない わからないじゃないかと ソクラテスが ただしかったんだろう しらないことをしらないのが ぷろぶれむといったらしい そのソクラテスでさえも プラトンが ソクラテスがいったと かいたのだけで ほんとのところ いったかどうかもわからない ほんじゃ ”じじつ”とは じぶんがみたことと あったことがあって しんらいできるひとが み

[詩] モグラが10匹

土の中 前かきで トンネルつくって 進んでいる 一心不乱で、 スピード狂の奴やら ときどき 休んで昼寝の 若い女の子 一直線の奴やら ぐにゃぐにゃまわりの子やら 不思議なことに お互いの様子が、見えないらしい。 前だけ見ている。 仲間を探して、 進んでいるのか、 他のモグラの存在を 知らないのか。 なお、 観察している われは、 モグラではない、 と思われる。

[詩] るるる

この時代がすぎて、 波のしぶきの先っぽの 水滴が 全部どこかにきえて 数々の ブロークンハートや 残った轍のあとや 重かった荷物や 足の痛み 打ちひしがれて 泣いた時間が どこか なつかしく あれは、あれで るるる となる 必然

[短編物語] 『おこられ女』

私、どこ行っても怒られるんです。 今日も、朝から旦那に怒られました。旦那は、トイレのドアが開いてるのが嫌いなんですけど、私、いつも忘れて開けっ放しにしちゃうんです。お前は、何回言ってもダメだと、怒鳴られました。「ごめんね。」って言ったんですけど。そしたら、それも気に障ったらしく、さらに怒ってました。あと、さっき、洗濯したんですけど、旦那の使ってる布団を洗わなかったんで、怒られました。家、洗濯機ないんで、コインランドリー使ってるんですけど、お布団持っていくの重いんで大変なんで

[短編物語] 雲と ヨーロッパ・スターリング

家にいずらくなり、手ぶらで外出した。無人のバスケットボールコートの上に、紫に近いピンクの雲の帯が広がっていた。一瞬、「あぁ、夕暮れ時なんだ」と思ったけれど、考えてみれば、そちらは東側の空である。頭上を見上げると、透明セルリアンブルー。昼間の空のよう。西側の空は、灰色と白の混じった薄い雲で覆われている。6月なので、ニューヨークで、太陽は8時過ぎまで沈まないはず。見回しても、太陽の姿は、見えない。 ピンクの雲の様子を、写真に撮りたいと思うのだけれど、携帯電話を持っていない。確か