IRIS系組合の仕組み What are IRIS-affiliated unions?

 IRIS系組合とは、愛知県を拠点とするIRISと連携する全国各地の組合のことです。順次拡大しており、PEACH(全国部活動問題エンパワメント)加入組合と合わせ、全都道府県に展開することを目指しています。
 IRIS系組合は、日教組(日本教職員組合)や全教(全日本教職員組合)といった既存の大手組合とは多くの面で異なっており、そういった組合との違いも随所で説明していきたいと思います。

1 どんな問題を扱うのか
 基本的には教職員の勤務条件に関する事柄(労働問題)を扱います。その中でも特に、部活動問題に力を入れています。顧問を断りたいという組合員がいれば、勤務校を役員が訪れて交渉を行い、必ず顧問が断れるようにします。2023年度末から2024年7月までの実績では、16件中16件で顧問拒否に成功しています。
 ただ、教員の労働問題は部活動のことだけではありませんので、休憩時間や時間外勤務のことなど、さまざまな問題を扱います。パワハラ・PTA・模試監督・補習・教員の頭髪の色など、基本的にどんな問題でも扱います。
 ただし、環境・平和・護憲など、既存の組合が取り組んでいるような労働問題以外の活動は扱いません。私たちは、こうした活動は社会にとって重要であると考えており、長年取り組まれている方々への敬意を抱いていますが、純粋に労働問題だけを扱う組合があってもいいのではないかという考えから、労働問題に特化した活動を行っています。

2 費用負担や仕事の分担
 組合費は、加入時に1,000円をいただくだけです。月々の組合費はありません。ただし、役員を交渉に呼ぶ際は、役員の交通費を負担していただくのと、組合に1,000円を納めていただきます。
 既存組合の場合、地域や年齢などによって異なりますが、安くても4,000円程度、高ければ1万円を超えるような金額を毎月支払うのが普通です。事務所経費や専従役員の人件費など、固定費がかかってしまうためです。IRIS系組合は固定費がゼロですので、最低限の費用のみでやっていくことができます。
 IRIS系組合に入ったからといって、何か仕事が割り振られるということはありません。集会に動員されたり、署名やハガキを書かされたり、カンパを求められたり、役員を割り当てられたりといった、既存組合では当たり前にやられているようなことは一切ありません。逆に、自分が何かやりたいと思ったら、組合内で呼びかけて企画を始めることも可能です。

3 コミュニケーションの方法
 普段のやり取りはLINEのオープンチャットで行います。必要に応じてzoomでやり取りをすることもあります。会議を開く場合でも、必ず出なければならないということはありませんので、負担はありません。
 また、PEACHではDiscordというアプリ(オープンチャットと同じようなものだと思ってください)を用いて全国の仲間をつないでいます。100名を超える仲間たちとつながれて、それだけで心強くなれます。なお、IRISは実質的にPEACHの事務局機能を担っており、現在、IRIS代表がPEACH代表を兼ねています。

4 組合の作り方
 IRIS系組合は順次拡大中です。IRIS系組合もPEACH加入組合もない場合は、新たにIRIS系組合を作ることができます。
 組合を作ると言っても、全く難しいことはありません。拍子抜けするくらい簡単です。先入観で、とても高いハードルを設定しないようにお願いします。
 新たにIRIS系組合を作るのに必要なことは、自分以外にあと2人仲間を募ることと、県内(たいていは県庁所在地)で行われる結成大会に参加することです。
 自分以外に2人というのは、つまり、組合結成には最低3人必要だということです。本来、組合は2名以上いれば作れますが、公務員の組合については3名以上でなければならないという方針を総務省が示しています。(これは不当な制約ですので、私たちはこの方針に反対していますが、残念ながら従うしかありません。)もしご自身で2名を探すことが難しければ、IRISでもXで呼びかけます。
 結成大会にはIRIS代表も愛知から参加しますので、県庁所在地の駅近くの貸会議室で行うことがほとんどです。必ず行うのは規約制定と役員選出の2つです。法律で定められた要件に則り、無記名の秘密投票で必ず実施するようにしていますが、もともと組合を作ろうということで集まりますので、事実上、否決されるということはありません。この手続きだけであればおよそ5分で終わります。残りの時間で、集まった方それぞれの抱えている問題を聞き取ったり、今後の方針を決めたりします。

5 組合員と役員の違い
 組合員になるためには、その県内の公立学校(国立を除く)に勤務する教職員であることが必要です。校種は問いません。政令指定都市立の学校に勤務する方でも大丈夫です。非常勤の方、図書館司書や給食調理員など、教員以外の方でも大丈夫です。
 組合員になっても、自分から言わない限り、管理職や教育委員会にそのことが伝わることはありません。組合活動は非合法活動ではありませんので、組合員であることが分かったところで何もないのですが、心配される方がいらっしゃいますのでお伝えしておきます。
 それに対し役員は、勤務校や住所を人事委員会に登録し、教育委員会にも通知されます。組合の一つの目的は当局と交渉を行うことですので、これは当然のことです。
 もう一度整理すると、組合員になっても、そのことが自然に周囲に知られることはありません。結成大会に参加したことも知られません。一方、役員になると教育委員会に通知されます。
 IRIS系組合の場合、組合初心者が組合員になられることがほとんどですので、地元の方の中から役員候補者が現れないこともあります。役員は、組合員とは異なり、その県内の公立学校に勤務する教職員である必要はありませんので、もし地元の方の中で役員候補者が見つからない場合は、IRIS側で手配した人を役員候補者にすることで対応します。実際、ほとんどのIRIS系組合で、IRIS代表がその組合の代表も兼ねています。

6 運営ノウハウはIRISが提供
 IRISはすでに10を超える組合を全国で運営していますので、手続きから当局との交渉まで、組合運営に必要なノウハウは豊富に蓄積されています。ですから、地元の先生方に必要なのは、「うちの県にもIRIS系組合を作りたい!」という思いだけです。この記事を読んでそう思われたら、IRISのXアカウント宛てにDMをお送りください。

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