茨城県教委 2時間超えの例外措置は「教員の同意が必須条件」

 「平日の活動時間は2時間程度(今後は2時間が「上限」)」などとする茨城県教委の高校部活動改革方針をめぐり、このほど、例外措置を認める3条件が公表された。これらの条件が全て満たされたと県教委が判断した場合、例外的に、平日2時間を超えて部活動を行うことができる。これについてIRISでは、茨城県教委に電話で問い合わせを行った。

 茨城県教委の回答を紹介する前に、まずは愛知の状況を参考としてお示ししたい。

 愛知県の部活動ガイドラインでは、朝練は原則行わないこととされているが、校長が承認した場合に例外的に実施できることになっている。この場合、朝練は職務命令によって行われたものとされ、勤務時間の割り振り変更の対象となるというのが愛知県教委の方針である。(愛教労との交渉で県教委が回答し、その後、IRISとしても確認済。)

 茨城県教委が示した3条件の中には「校長の承認」が含まれている。愛知の例で考えれば、茨城においても、校長が承認した計画は職務命令によるものであり、割り振り変更の対象となるはずである。茨城の場合、校長の承認に加え県教委による審査も行われるため、職務該当性は一層確かなものとなる。

 ところが茨城県教委によると、例外措置によって実施される勤務時間外の部活動についても、これまで通り、職務命令によるものとは認められず、割り振り変更の対象にはならないとのことである。校長が承認しておきながら、それでも職務命令ではないとはどういうことかと尋ねたところ、生徒のけがや健康・安全といった点に配慮された活動計画になっているかどうかを確認し、承認するのが「校長の承認」の趣旨だそうだ。

 では、別の条件である「生徒・保護者の同意」についてはどうか尋ねてみた。仮に、生徒・保護者が同意しても、教員側が同意しない場合はどうなるか尋ねたところ、「校長の承認」の中に教員の同意が含まれるとのことであった。もし教員が同意しない場合、生徒・保護者から要望があったとしても、平日2時間を超えて活動をする必要はないとのことである。

 校長が承認した活動が割り振り変更の対象にならない点は承服し難いが、教員が同意しない限り、平日2時間を超えて活動しなくてもよいというのなら、平日2時間を上限とする県教委の方針は教員側の意思次第では守られることになる。

 しかし実際にうまくいくだろうか。2時間を超えて活動したいという要望が生徒から出た場合、学校側は生徒や保護者に対して説明会を開き、同意書を提出してもらうという。もし、説明会が先に開かれ、同意書も提出された後に教員側が同意しなければ、計画は白紙になるのか。逆に、教員側の同意がなければ説明会も開けないということなら、生徒や保護者の間にどれだけ要望があっても、説明会が開かれないこともありうる。どちらの場合でも生徒や保護者が強い不満を持つことが予想され、それを避けるために教員がしぶしぶ同意するというケースも考えられる。

 もし教員の同意が必須条件であるならば、そのことを明示し、教員の不同意によって計画が実現しなくても教員に苦情を言ったりしないよう周知すべきである。

 茨城県教委は高校部活動改革の方針を二転三転させてきたが、こうした動きに巻き込まれないためにも、きっぱり顧問を断ることをお勧めする。部活動改革は、長大な時間を費やしてもわずかしか進まないのが常である。一日も早く顧問を断り、自由を手に入れよう。

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