「宇都宮ワガママ会議」で146のワガママが集まりました
日々の生活の中であきらめていることや我慢していること、こうなったらいいなと思うこと。それらをポジティブに”ワガママ”と定義し、お互いに共有しながら自分たちでできる解決策を考えていく「宇都宮ワガママ会議」を2024年8月12日、ライトキューブ宇都宮にて開催しました。
宇都宮ワガママ会議は、IRODORIとして各地で行なっているワガママ会議のフォーマットを基に、宇都宮にゆかりを持つ有志メンバーとともに企画しました。
▼下野新聞でも紹介していただきました!
心の中で諦めていませんか? 地域課題解決へ、日常の「わがまま」を共有 宇都宮
本レポートでは、宇都宮ワガママ会議で集められた多様な意見をご紹介します。地域固有のワガママはもちろん、多くの人にとって普遍的な想いも多く含まれていました。
合計146個のワガママが集まりましたので、5つのカテゴリーに分けてご紹介していきたいと思います。
1. 地域とコミュニティ
自分自身や、大切な人が人とつながりを持つことを願う声が多くあがりました。
「いろいろな人と繋がりたい」「話を聞いてくれる人がほしい」「祖母と日中に話をしてくれる人がほしい」「市内在住の外国の方とつながりたい」といったものから、「身近に食事をつくってくれる人がほしい」、「ケーキを一緒に食べる人がほしい」「飲み会がしたい」「頑張りすぎない飲食店が欲しい」といった声など。特別な機会を求めているものではなく、日常の暮らしの中でお金をかけずにおしゃべりをしたり、食事をしたりなどの人との交流やサポートを求めるものが多く挙がりました。
こうした人とのつながりや交流は単に安らぎを求めるだけではなく「年配の人と話せる場所がほしい」「ワクワクする経験をしたい」という新しいアクションであったり、「自分の代わりに親と買い物に行って欲しい」「除草を手伝って欲しい」「ちょっと様子を見に来てもらいたい」「生きづらさを抱える若者がもっと気持ちよく仕事ができる環境をつくりたい」といった福祉行政につながる手前の福祉の入口でもあります。「彼女が欲しい」という声も挙がり、関連するものかもしれません。
ゲストの濱野さんの一派社団法人えんがおの取組に紐づく声もたくさんありました。物理的な場づくりだけではなく、アプリで繋がるための知恵だしや、キャリアコンサルタントや経営者など人材を育てていくなどいろいろな解決策が出ました。
2. 仕事と暮らし
働きながら暮らすことに関する声もとても多かったです。「夫に早く帰ってきてほしい」、「仕事帰りの買い物がもっと便利になればいい」、「新幹線通勤がしたい」「手ぶらで通勤したい」といった日々の利便性や安心や自由を求める声、「広い家に住みたい」、「犬が飼いたい」「海外からでもリモートワークしたい」といったより理想の暮らしを夢見るワガママも。「文系女子が就活に悩まない」といった声もありました。
公共空間や福祉の場だけではなく、仕事の場でもつらいときに体を休めたり、多様性を受け入れられて働ける場を求める声もありました。本音を口にしていない自治体職員の声を伝える、などの意見もありました。
また制服や上履き、体操着など教育の現場で必要なものを用意することも暮らしの負担となっていることも見えてきました。
3. 都市インフラ
公共空間の利用や地域インフラに関するワガママもたくさん挙がりました。「壁当てができる公園が欲しい」「バスケットコートがほしい」「街中にもっとベンチがほしい」「職場の近くにスーパーが欲しい」「川遊びが楽しめる場所を増やしてほしい」、「市民サウナや夜中も利用できるプールが欲しい」など。レジャー、健康増進やリラクゼーション、新しい施設の整備だけでなく、今ある施設の有効活用や、学校の校庭などの使い方の規制を緩めるを望む声もありました。
また地域インフラの中でも交通に関することが目立ちました。「ガソリンが安い世界に住みたい」「渋滞を減らしてほしい」「自宅前の道路に一時停止を作りたい」「横断歩道をわかりやすくして欲しい」といった自動車のための声もあれば、歩行者、自転車などの移動を行う人達がもっと自由に市内を移動できるように求める声もありました。
4. 心と感覚の自由と多様性
「自分の好みに自由にやりたい」「いろいろなことで評価されたい」「発達に課題のある子供がのびのびできるようにしたい」、といった声がありました。
嫌な音を聞かずに済んだり、放っておいてほしいときに放っておいてもらったり、ストレスを軽減したいといった願いも、重要なテーマとして挙げられました。「ワガママをワガママと言われないこと」が掲げられていたのも印象的でした。
5. 産業と文化
「栃木をもっと良いところにしたい」、「地域の農業や産業を発展させたい」、「自己資金が乏しい企業が設備投資できるようにしたい」、「宇都宮で音楽やアートをもっと楽しめるようになりたい」、「お酒は辛口という人をなくしたい」、といった経済の成長や文化の成熟を望む声もありました。
こうした望みも地域のコミュニティのつながりや、行政と市民の橋渡しのなかで、多くの人に共有されながら広がっていくものになるでしょう。
以上、当日挙がってきたワガママをご紹介してきました。どれも自分や、自分の大切な人たちの切実な願いが込められています。
宇都宮ワガママ会議では、挙げたワガママに対して「自分なら何ができるだろう」というアイディアを共有するワークショップも行いました。願っているだけでは変わらないことも、人と共有し、小さくともできることを考えることで自分でも変えることができるのでは?というアイディアや希望が生まれる時間となりました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。