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【高校生向け】ロールモデル 清水 孟彦さんインタビュー

☝インタビュイー 清水孟彦さん <プロフィール>
岐阜県立関高校出身。/九州大学共創学部の3年生。/ 趣味は野鳥観察。http://kyoso.kyushu-u.ac.jp/ (「共創学部」って?)
大学では、生態学や生物多様性について学んでいる。環境と生物の関係だけではなく、人間社会との関係性も加えた地域主体の環境問題の解決策を研究中。他の活動としては、大学入学後も語彙力を伸ばすことを目的として英単語帳、「ワードクエスト」の作成にも携わった。
https://wordquest.gob.jp/ (「ワードクエスト」プロジェクト紹介)

直感的な「楽しい」という判断基準

ーまずは自己紹介をお願いします。
清水 九州大学共創学部3年の清水孟彦です。大学で興味を持っている分野は自然環境系で、生物と、生物が住んでいる環境と、そして人間、この3者がどんな関係なのかを勉強しています。最近は(外出自粛で)なかなか外出ができないんですけど、野鳥観察が趣味なので、そこらへんを散歩しています。
ー野鳥観察、いいですね。じゃあ共創学部に入ったのも自然環境系の勉強がしたくて?
清水 いや別ですね。(AO入試の)志望理由書は何書いたかなあ。貧困問題とか発展途上国支援だった気がしますね。
ーおぉ、文系ですね。そこからどうして自然環境系に?
清水 共創学部で問題解決を口すっぱく言われるなかで、開き直っちゃったんですよね。大学に入って、貧困から始まって、たとえば経済とかスタートアップ系もやったし、心理学とかAIとかいろいろ興味を持ったんですけど、どのテーマでも将来の自分が楽しくやってる姿を想像できなくて。
ー楽しくやってる姿、ですか。
清水 そうです。で、結局どのテーマでも問題解決なら、自分が1番楽しくできるのは何かってことを考えた結果、人生で1番楽しかった思い出が生物系だったので、直感で選びました。
ー直感だったんですね。
清水 この先一生かけて極めることを考えるとどれを取るか難しくて。深く考えると迷っちゃうので、最後はしたいっていう直感でしたね。コンマ何秒の世界ですよ(笑)

思い返せば身近だった「自然環境」

ー先ほどおっしゃっていた人生で1番楽しかった生物系の思い出ってなんだったんですか?
清水
 もともと両親が植物系の仕事をしていたり、祖父が鳥がすごい好きだったりするのもあって、小学生のころから博物館とか裏山によく連れて行ってもらってたんですよね。そういうところから自然がすごく好きになって、小学校高学年のときは生態系保全会みたいなNPOに入って活動してたぐらいだったので。
ー生物系一家なんですね。
清水
 あとはムシキングの影響もあるかな、わりと(笑)
ーなるほど(笑)。中学生になったらそういうことからは離れちゃったんですか?
清水
 そうですね。中学高校は部活でやってた柔道が忙しくて、生物系には一切関わることがなくなっちゃって。それで大学に入って勉強してるうちにその記憶がふと蘇ってきたというか、そっち方向に行こうかなと思ったわけです。

課外活動に励んだ高校時代

ー清水さんは岐阜県出身ですよね。なぜ九州大学に進学しようと思ったんですか?
清水
 共創学部に行きたかったっていうのが1番ですね。教室にパンフレットがあって存在を知って、ただ僕らが入学する年にできるってこともあって、共創学部って名前はイメージがつかないし、中身を見てもすごいことは書いてあるけど結局よく分からなくて。それに当初は英語や言語学に関心があったので東京外国語大学を志望していたんです。ただ進路相談のときに「お前は総合大学に行ったほうがいい」と言われて。当時から社会問題には興味を持っていたんですけど、そういう人は総合大学でいろんな学部の人に関わって視野を広げたほうがいいぞということで。そのときに勧められたのが九大の共創学部だったので、受験しました。
ー先生の勧めが大きかったんですね。
清水
 そうですね。ただ僕も社会のために何かしたいという思いはあったので、問題解決をやっているという共創学部には興味はあって。今思うとすごい良かったなと思いますね。
ーもともと福岡には縁があったんですか?
清水
 高校一年生のときに宗像で開かれた「高校生のための日本の次世代リーダー養成塾」に参加していて。そのときに福岡っていい街だなあって思ってたので、進学先は福岡か東京にしようかなって考えてましたね。
ーなるほど。課外活動にも励んでいたんですね。
清水
 高校がSGH指定校で、毎年いろんな講演会があったり、英語で成果発表をしたりしていました。そういうのは全員参加なんですけど、その進路担当の先生がそれ以外の有志による課外活動にも力を入れていて。先進的なものでいうと、隣の愛知県にモンキーパークっていう動物園があるんですけど、そこで京都大学の類人猿研究所と一緒にゴリラの研究をしてましたね。個人としても、高校3年生のときに模擬国連に出ました。いいきっかけを提供してくれたなと思います。
ーそういった課外活動の情報はどういうところからキャッチしていたんですか?
清水
 模擬国連は先生から勧められて参加しました。リーダー塾は学校の掲示板でたまたま見つけたって感じです。昔からリーダーをやる機会が多かったので、力試しをしたいなっていう思いもありました。
ーわりと情報提供をしてくれる高校だったんですね。
清水
 そうですね。AO入試や推薦入試にも力を入れていたり。意欲のある学生には道を開いてくれる感じはありましたね。

