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12冊目 『「見方・考え方」を働かせる算数授業』

現職時代、縁にも恵まれ多くの書籍や冊子の原稿執筆を経験しました。 勤務校の仕事ではないですから、夜中や明け方などの時間を何とか確保し取り組むわけです。あるいは、休日に、家族との時間を拝借して取り組まざるを得ない場合もありました。内容や程度にもよりますが、いつもそれなりの負担感はあります。しかし、出版社を通して「世に出る」「形として残る」というのは、やはり嬉しいですし誇らしい気持ちになりました。その気持ちがあったからこそ、いつも頑張ってこられた気がします。 私が経験したのは

11冊目 『子どもと学校』

私が大学生のときに出会った、『子どもと学校』という本。 この中に、 「関心をもって見守る」 という項があります。 全体を通してとても勉強になったし、繰り返し読む程気に入ったのですが、この「関心をもって見守る」に書かれていることは特に共感した記憶があります。 今回改めてその部分を読んでみましたが、学生時代に私の中に湧き上がった感情がリアルに思い出されてきました。 「こういう教師になりたいな。」 「自分はこういう教師になる。」 確かに、そんな気持ちになったのです。

Book_s アルバム 1~10冊

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10冊目 『受動から能動へ』

現職時代、算数に関するかなりの量の書籍を読んできました。 その中で、私が最も影響を受けた本を一つ挙げるとしたら、迷わずこの本を選びます。 読むたびに、自分の目指す姿と、自分の現在地が分かる。 350ページを超える量の本なのに、気付くと一気に読んでしまっている。 ノンフィクションの実践本であり、理論書でもあり、単純に読み物として面白い。今回は、そんな私の大切な一冊に関する話です。 ・・・・・━━━━━━━━━━━・・・・・ 新卒間もない頃。 膨大な業務に追われ、手応えも

9冊目 『はじまりの日』

「小学校って何をするところですか?」 という質問を不特定多数の人にしていったとしたら、みなさん何と答えるでしょう。 「国語とか算数とかを勉強するところ」 「たくさんの友達と楽しく過ごすところ」 「1人でいろいろなことができるようになるところ」  … こんなものがオーソドックスな反応かと思います。 今回の『はじまりの日』という本は、冒頭の質問に対し、少し違った視点で答える、そのきっかけとして紹介するものです。 ・・・・・━━━━━━━━━━━・・・・・ 授業参観日に

8冊目 『てぶくろをかいに』

幼稚園なのか、小学生なのか。そこははっきりしませんが、小さいときにこの話を読み、「いい話だなあ。」と思った記憶はあります。そのときの感覚をあえて表現してみるとしたら… 「出す手を間違えても手ぶくろを買えてよかった!」 「ぼうし屋のおじさんはいい人だなあ。」 「おかあさんぎつねは、そんな心配しなくてもいいのになあ。」 と、こんな感じでしょうか。ハッピーエンドの物語でほっとした感覚もあったはずです。 でもこの物語、大人になって読んでみると、また違った見方ができるなあと思いま

7冊目 『ごんぎつね』

新美南吉の作品は、小学校の教材として縁があります。最も有名なものは、「ごんぎつね」でしょうか。小学校4年生の国語の教科書に載っています。(最初に取り上げられたのは1956年 (昭和31)の大日本図書のようです。それくらい教育現場では古くから馴染みのある物語なのですね)。「ごんぎつね」の他にも、「あめ玉」という物語が5年生の教科書に掲載され、かつてその授業を行ったこともあります。短い物語ですが、登場人物たちの気持ちの揺れが、軽妙な感じで描かれていました。 小学校4年生の担任に

6冊目 『ねえ、ぴよちゃん』

我が家でとっている「北海道新聞」。 朝刊に毎日掲載されている4コマ漫画、それが『ねえ、ぴよちゃん』です。 私は、漫画家青沼貴子さんの描くこの『ねえ、ぴよちゃん』がとても好きなのですが、7歳の長女も同じくぴよちゃんファンです。そして、60代の私の母親もやはりぴよちゃんを好んで毎日読んでいると聞きます。 7歳と、41歳と、60代と。 こんなにも幅広い年代に好んで読まれる漫画など、そう世の中にはないのではないでしょうか。私の知る限り、他に思い当たりません。 『ねえ、ぴよちゃん

5冊目 『アイディアシートでうまくいく!算数科問題解決授業スタンダード』

教育社会学の分野で見られる「教師のライフヒストリー」研究というものがあります。教育的な信念や学校観・教師観などがどのように形成されたり、変化していったりしたかについて、インタビューなどの手法を用いて分析するものです。 もし仮に私がその研究の対象者になったとしたら、教師観や授業観、仕事に対する向き合い方が大きく変わっていった節目がいくつかあることに気付くはずです。 その節目の一つが、この著書の原稿を執筆した頃にあたります。 新卒一年目から専門を算数教育に決め、いろいろと取り

4冊目 『ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ』

『ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ』が好きだ 昔から この本が好きだ 林明子さんの 絵が好きだ 『クリスマスの三つのおくりもの』も好きだ 『ふたつのいちご』が 特に好きだ おばあちゃんの説明と ぼく一人で来させるチャレンジがよい クライマックスの 家をこっそり覗く見開きが 立て続けに来るのがよい 最後に食べるケーキと ケーキを食べるぼくの顔と ケーキを食べるぼくの顔をみつめるおばあちゃんの顔が とてもよい

3冊目 『「学級崩壊」をどうみるか』

私が大学生のとき、「学級崩壊」をテーマに卒業論文に取り組んだ。 なぜこのテーマにしたのか。それは、一言でいうと、「恐怖」からであった。 大学の講義で初めてその「崩壊」たる教室の映像を見た。 そのときまで、そういう現象も、そういう名前も、何も知らなかった。 もちろん自分自身が小学生や中学生だったとき、教室はそんなのとは無縁だった。 「崩壊」の映像は、一瞬で私の脳の奥深くに食い込んだ。そして、ことあるごとに、その映像がフラッシュバックされた。いくら取り除こうと思ってもできない。

2冊目 『空の名前』

大学生になって、一人暮らしを経験した。 世の中のことを何もわかってないまま、ただ3月から4月になって、ただ所属が高校生から大学生になっただけのただの18歳が、食事から何から全て自分でやることになる。 今振り返ると、よく4年間大きな事故や事件にも巻き込まれず過ごせたものだと思う。特に最初の1年目は。何かの巡り合わせやタイミング、運がちょっと違った展開を見せたなら、全く想像もしない4年間になっていたかもしれない。良くないことや良くない人たちがこんなにも巧妙になってきた今の世の中だ

1冊目 『泣いた赤鬼』

小学生だったころから、この話が好きだった。 当時は、その「好き」のわけをはっきり言語化できなかった。 けれど、なぜが心に残って仕方なかった。 小学生だったころから、この話の読後感が気に入っていることは自分でも分かった。 なんとも表現できない切なさに惹かれていたと思う。 身の周りにあった絵本や物語は、だいたいがハッピーエンド。 けれど、この話はそうではなかった。 大人になってから、道徳の副読本で久しぶりにこの話に出会った。 かつて自分が読んだときの、その感覚を子どもたちにも