不動産取引における関西と関東の違い

税理士法人 入江会計事務所の北村です。
人生の中で大きな買い物の一つとしてマイホームなどの不動産の購入が
挙げられますが、不動産の売買取引では、関東と関西で違うところがあ
る、ということをご存知でしょうか?
今日はその違いについてお話させていただきます。

①賃貸借契約における保証金や敷金の取り扱い
入居の際に不動産の所有者である貸主が借主から預かった敷金や保証金
は、借主が退去する際に、貸主が借主に返金する必要があります。
入居者がいる状態で不動産の売買を行う場合、売主の不動産の所有者は、
借主から預かっている敷金や保証金を買主に引き継ぎます。
このような不動産の売買の際の敷金や保証金のやり取りの仕方が関西と関
東とで異なります。
関西ではこれらの敷金や保証金の金額を不動産の売買代金から差し引きせ
ずに、売買代金の支払を行います。これを「持ち回り」といいます。
一方、関東ではこれらの敷金や保証金の額を不動産の売買代金から差し引
きして、売買代金の支払を行います。

②固定資産税の起算日
不動産にかかる固定資産税は、毎年1月1日時点の登記簿上の所有者に対
して課されます。
年の中途で行われる不動産売買では、固定資産税を売買代金完済の日を境
にして、その前日までを売主が、当日以降を買主が負担するという形で精
算するのが一般的です。
その固定資産税は関西では4月1日、関東では1月1日を起算日としてい
ます。

例えば、不動産の売買代金が6月20日で完済される場合、関西では4月
1日から6月19日分までを売主が、6月20日から3月31日分までの
固定資産税を買主が負担し、関東では1月1日から6月19日分までを売
主が、6月20日から12月31日分までの固定資産税を買主がそれぞれ
負担します。

③売渡し費用(登記費用)の負担者
不動産取引において必要な登記は、以下のとおりあります。

A.売主の現住所(印鑑証明書に記載されている住所と登記簿上の住所
  が異なる場合の所有権登記名義人住所変更登記
B.住宅ローンの登記(抵当権)がある場合の抵当権抹消登記
C.売主から買主への所有権移転登記
D.買主の住宅ローンの抵当権設定登記

関西では、上記のうちAとBは売主が、Dは買主が費用負担しますが、
Cは「売渡しに要する費用」と「所有権移転費用」に分けて、前者を売
主が、後者は買主がそれぞれ負担します。
一方、関東では、AとBは売主が、CとDは買主がそれぞれ費用負担し
ます。

以上が関西と関東の違い、ということになります。
私たち会計事務所では、このことを知っておかないと不動産業の会計処
理をすることができないので、これらの知識は必須です。
今後とも、お客さまに迷惑をかけることのないよう、知識の吸収を継続
して行ってまいりますので、どうぞご安心くださいませ。

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