貯金は「取り崩される」もの

バブル崩壊後の不況とともに、「貯金を切り崩す」という表現があらゆるところで使われています。しかしこの表現は間違い。その理由を下記に述べます。

■「切り崩す」はその集団の力を弱める
「月10万円程度の失業手当も打ち切られ、預金を切り崩しながら仕事を探す」という例文があります。違和感を感じない方も多いと思いますが、実は誤った表現です。
「切り崩す」という意味は、「①切り取って形を壊すこと ②相手側の団結を乱してその力を弱めること」の大きく2つ。「崩れる」のは切り取った一部分ではなく、切り取ったもの全体。そのため、「貯金を切り崩す」の表現は誤りなのです。

■貯金は「取り崩す」もの
貯金は「切り崩す」のではなく、「取り崩す」ものです。この表現にすると、一部分を崩していく状態を続けるというニュアンスが表現できます。

■正しい日本語の使い方を優先して
生活困窮者にとって、貯金を引き出すことは生活の切りつめを意味し、身を切られる気持ちでしょう。その気持ちが「切り崩す」の字に表れているとも考えられます。しかし、日本語の本来の意味を考えると貯金は「取り崩す」のが正しいのです。

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