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LGBTQアライ vol.2 やすしみょん 中編

こんにちは、irOdori(イロドリ)です🌈

今月6月は、LGBTQなどの性的マイノリティの方々の権利向上を促すプライド月間です🏳️‍⚧️Happy Pride🙌

このプライド月間は、irOdoriの活動を始めてから出会ったアライ(Ally)の方々をご紹介していきます!
アライの意味は「LGBTQなどの性的マイノリティの方々に寄り添い支援・活動する人」と言われますが、アライの方々は実際何をしているのでしょうか?

今回は、YouTuberやすしみょんとirOdori代表彩夏アライ対談中編!

この対談はやすしみょんさんのYouTubeでも公開しております🎥ぜひこのnoteと合わせてご視聴ください!

前編はこちら👉

アライはLGBTQのことを理解している?

彩夏:要は、受け止めようぜっていう。目の前の人を否定するのは違くない?って思います。

やすしみょん(以下やすし):そう、そう。否定しなきゃいいだけなんです。

彩夏:「あ、そうなんだ」でいいじゃん。受け止める=「え?そうなんだ、私は受け止めます」とか「超理解しています、最高!」みたいなのじゃない。「あ、そうなんだ。へー。で?」 みたいな。これが私の「受け止める」です。

やすし:それがベストだと思います。「え、まじすか。でも俺、アライだから大丈夫っすよ」とか「どんな性自認のあなたでも俺は大丈夫。だって俺、アライですから」みたいなのも違うじゃないですか。

彩夏:無理、無理(笑)。それはアライじゃない。

やすし:アライって何?って説明を求められることが結構多くて。

彩夏:私もあります。

やすし:そこで、気の利いた答えを返せないとめちゃめちゃディスられるんじゃないかみたいな恐怖がすごくあります。「あ、やすしさん、アライなんですね。アライって理解者ってことでしょう。理解してくれているんですね」みたいなことを先走って言われることがあるんだけど、「いや、俺全然あなたのこと理解してないよ」みたいな(笑)。

彩夏:確かに。会った瞬間に相手を理解するのは不可能ですからね。

やすし:全然理解してないし。何ならLGBTQの人たちのことを理解なんてしてないんですよ。理解できるとも思ってないんですけど、何か?みたいな。

彩夏:そうなんですよ。別にアライは理解者じゃない。本当にその人の身になって、全く同じ経験をしないと理解できないと思っている。

やすし:だって、僕と彩夏さんだって絶対分かり合えない。

彩夏:絶対分かり合えない。生まれてからこの方、全く違う環境で生きてきてて、想像はできるけど、理解はできない。それをちゃんと認識できるかっていうところですよね。

やすし:だから、理解していないことを理解できるかどうかってことですよね。

彩夏:わかる、まじでそれ。それも前インタビューで「そうなんだ、わかるよ」とか言わなくていいってことは話したことがあります。

やすし:「私理解しているし、偏見ないから」っていうやつが一番理解していないし、偏見ありますから。

彩夏:そうそう。「偏見ないから」って言う人に、偏見ないことないから。

やすし:そういう人が地雷です。

彩夏:地雷、地雷。それはアライじゃない。

アライはほっといてあげられる人

やすし:じゃあアライとは何ですか?

彩夏:理解できないけど、相手を想像し、相手の気持ちとかを「ああ、そうなんだ」と尊重する人って言うかな。相手の気持ちとか行動を尊重する人。尊重するっていう言い方がわりと私好きです。抽象的なワードですけど。

やすし:俺、尊重できてるかな。尊重するっていうのは、ほっといてあげられる人のことでいいですか?

彩夏:うん、否定的に突っ込まない人。

やすし:じゃあそこの点では分かり合えている気がする。

彩夏:考えてみてもらったら、例えばもし世の中が同性愛者が当たり前で異性愛者が当たり前じゃなかったとき、私が「夫がいるんです」と言って「夫がいるんですね。あ、そうなんですね。でも私、アライだから理解してます」って言われたら、どう思います?っていう話ですよね(笑)。
 やすしさんも「彼女がいるんです」と言って「え、彼女なんですか。女性なんですね。でも、私、アライだからすごい分かります」って言われたら、どう思います?

