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不動産鑑定士修了考査対策(口述編)

全国200名弱の不動産鑑定士実務修習生のみなさまこんにちは。irisです。
年末年始返上での修了考査をされている方もいらっしゃると思います。お疲れ様です。最終編の口述対策記事です。修了考査に関するその他の記事は以下からどうぞ。

◆ 多肢択一・計算問題編

◆ 論述問題編


口述試験の形式と出題傾向

口述試験は一般実地演習で書いた13類型の評価書(再考査組は受験案内に記載のある6又は7類型の評価書)からランダムに1つ選ばれ、その評価書について試験官(3名います)から質問を受け、それに答えていく試験です。

出題類型

どの類型の評価書が選ばれるかは当日まで分かりません。試験会場である面接室に入ると、自分が座る机に評価書が1冊置いてありますので、そこで初めて知ることになります。
ただどの類型が出やすいかというと、再考査組も試験対象となる以下の7類型かと思います。これらの類型を中心に対策されるのが良いでしょう。

  • 大規模画地

  • 業務用ビル

  • 居住用賃貸

  • オフィス用賃貸

  • 区分所有建物及びその敷地

  • 借地権付建物

  • 家賃(新規・継続問わず。地代ではなく家賃。)

(以下、これら7つの類型をまとめて「重点7類型」といい、以下、重点7類型に関する対策私見を書いていきます。)

面接時間と質問数

面接時間は受験案内に記載のとおり25~40分程度です。ちなみに私の面接時間は30分ちょっとでした。飛んできた質問の数は正確には覚えていませんが25問程度だったと思います。面接室にて中央に座っているメインの面接官から15問、両脇に座っている試験官2名からそれぞれ5問程度質問がくるイメージです。

質問内容

対象不動産の確認(鑑定評価基準でいうところの総論5章絡み)、価格形成要因の分析(同総論6章)、及び鑑定評価手法の適用(同総論7章・各論1or2章)関連の質問が大半を占めます。
なお、数問(私の場合はたしか5,6問)は「実務修習全般に亘る質問」(一般論的な質問)が飛んできます。

配点

明らかにされていませんし全く分かりません。
私の場合は25問質問が飛んできたので、単純に考えれば1問4点なわけですが、評価書記載内容を読み上げるだけの簡単な質問から結構な説明を要する重ための質問まで様々だったので、そう単純な配点ではないと思います。
したがって記述の考査のように得点戦略は考えようがありませんので、飛んできた質問1問1問に対してしっかりと回答していくしかありません。

その他

口述試験会場(面接官と質疑応答する部屋)には、すべての資料が持ち込み不可です。評価書作成時に参考にした資料等の中で、質問に答えるにあたり重要と思われる箇所は覚えていくしかありませんのでご注意を。

対策私見

以下、口述対策のポイントを私自身の経験を交えて書いていきます。
また、末尾に付録として私が口述試験時に受けた質問内容も掲載します。

① 自分の評価書に誤りが無いかしつこくチェックすること。

修了考査口述試験の最大の特徴は、自分が既に提出した評価書の出来・不出来に大きく左右されるという点です。ミスの少ない丁寧に書かれた評価書なら口述試験も相当楽にクリアできるでしょうし、逆にミスの多い評価書だとそれだけハンデを背負った状態でのスタートとなってしまいます。
当然ながら既に提出した評価書を修正することはできません。今からできることといえば、自分の評価書にミスがある場合はそれを事前に見つけてダメージコントロールしておくことです。それを見つけておけば、本番で面接官に当該ミスを指摘されても、まだ幾分かは落ち着いて回答することができるはずです。(明らかなミスは平謝りして切り抜けましょう。)
ちなみに私自身の経験でいうと、先に挙げた重点7類型のうち、大きなミスなく書けていたと自信をもって言える評価書は1類型だけでした。みなさまも「必ずどこかに間違いはある」というスタンスで再度評価書を読み直す作業が必須かと思います。可能であれば他の修習生と評価書を見せ合ってチェックするという方法も有効です。ダメコンは大事。超大事です。

② 「確認」絡みの質疑応答はできるだけ完璧にすること。

この記事を見ている実務修習生各位には釈迦に説法ですが、鑑定評価はざっくりいうと「確認して」→「分析して」→「評価する」という流れで行います。したがって確認のフェーズがいい加減だと、その後の分析や評価の信頼度が揺らぐことになります。
よって口述試験においても、対象不動産等の確認絡みの質疑応答は絶対にしくじれない最重要事項です。また、面接官は「ちゃんと修習生自身が鑑定評価のすべての手順を踏んで評価書を書いているか?(自分でロクに確認もせず誰かに書いてもらったり、人の評価書をパクってたりしないか?)」という視点も意識して審査してきますので、その意味でも確認絡みの質疑応答は重要です。
確認絡みの質問を例示すると、以下のようなものです。これらの質問に対する答えはしっかりと用意し、頭に入れて試験に臨むことを推奨します。また、対象不動産等の確認時の記憶をよみがえらせるために、再度現地に足を運んだり、GoogleMapで確認したりするのも有効です。

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