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《東京》2023年3月12日(日) 『むらさきのスカートの女』課題本読書会レポート(簡易版)

2023年3月12日、東京で読書会を開催しました。

今回は主催含め19名(女性7名、男性12名)で読書会を開きました。初参加の方が4名、午前初参加で午後も参加された方が3名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

こちらは簡易版の開催レポートです。
当日の詳しい内容は当読書会のホームページからご確認ください。
開催レポートのページはこちらです。

《東京》2023年3月12日(日) 『むらさきのスカートの女』課題本読書会レポート

以下は当日お話した内容についてです。

ネタバレしていますので、これから読む予定の方はご注意ください。









今回の課題本は今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』でした。

私が読んでメモしていた感想はこちらです(メモなので結構雑です…)

読み始めてしばらくはむらさきのスカートの女が奇妙な人物だと思って読んでた。ちょっとずつ、語り手側のほうがおかしいぞとなる気味の悪さが面白いし心地よい。読みやすいのにクセがすごい。

むらさきのスカートの女のビジュアルどんな想像した?私はHUNTER×HUNTERのパーム。

冒頭のむらさきのスカートの女の描写がうまい。むらさきのスカートの女のことを説明しつつ、黄色いカーディガンの女、黄色の姉、めいちゃん、有島さん、スーパーのレジの女の人までも描写している。誰も最後まで出てこないが、ミステリーものなら伏線にも使えそうな手法。

黄色いはどこから観察してるのか

19ページ。確かにどう友達になれば良いのか。友達になりませんかはど直球すぎる。悪い気はしないだろうけど。主人公はまだここではまともなことを言っている気がする

20ページ。と思ったけど、昨日の新聞をゴミ箱から拾って広げて観察してる様は異様

28ページ。私のやり方に問題が、という思考。むらさきのスカートの女をあくまでも擁護?

30ページ。ニアミス

37ページ。またの名をむらさきのスカートの女と申します、と。好き
信頼できない語り手。日の名残りを思い出した。
本当にむらさきのスカートの女と呼ばれてるのかも分からなくなってくる。
コンビニ人間にも似ている

39ページ。発声練習面白い。所長はこのときからむらさきのスカートの女が好きだったのでは?いや、32ページで顔の次に脚を見ている時点かも。脚フェチか。ストッキングをはいてないことには気づいてたはず。

49ページ。語り手が権藤チーフだと気づくように書かれてる。初読みのときはスルーしてた!

54ページ。男の子が背中たたいてりんご落としてしまうシーンのやりとり好き

55ページ。回し食べコロナ禍だからか気になる…
黄色いカーディガンの女は物陰に隠れてみたいな観察の仕方だが、これは知り合いのSNSを覗くような感覚に似ているのかも
他の作品読んだことある?

57ページ。入口近くのベンチで観察してたのか。双眼鏡持ってる?盗聴器つけてる?

62ページ。黄色、休みの日の過ごし方が気になる。むらさきのこと気にしてる。

66ページ。髪がパサパサになれば声をかけられるという思考がぶっとんでて面白いが分かる気もする。声をかけたいのにかけられない状態→何かしらの変化がほしい。

67ページ。右肩のごはんつぶをとろうとして鼻をつまむ笑った

70ページ。チーフ多いな!

71ページ。ここでわたし=権藤チーフだと分かる

77ページ。そう、嬉しかった。うん、嬉しかったんだ。所長意味ありげ

109ページ。無銭飲食さらりと書いてる

114ページまで。所長との不倫デート

119ページ。お泊りの記録つけてる。

123ページ。バザーの犯人は黄色?

130ページにきてようやく初めての目が合う。一滴も飲めませんって顔どんなの?

