「変顔に親近感」2023/03/16

夫の伯父はダンディだ、が第一印象だった。
伯父と言っても、夫の母の姉の結婚相手なので夫と血が繋がっているわけではない。だからなのか、お会いしたときもちょっと一線を引いて話されてるようなところがあった。しかし夫の母も伯母もめちゃめちゃめちゃフレンドリーゆえ、その理性的な振る舞いが私の脳裏に、ダンディ、という言葉を浮かび上がらせたんだと思う。
何年か前、親族に赤ちゃんが増えたときに一緒に食事にいった。私は隣に座った赤ちゃんの機嫌をとりたくて必死だった。必死すぎることに途中でふと気がついた。同席しているのは皆夫の親族だ。それこそ一線を引いて、きちんと見えるように……まあなるべく……振る舞ってきたつもりの人たちの前で、うっかり、変顔を連発してしまっている。
私が頑張って築いてきた(?)セルフイメージがあっという間に吹き飛んでしまったかもしれない。と、急に恥ずかしくなって周りに目を向けると、斜向かいに座った伯父もまた、私が見たことのない変顔をしていた。赤ちゃんが笑って、伯父と私も笑う。
子供ってほんとにすごい。向き合うと必ず人間がむき出しになってしまう。伯父と私の遠い関係性では今後も絶対に見せなかっただろう顔を、お互い見せあってしまった。私は伯父に対して一方的な親近感を抱いて、向こうもそう思ってくれたらいいなと思った。

先日伯父は亡くなった。
もっとたくさんの思い出を持つ人たちの語らいの場に、私ごときが列席するのはどうなんだろうとも思ったが、結局はあの日感じた親近感に従って、見送ってきた。

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