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教師が危ない! 学校が危ない!について

総合大学で教育心理学と教育相談の授業を担当しています。
ここのところ、教師が危ない!学校が危ない!という記事をたくさん目にしました。教職に就くことを希望している学生を前に、「私は、この問題をどう考えるのか???  絶対に避けて通ることはできない!」 ということで、この記事を書くことにしました。

記事を整理してみる

日付の新しい順に整理してみる。

1.「世界一教育にカネをかけない国」日本が生み出した“教師のブラック労働化” (6月26日)

2.“死と隣り合わせ”の日本の学校…ニッポンの教育が沈みかけている「5つの理由」 (6月24日)

3.忖度ばかりの学校現場、教師が激白「オンライン導入は永遠に潰され続ける」 (6月25日)

私は、1981年から1998年までの17年間、学校で教員(小・中・高校で音楽科)として働いていた。その頃も、もちろん、いろいろな問題をかかえていたが、こんなに酷い状態ではなかったように思う。記憶が薄れているだけかもしれないが、それだけでもなく”酷さ”が加速しているように思える。

教育にお金をかけない国であることは、今に始まったわけではない。教員になった頃は45人学級で、そのうちようやく40人学級になった。40人学級は20年経った今でもそのままである。もちろん「他の先進国なみにせめて30人くらいに」とか「25人に」という訴えや運動は続いているが、ピクリとも動く気配はない。今回のコロナ禍の影響による分散登校で、現場は、期せずして少人数(20人程度)の授業を経験することになった。「25人以下に」という声が高まっているが、果たしてどうなるか…というところである。

学級定数のことはひとつの例にしかすぎず、このままでは、ほんとうに、どうにもならない状態に陥ってしまいかねないだろう。

一体、どうすればいいのか

その答えはこの本に書いてある。是非、読んでみていただきたい。

教師崩壊  先生の数が足りない、質も危ない 妹尾 昌俊著 

第6章 教師崩壊を食い止めろ! ティーチャーズ・クライシスの打開策 ほんとうに、ここに書かれている通りになってほしいと思う。

もちろん、思っているだけではダメで、ここに書かれていることを受け取って、それぞれのところで、声を上げ、行動を起こさなくてはならない。

声を上げていくこと

「教職研修7月号」の巻頭対談のタイトルは「Withコロナ時代 自分たちの学校は自分たちでつくろう」である。この雑誌は、校長など管理職を対象としたもの。整理した記事3.に出てくる「横並びを気にする管理職」には是非とも、この記事を読んでいただきたい。

黙っていては何も変わらない。声を上げても変わらないこともたくさんある。それはイヤというほど経験した。でも、声を上げなくてはと思う。

学校の現場であれば、思いを同じくする人とちからを合わせて、校長に進言する。校長に動いてもらうように支える。保護者にも協力してもらう。たったひとりでも言ったほうがいいと思うけど、それは結構しんどい。でもよく見ると、同じように考えている人が周囲には必ずいる。言ってもピクリともしないこともたくさんあるけど、動くこともある。

学生を前にして

「あなたは”変化”を創り出す主体である」ということを伝えたい。何も大それたことをやってほしいということではない。自分の頭で考え、人の声をよく聴き、声を上げる人になってほしいと願う。そして、教育に携わる仕事に就いたならば、そういう子どもたちを育ててほしいと願う。ものすごく時間がかかることだけど、「教育で変えていく」これが一番確実だし、未来は、今、目の前にいる学生のもの、そして近い将来学生が出会う子どもたちのものだと思うから。

誠実に伝えながら、もちろん、私も「自分の場所」で、できることをしていきたい。

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