非実在嬰児の名は。

名前は呪いである。こんなことはまあ別にとりたてて言うまでもない当たり前のことだ。
私の名前の由来は、「独りでも雑草並に逞しく生きていけるように」だったらしい。
名前がいいかどうかは別として、この由来さあ……娘の将来が独りだと確信してるんかこれ。しかも成人した時点の私はマジおひとり様道の入口に差し掛かりつつあった。（ギリギリで回避できたと思う多分）
子供の名づけは祝福であり、希望だから呪いなのだ。球児って名前つけられたらスプリンターの道に行きづらくない？ ブサイクな拓哉くんはみんなちょっとしんどくない？ それどころか「美」という字が使われてる子も、結構自分の名前が好きになれないみたいな話も聞く。
でも名前に込められた願いは、子供が忘れないことだから、込めるべき願いがあるなら名前に織り込まない手はない。だからぜんぶひらがなとか、花の名前とか、なんかあんまり思想的な意味が弱い字を使うのも勿体ないと思う。

だから私は、我が子につける名前には慎重〜〜になりたいと思ってる。子供はいないけど。いないどころか、将来にわたって作る気は無いけれど。
でも人生って何が起きるかわからんし、たまに考えちゃうんだよね。未来永劫架空の、私の子供の名前。

親の価値観と子供の価値観、どちらをもって照らし合わせても、「これは良いね」と思えるような名前……。
よく名前で見かける、意味が概念的な漢字をいくつか挙げて、

「漢字」こめられがちな意味/私の考え
「良」良い子になりますように/別に世間的に良い子である必要など無い。
「好」みんなに好かれる子になりますよう/嫌われても己の道をゆくパターンでもいい。
「球」「蹴」特定スポーツやってくれたらいいな/別にスポーツ苦手でも構わん
「健」健康な一生を/そのとおり。
「剛」強い子になってほしい/なよなよでもええやん

……とね、ここまでだと男の子の名前は「健」になる。ただこれ私の4親等以内にいるんだよな全く同じ名前が。ジュニアとか2世とかつけちゃダメ？ いやいやつけたら何かまた余計な呪いもついてきてしまう気がする。

だらだら書いてもしゃーなし、何だかんだで私が選んだ名前は「美知」でした（さっき「美」自体が子供のプレッシャーになりかねないという話は出ていたが……）。当然知美も可。
理由は、美しきを知っていてほしいから。この場合の「美」とはルックスとか目に見えるものだけでなく、美徳に近い意味。内面と立ち居振る舞いとして美しいと思えるものはなんなのかを考え、知り、実践して欲しい。

こんなこと普段から考えてると、とてもじゃないけど私は人の親にはなれないなって、つくづく思う。
例外として尊敬する人の名前とかは割とありかも。その人がもちろん、特別で指向性の高い特技や思想を持ってたらパス。やっぱり「あの人に見習って丈夫になるといいね」くらいの理由でのみ使用可能かな。タモさんは楽しそうに生きれてるから「一義（かずよし）」「保里（たもり）」もいいかもしれない。いいわけないだろ少なくとも保里は……。

ちょっと現実と、私に子供がいる世界線が混ざって見えるようになってきちゃったから、寝ます。