やすし:彼女いねえんだな、俺。

彩夏:そこを頑張って想像してほしい(笑)。とりあえずこの会話が気持ち悪いことは何となく伝わってほしいんです。

やすし:気持ち悪いと思います。誰もあなたに理解してもらおうなんて思ってないよ。あなたに認めてもらおうだなんて思ってないよ。

彩夏:そうなんです。別に認める、認めないとか言いたいんじゃなくて、自分の好き勝手やっていることに口出したり手出ししないでくれれば、それでいいわけなんです。それをする人っていうのがアライかな。

やすし:じゃあ、何もしなくていいってことじゃん。

彩夏:わりと真意かもしれない。

声を上げることをためらわないで

やすし:いやでもそれはアライの前提だと思う。それ前提で、さらに一歩踏み込んでいうと、恋愛や性欲、性自認っていう思考か何かがいわゆる多数派ではない人たちに対して、何か文句を言うやつを目にしたときに声を上げられるかどうかっていうのも大切だと思うんですよ、僕は!

彩夏:それ、やすしさんの推しポイントですね。ここも議論のポイントですよね。

やすし:声を上げることでディスられる問題がある。まあ、声を上げるっていうのはそういうことなんですけど。声を上げることでさんざんひどい目に遭ってきた私ですから。

職場でトランス差別を目にしたときに「それってどうなんですか」って声を上げたらチームを干されたみたいな経験もあるし。LGBTQの人をサポートするNPOを手伝っていたときですら、あるトランス差別的な事件に対して、「これって団体としてどうにかしなきゃいけないんじゃないですか」みたいなことを言ったら、ボロっかすに、人格否定レベルで文句を言われたことがあって。

わりとパターンはあるんですよね。一つは、いわゆるLGBTQ界隈。業界ですよね。業界という言葉をあえて使っちゃいますけど、「業界的に、誰々さんがこれまでこういうことで尽力してきたみたいな背景も知らないおまえが何を言うか。歴史を知れ」みたいな。歴史っていっても、ストーンウォールがどうとか、ギルバート・ベイカーが、ハーヴェイ・ミルクがとか、そういう歴史ではなくて、例えば「新宿2丁目にはこういう人たちが活躍していて、こういうお店だったりコミュニティー・スペースがあって、その業界のこと、もしくはそこの有名どころの何々さんの背景を知らないおまえが何を言うか」みたいなふうに言われる。要は「おまえは黙ってろ」「よく分かってないやつは口出すんじゃない」っていうパターン。

彩夏:いやー、想像できるな。

やすし:もう一つが、「いやいや、私は当事者だけど、この件を私は差別だと思ってないから、そんなかき回すような余計なことをしないでくれ」っていうパターンがあって。でも、この2パターンともおかしいんですよね。

 1つ目の「業界のことを知らないおまえは黙ってろ」っていうパターンは、差別を目の当たりにして「これは差別だ」と声を上げるために業界内で何年以上の経験が必要とかあるか?っていう話で、そんなわけねえだろうと。「いや、これは差別だ。これはいかん」と思ったら、「これはいかん」と言うべきだし。

 もう一つは、好感度がめちゃめちゃ低いことをいうと、「俺は当事者だけど差別だと思ってないし、おまえの勝手な想像で余計なことを言わんといてくれる?LGBTQがこういう面倒くさいやつだと思われたくないんだよね」みたいな話をしてくる皆さんに対しては!

彩夏:誰だ(笑)。

やすし:いや、あなたのためじゃないんです。あなたのためじゃなくて、クローゼットな、ひそかに声を上げられずに傷ついている誰かのためにアライである俺様が声を上げているのであって、差別を受けていないと言っているあなたのために声を上げているんじゃないんです。だから、あなたのほうこそ黙っててもらえませんか。あなたは眼中にないです、すいませんっていう話なんです。あなたが差別を受けていないと思うんだったら、それはそれでいいですっていう話なんです。

彩夏:女性活躍みたいなことと全く同じことですね。もしかしたら、女性活躍のほうがイメージが付くかなと思って言おうと思ったんですけど。流れとして若手の10代、20代とかが結構声を上げているなと思っていて。でも、世代がちょっと上のバリキャリ系女性とかは、「いや、もう男社会でやってきたからわざわざ、男が多いとか、女がいないとか言わなくていいのよ。私は男社会の中で生きてきたのよ」みたいな人をたまに見るんですよね。

