「勤務時間内は部活動を指導しろ」はパワハラである

 IRISではこれまで、勤務時間内であっても部活動指導を命じることはできないことを2本の記事で論じた。() 今回はさらに論を進めて、勤務時間内の部活動指導を命じることはパワハラに該当することを指摘したい。

 もちろん、勤務時間内に何らかの業務を命じることが直ちにパワハラにあたるわけではない。部活動であっても事情は同じである。

 しかし勤務時間内の部活動指導を命じる管理職は、例外なく、授業準備等の業務に対する勤務時間の割り振りを適切に行っていないはずである。授業準備・学級事務・校務分掌・学年の仕事などを人並みに行えば、それだけで定時をはみ出るか、よくて定時ギリギリに収まるというのが日本の大半の教員の現状である。勤務時間内に部活動指導を行えば、その間にできるはずだったこれらの業務は自ずと勤務時間外に押し出されることになる。しかしそこは、給特法の仕組みを悪用して、自主的・自発的に取り組んだことにして、勤務時間を割り振ろうとはしない。

 部活動指導は明示的に命じておきながら、授業準備等の業務に対しては、黙示的な命令がかかっていることすら認めないというのは極めて不遜な態度である。

 パワハラの類型では「過大な要求」型にあたる。勤務時間内に業務が終わらないのは、自分が適切に勤務時間を割り振らず、勤務時間内に無理やり部活動指導をさせていることが原因なのに、あたかもその人自身の能力に問題があるかのような言い方で教員を攻め立てる。

 授業準備等の業務に対する勤務時間の割り振りを適切に行った上で、それでも勤務時間内の部活動指導を命じるというのなら、パワハラにはあたらない。だがそれができる学校はほぼ皆無である。したがって、勤務時間内の部活動指導を命じることはパワハラに該当すると言い切っても良い。

 このような管理職に勝つ方法は、管理職が最も避けたがる部分を執拗に攻めることである。ここまでの文章を注意深く読み返していただくと、次の2点が浮かび上がってくる。
 
①授業準備等の業務に対する勤務時間の割り振りを適切に行っていない
②授業準備等の業務に対しては、黙示的な命令がかかっていることすら認めない

 管理職はこの部分を避けたがる。逆に言うと、授業準備の業務に対する勤務時間の割り振りを適切に行わせ、明示的にせよ黙示的にせよ命令がかかっていることを認めさせれば、勤務時間内であっても部活動指導を行わせることができないことを管理職自身が認めざるを得なくなる。

 ここから先は具体的な攻め方の話になってくるので、さらに知りたい方はIRISやPEACHに加入していただきたい。結論部分だけ言っておくと、こうした攻め方の部分で、組合は強い。個人では、どれだけ詰め寄っても結局のらりくらりとかわされてしまうが、複数名の役員がいる中でいい加減な態度は取れないため、最終的には言い逃れできないところまで管理職が追い詰められることになる。

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