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梅が枝の黄金に明くる春星忌

2023/2/8(水)NHK文化センター 俳句講座に投句した四句の中の一句。講座参加者1名より選いただきました。当季(でもない)雑詠、季語は「春星忌」です。
【学びポイント】
傍題を使う時の注意
【解説】
春星忌は与謝蕪村の忌日であり、蕪村といえば「しら梅に明(あく)る夜(よ)ばかりとなりにけり」が有名。この句を意識して詠んだ句だろうという岸本先生のご鑑賞。(それです!)作者は思い切って作っている、よくがんばった、というお褒め(?)もいただきましたが、入選ならず。添削例は以下の通りです。
 金色に梅が枝明くる蕪村の忌
蕪村が亡くなったのは晩冬(12月25日)であり、一般的に梅はまだ咲いていません。それで「梅の花」ではなく「梅が枝」としたのであろうという岸本先生の読み(それですわー)。黄金(こがね)とすると、ちょっと冬の夜明けには合わない感じなので、と「金色(きんいろ)」にされました。さらに夜明けを詠んでいる句だから「春星忌」では夜のイメージが強い、「蕪村の忌」とした方が佳いというご判断です。
実際、12月下旬ともなると、松山市内、特に日当たりの良い場所の梅が咲いていることはあります。松山城の山頂広場の梅とか、えぇ、咲いてますよ。蕪村といえば梅のイメージを持っていた私は、ぜひとも蕪村の忌日で梅の句を詠みたかったのです。そして「春星忌」という語感がとても好きで、使ってみたかったのですが・・・。
やはり、句意に即した季語を使うべきだったのですねぇ。春星忌、夜半亭忌の傍題を使うのなら、それなりの句にしなくては。うーん、深いね、季語って。意味だけじゃなく、語感、文字面、声に出して読んだ時のリズムとかね、細心の注意をはらって選びましょう。

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