モラトリアムのモラトリアム

ーそんな高校生活・進路選択を経て入学した共創学部。実際に入ってみて良かったなと思うことはどんなことですか?
清水
 いっぱいありますよ。でもやっぱりいろんな分野の先生と出会えたことは自分にとって貴重だったかなと思いますね。視野を狭めるのではなく広げてくれた。あとは英語かな。共創学部は英語に力を入れているんですけど、そこで鍛えられたのは良かったと思いますね。それに自分が生物系のことに興味を持てたのも、ある意味共創学部だからこそだと思うんですよね。
ー共創学部だからこそ?
清水
 はい。たとえばもともと興味があった貧困問題を勉強するために経済学部に進学していたら、生物系のことに全く関わらないってことはないかもしれないけど、それでも今ほど簡単にはテーマ変更できないじゃないですか。でも共創学部は言ってしまえばモラトリアムのモラトリアムみたいな感じなので(笑)。そういう融通が利いたっていうのはすごい僕にとっては良かったですね。
ーなるほど。考え直す余地があるということですね。
清水
 まあやっぱり高校までの経験で進路を決めるっていうのは難しいんだなって思いましたね。大学に入って、1年生のときの一般教養科目とか、あとはサークルに入ったり、それこそ総合大学ならではの特色なんですけどいろんな学部の人の話を聴いたりとか、そういうことを通して、明らかにそれまでの価値観とか視野が広がったので。その中でやっとゆっくり考えることができたっていうのが共創学部の1番いいところなんじゃないかなって思います。
ーこれからの大学生活の展望はありますか?
清水
 共創学部のカリキュラムに沿って勉強していくっていうのがやっぱりありますね。この時期はいろんな知識を貯めていく時期だと思いますし。そのなかで生物系・自然環境っていうテーマの中で自分が極めたい具体的なトピック・研究テーマを決めていきたいです。卒業後は今のところは大学院に行って研究者になりたいと思っています。自然環境の良さや身近な自然の楽しさっていうものを広げていきたいですね。やっぱり自分は1番それが楽しかったので。
ー大学院はどこに進むのか決めてるんですか?
清水
 正直まだ決めてないですね。九大にそのまま残るのか、東大京大に行くのか、もしくは海外に行くのかっていうのはまだまだ全然です。
ーその判断基準っていうのは?
清水
 さっきも言ったような自分がやりたいことっていうのは一つですけど、それだと複数出てくると思うので、あとは周りの先生とかに相談しながらって感じですかね。ただまあ最後に決めるのは自分自身なんで、そこは直感なんじゃないかなとは思いますけどね。
ー再び直感の出番ですね(笑)
清水
 そうですねー、どうしても迷っちゃうので。誰か僕の代わりに決めてほしいって思いますもんね。
ーいいんですかそれで。もうサイコロで決めるとか?
清水
 ほんとにやろっかなって思ってるんですけどね(笑)
ーちょっと共創学部としてあるまじき発言ですね(笑)
清水
 今のはカットで。(笑)

今やっていることを精一杯やれば道が広がる。

ー最後に高校生にメッセージをお願いします。
清水
 やっぱり、今できることを精一杯やってほしいかなって思いますね。目標を持つことも大事なんですけど、やっぱりできることには正直限りはあるので。ただ、今やっていることを精一杯やっておくと、道がどんどん広がっていくと思います。具体的には今は高校の勉強や部活をしっかりやってほしいなって僕は思いますね。やる意味あるのかって思ったりすることもあると思うんですけど、それを一生懸命やっていくことでどこかで役に立つと僕は思うので、最大限今できることをやってほしいです。逆に言えば将来のことに対してはそんなに不安を持たなくていいと思うので、今できることを一生懸命やってほしいなと思います。

iRODORu 清水さん 本人写真