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昨日、5種類の避難訓練を紹介し、「津波からの避難が一番難しい」と書きました。まさにそれが発生してしまいました。

特に、今回の津波は、南半球の遠くの海底火山の噴火によるもので、
通常は「地震」という号砲が鳴らされた後に津波避難が始まりますが、
昼間に火山噴火があったとはいえ、予告なく、津波の到来と警報の発令が深夜になったことで、避難行動がとても難しかったのではないかと思います。

また寒さが厳しい時季でもあり、車避難による渋滞も発生していると報じられています。


さて、この自然への対峙・共存における課題として、今日も話題を展開したいと思います。

東日本大震災のときにも注目されました。
『津波てんでんこ』
ご存知でしょうか?


「てんでバラバラに逃げる」ということです。
東北の伝承を解説した本などには「めいめいに逃げる」という表現もありました。

つまり、それぞれが、それぞれの行動にて逃げる、ということですね。

これについて考えてみたいと思います。


①要支援者のサポートについて

避難行動が難しい方もいます。
例えば、高齢や障害などの要因で足腰の不自由があったり、急にスタートする津波避難に対して、行動が難しいという方です。

そうした方をサポートし、一緒に避難するということはとても重要です。

いざ、こういう状況になれば、『ご近所さん』の力が絶大です。

わざわざ遠くから迎えに来るなんてできません。
日頃から近くの方どうしで見守り合い、支え合うことが大切になります。


一方で、迎えに行ったが故に、津波に飲み込まれたという悲報を数多く聞きました。
「人は人として逃げられない」という言葉も勉強させていただきました。

もちろん、見捨てるわけにはいかないです。
しかしながら、自分の命を守ることは何より重要ですから、自分だけでも助かるというのは本能であり、尊いことだと思います。
そこに罪も悪も無いと、ぼくは思っています。


・・・という前段があって、本質に迫っていきたいと思います。



②迎えに行くのか?

では、急な津波の襲来という情報が入ったときに、
一刻も早く行動を起こさねばなりません。

離れ離れになった家族を迎えに行くのか?

身体の悪い親・・・
心配でならない我が子のこと・・・

『自分が行動して迎えに行きたい』という想いは誰しもにあることでしょう。

果たしてそれがベストな行動なのでしょうか?


③片田教授の教え「家族会議」

釜石の奇跡の礎を、長年かけて指導してこられた現東京大学の片田教授が特集された番組を見たことがあります。

片田教授が小学生の女の子に、『津波避難について家族と話し合うこと』を宿題とした場面でした。

ご両親は、その子のことが心配です。「いざその時には迎えに行こうか?」と言いました。
でも、迎えに来ることでご両親に危険が迫ります。

その女の子は、「私のこと、迎えにきちゃダメ」と泣きながら言いました。
私は、絶対に自分の命は守るから、迎えにきちゃダメ。だからお父さんもお母さんも"自分の命"を守っていて。』と親子で泣きながら話し合いました。


④津波てんでんこ

女の子の話し合いのエピソードのとおり、
それぞれが自分の命を守ることの責任を果たしたときに、
他の人の命をも守ることができるということですね。

いや、違いますね。
それぞれが自分の命を守ることの責任を果たすことを『約束したときに』
他の人の命をも守ることができるということですね。


つまり、『津波てんでんこ』は合言葉です。

それぞれが自分の命を主体的に考え行動し、
自分の命を自分で守る責任を果たす『約束をする言葉』です。

そんな信頼の関係性があってこそ、
自分の、家族の、大切な人の命が守れるという伝承です。


東日本大震災以来、ぼくも自分なりに色んなことを勉強しました。
東北の地は、長い歴史の中で、何度も津波が襲来して、その度に悲しみと悔しさの涙を流し、後世に教訓を伝えてきました。

最初に書いたように、津波避難にはとても難しさがあります。

他の人のことは放って、自分だけでも避難する。
見殺しにするような考え方とも言えますが、
考察・議論を何周もした上で、この言葉にたどり着いているものと感じます。


自分の命を守ることが、人の命を守る。
『率先避難者たれ』というのが片田教授の教えでした。


先ほど、ニュースを見ていたら、避難された高齢男性がおっしゃっていました。
逃げるが勝ち。逃げなきゃダメだと思った。空振りでも良いから逃げようと思った。」


自然との共生・共存は、ぼくたちが生きていくなかでしっかりと向き合わなければならないものです。
時に荒ぶる自然はこうした災害を起こします。
そのために日頃から備え、話し合っておく必要があると思います。

家族という単位で、
地域という単位で、
話し合いを進めていきましょう。

ウチのNPO法人では、
単に防災を啓発したいということではなく、
こうした『地域づくり』としての、自然との共存・共生を目指しています。


今日もご覧いただきありがとうございました。
昨日に続き、こうしたテーマになってしまいました。
明日は1.17ですね。ネタを考えておきます。
関連した記事をいくつか貼っておきますね。


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