消費税 インボイス制度の特例・経過措置について

税理士法人 入江会計事務所の北村です。

消費税のインボイス制度がスタートして4ヵ月少々経過しました。
制度の是非はともかく、会計事務所に身を置いて仕事をする身とし
ては、この請求書の発行主はインボイス発行事業者かどうかとか、
定められている記載事項がきちんと記載されているかなどの確認も
だんだん慣れてきたかな?という印象を個人的には持っていますが、
みなさまはどのように感じておられることでしょうか?

インボイス制度に関する規定は原則的なものから経過措置や特例まで
たくさんありますが、今回はその中からいくつか紹介したいと思いま
す。

①2割特例
消費税の免税事業者がインボイス制度の開始をきっかけとしてインボ
イス発行事業者となった場合には、納付する消費税額を売上等の収入
にかかる消費税額の2割相当額で計算して納付することができる、と
いう特例です。
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの期間限定ではあり
ますが、仕入や経費にかかる消費税を計算しなくとも、売上や収入に
かかる消費税額のみから簡便的に計算できる、というものです。

②少額特例
基準期間(事業年度が1年の法人は前々事業年度、個人事業主は2年
前)の課税売上が1億円未満または特例期間(事業年度が1年の法人
は前事業年度の開始の日から6ヵ月間、個人事業主の場合は前年1月
1日から6月30日までの期間)の課税売上が5000万円未満の場
合は、税込1万円未満の課税仕入については、インボイスの保存がな
い場合であっても、一定の事項を記載した帳簿の保存があれば仕入税
額控除が受けられる、というものです。

ちなみに、一定の事項とは以下のものをいいます。
・課税仕入の相手の名前または名称
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の適用がある場合はその旨の記載が必要)
・課税仕入にかかる対価の額

ただし、この規定は令和5年10月1日から令和11年9月30日まで
の期間限定ですので、その点ご注意ください。

③少額な返還インボイスの交付義務の免除の特例
インボイス発行事業者が返品、割引、割戻しなどの売上にかかる対価の
返還等を行った場合には、返還インボイスの交付義務がありますが、そ
の金額が税込1万円未満の場合は返還インボイスの交付義務が免除され
る、というものです。
この特例については①、②とは異なり、期間限定の特例ではありません。

これらのほかにも、インボイスに関する経過措置や特例は数多くあります
ので、また改めて触れていきたいと思います。

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