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タコ部屋 in the foot

よくよく考えてみたら ここで生活している人にとって未来の押し売りは意に介さない。今のみを生きて 夢や未来は存在しない。なので殆どの人が今を繋げる携帯料金はしっかりと払う しかし持ち金で携帯料金も払えない時もある 外仕事の日雇い労働にとって雨は暗澹たる気持ちにさせる。一日汚れていくらの勝負 僕は一日汚れて¥13,000 時に有機溶剤でヘロヘロになりながら、時に粉塵と排気ガスから身を守るためゴーグル・マスク・ヤッケの上下で恵那山トンネルの暗がりで必死に手を動かしたり、時に誰もいない深夜 火力発電所のバカでかいプラントで 酸素を送る顔まで覆える布の頭巾をかぶりサビを落とす為 高速で噴射される砂のホースを持ち続け夜が明けて、¥13,000の日当なのである。寮費(水道光熱含む)と生命保険を引かれた分が給料で、雨で日数が少なければすずめの涙 これでは暮らせないとなるので内金(前借り)制度がある。ありがたい制度だが人によってはとめどなく行ってしまう 内金が膨れ上がり翌月の給料でも返済出来なくなっている。寮にいる時は所長に直接申告するので、返済金が多い人が更に借りようとすると所長に「このやろう」と怒られて内金の金額を下げられる。所長の存在がコロコロ転がってしまう人がコロコロ転がらないようにと、一定の効果があるしかし、これが出張になると、もう所長の目は届かない。

行き先は福島・千葉・静岡が多い、それぞれに行きつけの飲み屋があり僕ももれることなくお供した。地元の人と交流も楽しいし、方言も新鮮だった。週3回は飲みに出た 飲まない日は僕は部屋で漫画を読むかたまにパチンコ好きの人と一緒に打ちにいった 出張は誘惑も多く首輪も外れているので、おじさんでもフィーバーする 大部屋に酔っ払いのおじさん4・5人いればカオスしかもベロベロに酔っ払った状態で職長の青野さんが「内金どうするだ」とみんなに聞いた 「3万円お願いします」「俺は5万で」と各々金額を申告する。伊豆見工業の中でもピカイチのスペシャリスト 角田さんがベロベロのに酔っ払って大きな声で「俺は3万!!」と言うと、青野さんが「角ちゃんは 10万いかなきゃ」と勝手に増額した、角田さんも「おう 10万でも20万でもいいぞ」と返し、みんなでゲラゲラ笑って 少し経てばみんなぐっすり寝てしまう。そして また宿の朝食を食べ 一日汚れにでっかい火力発電所に向かう。

現場が完了し、寮に戻ると角田さんは内金の多さを所長に怒られる。角田さんはお酒を飲まないと借りてきた猫でしょんぼりしてるが、夜は虎 ガオー。

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