あえての不統一

文末の「だ・である」と「です・ます」を混在してはいけないと、多くの人が認識しているでしょう。しかし『あえて』文末を不統一にすることもあるのです。

■違和感のない不統一
こんな例文があります。
「だけど雨の日も、風の日も、晴れの日も、台風の日でさえも必ず毎週1回いらっしゃるのです。そんな方に、そんなふうに言ってもらえたのがとてもうれしかった。『お姉さんが作るラテ』と気づいてくれるような方がいるんだと思うと、アルバイトながら、もっと丁寧に仕事をやろうと思えた出来事でした。」
全体は「です・ます」を用いた敬体なのですが、「うれしかった」という常体が交ざっています。

■わざと仕込む異質な文末
本来だと「うれしく思いました」と直すのが基本ですが、この文章には「うれしかった」の方が気持ちがストレートに伝わります。こういった不統一は違和感がなければ仕込みとして問題ないのです。

■読者の視点を大切に
しかし、なんでも不統一にするのは好ましくありません。「読み直して違和感のないこと」「説明ができる分け方であること」ができてはじめて、文末の不統一が成立します。読者に変だと思われないよう、文体の混用は最小限にとどめておきましょう。

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