福岡県教採で不適切な出題

福岡県の教員採用試験で、部活動について模擬授業をさせていたことが分かりました。(PLUMのポスト参照)

問題文は次の通りです。

 あなたの勤務する学校では、部活動加入率を高めるために、入学後から体験入部期間が設けられています。しかし、一部の生徒から部活動はするつもりはないと相談がありました。1年生の担任として、「部活動の意義」について、クラスの生徒に話をしてください。
(福岡県教員採用試験 2022年実施分(2023年採用) 高等学校 2次試験模擬授業テーマ)

「部活動加入率を高める」という設定がまず不適切です。部活動加入率は、生徒が自主的・自発的に参加した「結果」が数値として表れたものであり、学校が上げようとするべきものではありません。

部活動をするつもりがないという相談を受けた場合、その判断に至った事情や背景を丁寧に聞き取り、「その生徒にとって」最良の判断になるようアドバイスするのが、担任としてすべきことです。

「部活動の意義」について話をしろというのは、つまり、部活動は意義のあるものだから、簡単にやらないと言わずに、やってみようという方向に話を持っていけということでしょう。部活動=善きものという前提に立たないと、このような流れで模擬授業をすることはできません。

一体採用者は、この試験によって受験者の何を測り、何をもって及第とするのでしょう。

教師にとって最も大切なことは、生徒と真摯に向き合うことです。例えば、生徒が「部活動の意義」について十分に考えた上で、それでも部活動をしないという選択に至ったのであれば、教師としてすべきなのはその選択を尊重することです。

学校として「部活動加入率を高める」「部活動の意義を生徒に理解させる」といった目標をあらかじめ立て、その目標を達成させるため担任に指導させようとする発想が誤りです。福岡県教委は、受験者の合否判定をする前に、出題者として自らが不適格であることを自覚すべきです。

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