やすし:苦しみの再生産ですよね。

彩夏:そうそう。「いやいや、あなたはそうだったかもしれないけど、何であなたと同じ経験をわざわざしなきゃいけないんですか」って。

やすし:中学生の運動部員が、自分が先輩から受けたしごきを自分の後輩に課すみたいな。

彩夏:そうそう、まさにそんな感じです。別にもう、今あなたはもしかして何か感じていないかもしれないけど、その人たちがそうじゃない人を代表して言葉を出すのは違うだろうって。だから、ほんとに超当たり前のことですけど、一人一人全然違うから。同じL(レズビアン)が同じことを考えていることは絶対ないし、同じアライで同じことを考えていることも絶対ないから。自分が思っていることは人も思っているだろうみたいな考えはやめてほしい。それこそ偏見だから。

やすし:多分、今まで話したのは心構えの話ですよね。まず基本スタンスとして、別にLGBTQの人たちのことは理解できない。

彩夏:ごめんなさい、でも、できません、正直。

やすし:LGBTQの人たちのことは理解できない。誰のため?それは、自分のためだよね。

彩夏:もちろん、その人たちのためもあるんですよ、私は。でも、自分のために全くなってないかっていうと、それはない。逆に、なってなかったら、正直できない活動です。

やすし:声を上げることで文句を言うやつもいる。属性で言うのもあんまりよくないかもしれないんだけど、アライとして声を上げるときにどうこう言ってくる人って、わりとLGBTQ当事者の人が多いです。「当事者の人が言うから、俺が今声を上げたっていうのはよくなかったんだ」って思う必要は全くなくて、そんなのガン無視でどんどん声を上げたほうがいいなって。

彩夏:確かに、それにひよっちゃう方はいるかもしれないですね。そんなことはないです。それが刺さる人は絶対いるから。

アライは感謝される?

彩夏:アライでよかったことはどうですか。

やすし:まず前提として、表だったところで褒めてくれる人っていないんですよ。むしろボロっかすに文句言われて、けちょんけちょんに人間性を否定されるんです、僕の場合。何かよく分かんないけど。まあ、それは俺の人柄もあるんでしょうけど。で、ひそかに、クローゼットな人が自分だけに打ち明けてくれて、こういうことでこういうふうにしてくれて、言ってくれてありがとうっていうふうに言ってもらえるとき。でも、それもめったにないですけどね。

彩夏:まあ、ゼロじゃないね。

やすし:ゼロではない。1年に1回もないですけど。オープンリーではない人からこっそりと声を掛けてもらってお礼を言われた経験っていうのは今まで2回あって、それがめちゃくちゃ嬉しいです。そういう人がいたから自分がやっていることって意味があるんだなっていうふうに思える。だから、文句を言うやつのことは無視でいい。

彩夏:やすしさんは声を上げるっていうことをしているじゃないですか。主な活動としてYouTubeで「これってどうなん?」みたいな。私は、もちろんそれもゼロではないけど、やすしさんほどではなくて。むしろその変な現状に対して解決策を提示しているような感じのやり方をしてて。私、逆にめっちゃ感謝されるんです、直接。

やすし:すげえな。アライって感謝される存在なんですね。

彩夏:こんなに感謝されていいの?っていうぐらい感謝されるんです。昨日も初めて会った人にすごい褒められて。「彩夏さん、ほんとにこれからも活動を続けてください」って。

やすし:まじか。俺、感謝されたの2回しかない。それは彩夏さんに備わる、イニシャルで備わってる好感度じゃないですか。

彩夏:そうかもね、分かんないけど(笑)。

やすし:好感度、重要だな。

彩夏:たまに来るトゲのある言葉に、たまに傷つくっていうのはあるかな。

やすし:どういうことを言われるんですか。

彩夏:例えばトランスフォビアの人の発言とか、当事者から在職トランスの成功事例に対して、「これは勝ち組だから、環境がもう違うから、こんなの見せられても困るわ」的なことを最近言われましたね。

やすし:それ、俺が言ってたよね。

彩夏:やすしさんも言ってたし、当事者も言っていた。でも一人一人全然違うから、できるだけ多く出そうっていう気持ちはある。もうちょっと見ててもらえたらいいかな。

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