135ページ。所長のクズっぷり

139ページ。ついに権藤チーフあらわる。めっちゃ饒舌

143ページ。鼻つまむ。今までの分を取り返すかのようにやりたいほうだい
何年代の話に設定してるんだろう?公衆電話、PHS、つくばエキスポ記念硬貨
つくばエキスポ記念硬貨は7000万枚発行されてて大量に市場に出回ったので価値は500〜700円

156ページ。所長の発言は本当か?元に戻るために嘘ついてるのでは?でもむらさきのスカートの女と所長のやりとりの部分は、真実とも受け取れる書き方をしてる。そこがうまいなと。132-138読み返してもどちらでも違和感ない。不倫を楽しんではいただろうけど。

163ページ。五十嵐レイナのパンツで脅す黄色

164ページ。むらさきと入れ替わっているのゾワッとする
結局排除されるのはむらさきのスカートの女で、黄色いカーディガンの女は平然と元の生活に戻る。
エッセイいる?個人的にはテイスト違うので別で出して欲しかった。余韻に浸る前に現実に引き戻された感じ。物語が生まれたきっかけが分かったのは嬉しかったが、ページ数少なくして安くしたらもっと手に取る人いるのでは?

170ページ。主人公は二人の女のうちどちら?そもそも二人いるのか、実は同一人物なのか

201ページ。解説面白い
言われてみれば語り手は孤独で世の中から除け者にされている

208ページ。挨拶について、海外文化との違いはありそう


読書会で参加者の方から出た話題はこちらです。


・難しい言葉を使ってないのにテンポが良く読みやすい。黄色いカーディガンの女はすごい。一番怖い人だなと思った。ショーウインドウに突っ込んで破壊する。不気味さを出している。ホテルの清掃員について、周りの人物いるよなーと、リアリティを感じた。

・違和感なく読んでた。無銭飲食など異常な行動をしているが、文章にさらっと書いているから普通に読んでしまう。ラストはホラー。日常に溶け込むような違和感。

・他の作品も読んだことがある。最初は不気味。人間の感情を描くのが上手い。権藤は座敷童みたいで面白い。小出しに情報を出している。むらさきのスカートの女は最初ぼさぼさだったのにキレイになっていく。作品の生みの苦しみ。『とんこつQ&A』の話題。

・シュールさもあるが人間の温かみも感じる。

・前情報で警戒しながら読んだ。はじめむらさきのスカートの女と黄色いカーディガンの女は同一人物だと思っていた。カーディガンが上で、スカートが下。途中で日野まゆ子と名前が出て権藤も出てきて、あ、別人なんだなと分かる。が、日野まゆ子は実在してはいるけどトッピングかけているような感じでは。基本情報はわたし(権藤)だったのではないか。ラスト、ポンと叩かれるシーンは書かなくても良かったのではないか。近づくだけで終わらせてても。作者のサービス精神かな。芥川賞受賞した他の作品にあるような現代・社会的な要因は取り扱っていない。

・わたしとむらさきのスカートの女は同一人物で多重人格かと思って読んでいた。同じく芥川賞らしさよりはギミックに寄ってるなと思っていた。「主人公誰なん?」と読ませている。主人公は異常だが、むらさきのスカートの女は普通。癖の強い人のようだが全員俗っぽい。人間観察の面白さと気持ち悪さが出ている。解釈は考えさせられるところはない。

・黄色いカーディガンの女は気持ち悪いとは思わなかった。黄色いカーディガンの女自身は自分を普通と思っているから。上半身と下半身に分かれている発想はなかった。紫と黄は補色関係。一方が不気味で一方がまとも。二人が入れ替わって一方がまともで一方が不気味。2、3回読みたくなる本。


というところが、一巡してお一人お一人に聞いて出てきた感想等でした。ここからはフリートークとなります。


フリートークでは、一巡して出た感想から掘り下げることもあれば新たな疑問について話すこともあります。今回は私自身ハッとなった「同一人物だと思っていた」という部分から。私自身は最初から別人物だと思いながら読んでいたので、著者エッセイにある「主人公は二人の女のうちどちら?そもそも二人いるのか、実は同一人物なのか」という読者から著者への質問自体が「?」でした。どのように同一人物だと読んでいたのか気になっていたので、グループの中でお二人そのように読まれていた方がいて、お話を聞けて新たな発見でした。

