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司法試験に向けて私がしたこと(1)

 私はロースクールを修了して、令和4年度司法試験に合格することができました。そこで、合格体験記といってはあれですが、司法試験に挑戦する方に向けて、私がどんなことを考えながら過ごしていたのか書きたいと思います。勉強方法よりも精神論が多いのですが、参考にしていただければとっても嬉しいです!

 好きで勉強しているひとにはかなわない 

 まず、「とにかく法律を好きになろう」と考えました。

 私は法律に興味があってロースクールに進学しました。ただ、高校時代に理系に少し興味があったものの、物理や化学の成績が悪くて文系の大学に進んだという経緯があります。そのため、大学・ロースクールに在学中も「理系の人ってかっこいい!」という憧れがあり、よびのりたくみさん、はなおでんがんさん、積分サークルさん、鈴木貫太郎さん、しがない数学徒さんなど、理系ユーチューバーの動画をよく見ていました。そこで私がいつも痛感していたのは、「好きで勉強している人にはかなわない」ということです。
 例えば、積分サークルさんの動画は、大学入試の超難問を仲間同士で解いて競い合ったり、アニメキャラクターの強さを数学・物理・化学などを駆使して明らかにしたりと、かなり勉強要素の強い内容となっています。しかし、そこに登場する現役の大学生、大学院生のメンバーは、目を輝かせてその企画に取り組んでおり、理系知識のない視聴者にまでその楽しさが伝わってきます。

 私はこのような動画を見て、「これが勉強の究極の理想形だ」と感じました。嫌々勉強するよりも、好きで勉強するほうが良いに決まっています。そこで私は、法律をもっともっと好きになって、勉強に伴う辛さを上回るほどの楽しさを感じられるようになろうと考えました。そこで、普段の勉強に加えて、法律に関する面白そうなイベントにはできる限り参加しました。
 例えば、ロー1年次に、沖縄から東京まで行って日本私法学会(民法・商法の学会)を聴講しました。会場である立教大学には、法学を勉強するひとであれば誰でも耳にしたことのある有名な民事法学者が勢ぞろいしており、それだけで感動ものでした。もちろん、学会で取り扱われる内容はとんでもなく難しくて(不動産所有権がテーマでした)、ロー1年次の知識では到底理解できなかったのですが、私にとって夢のような体験となりました。
 また、ロー2年次には、先生方の指導のもと、民法をテーマとした研究論文にチャレンジしました。ローの授業の予習・復習・課題に取り組みつつ、先行研究を調べ上げて研究論文を作成するのはとにかく大変でした。しかし、指導担当の先生方が親身になって指導してくれたおかげで、何とか最後まで書きあげることができました。また、研究した成果を先生方やローの後輩の前で発表する機会まで用意していただきました。
 もちろん、学会の聴講や研究論文の作成は、必ずしも司法試験に直結しません。しかし、私にとって決して無駄ではありませんでした。

 法律に興味があって勉強をスタートしたのに、いつのまにかイライラしながら勉強しているということがあるかもしれません。これは、本番や模試で点数を取ることだけが目的となって、効率化ばかり追求した勉強をしていることが原因だと思います。人によるとは思いますが、効率化を重視した勉強は試験の即効薬になるものの、味気ないことが多いです。
 試験直前ならば仕方ないと思います。ただ、そうでないのであれば、たまには敢えて効率化を無視して、自分の法律に対する興味を刺激してみてはいかがでしょうか。例えば、勉強していて興味をそそられる判例と出会ったら、その下級審判決や調査官解説、判例批評(法学研究者による解説論文)などを読むのがおすすめです。気分転換になりますし、なにより「この判例については誰よりも詳しいぞ!」と自信がつきます。せっかく興味を持った分野があるのに、司法試験で聞かれる範囲の知識(条文の趣旨と判例規範あたりでしょうか)だけ学習するのではもったいないです。
 「そんなの読むなんて時間の無駄だ、試験に何の役にも立たない!」という意見もあると思います。確かに、上記の方法は「試験のための学習」ではありません。しかし、「法律の学習」にとって非常に重要だと思います。

まとめ

 司法試験は法曹になるための資格試験ですが、試験対策の前に、興味関心を持つことがとっても大切だと思います。
 あともう一つ大切なことがあるのですが、続きは次の記事で書きたいと思います。
 

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