あと一巡目に出てきた「文章にさらっと書いているから普通に読んでしまう」「黄色いカーディガンの女自身は自分を普通と思っているから」という部分にもハッとなった部分です。黄色いカーディガンの女は無銭飲食したりサングラスも手に取っていたり、「それあかーん!」ってことでも平然とやってのけていて、しかもそれがさらっと書いているんですよね。読んでいる側としてはシュールな笑いにも受け取れますが、黄色いカーディガンの女自身としてはそれが普通であると。今回ここまでにも何回か「普通」という言葉を使ってますが、普通といえば以前課題本とした村田沙耶香さんの『コンビニ人間』を思い出しますね。

他に出た意見はこちらです。

・筆者が語りすぎるのも良くないなと思った。

・やってることは強引。存在感がない、気付かれない。

・目立たない人が目立ちたいもあるのかな。

・りんごとオレンジのくだり。承認されたいが出ている。114、143に「わたしは」がある。何かの象徴では。

・むらさきのスカートの女は所長と仲良くなったあたりからスカートはかなくなった。俗っぽくなったのに、黄色いカーディガンの女はまだ執着しているのが面白い。スカートはかなくなった時点で興味なくなったのでは?

・『花束みたいな恋をした』で今村夏子の名前が出てくる

・権藤はなんでチーフになれたんだろう。→むらさきのスカートの女に出会う前は出来ていたのでは?(推し?)に出会ってしまい、仕事が手に着かなくなった。権藤さんは精神ぎりぎりのときにすがる。

・権藤さんはチーフたちから「〇〇の女」と呼ばれている可能性がある。

・冒頭にむらさきのスカートの女の描写で出てきた人物たち(めいちゃんとか)は、わたしが過去にストーカーしてた人たちの羅列ではないか。それぞれにも色がある。

・通行人を見事よける。陸上部だからかと納得してるが、いや、それ誰でもできるのでは?

・ホテルのシャンプー。魚の匂いとあるが、何を使ったらそうなるのか。


あっという間に時間となり、読書会は一旦締めてお知らせをしました。
これにて読書会レポートは終了です。



上の方にも書きましたが、主催含め19名(女性7名、男性12名)で読書会を開きました。初参加の方が4名、午前初参加で午後も参加された方が3名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

初参加の方や女性が安心して参加できる空間、男性も楽しめる空間作りに今後も努めてまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

毎月参加して下さる方はもちろんのこと、久しぶりに参加したよ~という方々との再会も非常に嬉しいものです。本が好きな方々の第三の居場所作りが目的ですので、「また参加して良いのかな?」「久しぶりだけど大丈夫だろうか?」「前回体調不良でキャンセルしてしまったけど…」といった事はお気になさらず、「あ、この日予定空いてる!参加しよう!」くらいの気持ちで、是非お気軽にご参加ください。

初めて読書会に参加して下さる方々にも「参加してよかった!」「楽しかった」「また参加したい!」と思って頂けるよう努めてまいりますので、宜しくお願い致します。

次回の東京での読書会は4/15です。ぜひご参加くださいませ!

▶《東京》4/15(土) 漫画限定読書会 開催のお知らせ

▶《東京》4/15(土) 推し本披露会 開催のお知らせ

▶《東京》4/15(土) 『キップをなくして』課題本読書会 開催のお知らせ

次回からは3部制となります。久しぶりに漫画限定読書会もやります!

あと、読書会を再開してからこれまでの申込方法はPassMarketのみとしておりましたが、次回からは6種追加してます。使いやすいものでぜひお申込みください。

▶参加申込方法のご案内

以上です。

ありがとうございました!

ここまでお読みいただきありがとうございます。宜しければご支援よろしくお願いいたします!