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ミニマリズム:シンプルに幸せに生きるためのコツ

マテリアリズム
物質主義。物質的・即物的なものごとを、精神
的なものごとよりも優先させる考え方のこと。

Materialism (/məˈtɪərɪəlɪz(ə)m/)
A tendency to consider material possessions and physical comfort as more important than spiritual values.

マテリアリズム/物質主義のオルタナティブな概念が、ミニマリズムだ。

最近ミニマリズムについてのコンテンツを見る機会が多かったので、少し考えをまとめてみたいと思った。

まず、観た映画はこちら。

”Minimalism: A Documentary About the Important Things”
”ミニマリズム 本当に大切なもの”
Netflixでみれます。

物質的な豊かさが幸せをもたらすというアメリカ的考え方を拒否し、シンプルな暮らしを実践するミニマリスト。真に大切なものとは何かを問うドキュメンタリー。
- Netflix

ポイントをまとめると
・広告やSNSが物に囲まれて充実した生活をpromoteしている
・アメリカのMaterialismは、中国製の製品の流通が増えたことにより物の販売価格が急激に下がったことから起因している。また、一般的にアメリカ郊外では家が大きいので空いたスペースを埋めるために消費している。
・fast fashionの影響も見逃せない。今まで以上に情報が早く行き交うこの時代に、新しいトレンドを追い求めて人々はシーズン毎にファッションアイテムを買う。これは服だけでない。全てのものが機能性ではなくファッション性がより求められる傾向があり、まだ使えるものがあるのに人は新しいものを欲しがる。
これのわかりやすい例は、iPhone。毎年新しい型が出ると、人々は発売日にappleストアの前に行列を作る。

ドキュメンタリーの後半では、子供向け商品の広告にも触れている。(卒論でメディアによる子供の自己肯定感への影響について書いたり、個人的にとても関心のあるテーマ)

つまり、企業はより購買を促すためにCMやプロモーションを行うが、その影響がエシカルかどうかは軽視されがちということだった。大体の企業の目的は消費者に多くのお金を投資されることであって、例えばジェンダーレスなおもちゃを世の中に出すことではない。

このドキュメンタリーは、大量にものを所有することやストレスを発散するために散財することを否定しているわけではない。ただ、「その買いたい、という欲求は本質的なものなのか?抑えることのできないものなのか?」と視聴者に問いかけている。

物質主義と聞くと、私は自分の母を思い出す。

私は24歳で自活を始めるまで神奈川の田舎で育ったが、子供の頃から母との休みの日の楽しみといえば買い物だった。小学生の頃はそれが本屋だったこともあったが、大抵はショッピングモールなどに車で乗り付け、いくつものテナントを覗き洋服やアクセサリーを買ってもらった。

私と母の部屋のクローゼットにはいつ着るのかもわからない洋服が溢れ、ドレッサーには使いきれない美容用品やアクセサリーがいっぱいだった。

更に、私が中学生の頃には某ディズニーのキャラクターにハマり、シーズン毎に発売される限定の着せ替えクマを欠かさず買うようになった(わざわざネット通販してまで!)現在実家にはおびただしい数のクマがコレクションされたスペースがある。

私がはじめて違和感を強く感じたのは、母と二人でサンフランシスコを旅した時だった。
二人での海外旅行は初めてで、確かに私たちは浮かれていた。もう2回と来ることのないだろう異国の地で、目に移るものはとてもめずらしく、思い出をたくさん持って帰りたい気持ちではあった。

サンフランシスコに4日ほど滞在したあと、母はそのまま日本に、私は友人に会いにアラスカに飛ぶ予定だった。英語が話せない母を空港のカウンターまで見送って、私はアメリカの国内線へと乗り継いだ。

初めての一人でのフライトを終え(英語もあまり話せず、日本人が誰もいない機内でガチガチだったのを今でも覚えている。当時19歳。)無事にアンカレッジへと到着した私の携帯には、母からLINEが届いていた。

なんとスーツケースの容量がオーバーしてしまい、日本語の通じないスタッフの前でなんとか中身を手持ちのカバンに移し替え、事なきを得たという。とんだ赤っ恥だったと、母からの報告だった。

もちろん私の分の荷物を持って帰ってもらったのもあるが、4日間の滞在で相当な量のお土産を買ったのだろう。

中身がなんだったのかは今は、あまり思い出せない。

一方で私は、物が溢れる実家を離れ、22歳の時に単身アメリカ留学をした。

たった1年の滞在で寮生活だったので、事前に何も送らずスーツケース2個で渡米した。その後の生活もなぜか感覚的に「ここは来年の春には離れる場所だ」という気持ちが強くあり、あまり物は買わなかった。多くの場所に旅行もしたが、お土産もポストカードなどかさばらないけどその土地の特色が残せるようなものを多く買っていた。

春になり帰国に向けてパッキングを始めた時、もともと持参したスーツケース2個と、追加で購入した機内持ち込み用の小ぶりのスーツケース1個に1年分の荷物が収まった。教科書や本も購入したので、重さ等を考えてどうしても1つ増やす必要があったが、それでも大量の荷物を日本に送り返さずに住んだのは気持ちがよかったし、お金を無駄に使うことにもならなかった。

所持品を増やすことがなくても思い出は変わらないし、何より余分なものがないということは非常に気分がよかった。

この経験を気に、私は「所有しないことの喜び」を知ったと思う。

少し前(2014年)に話題になった本がある。

2年ほど前に移動中に読む本が欲しくて立ち寄った本屋で買ったのだが、物質主義という文脈で思い出し、読み返してみた。

「フランス人は10着しか服を持たない」というのは、事実かどうかは置いておいて、より少ない所持品の質にこだわることで何気ない日常を素敵なものにしようとうメッセージを表している。

物だけでなく振る舞いや人との関わり方もシンプルに、質にこだわった方が素敵ですわよ、という意図が込められているのだが、コロナ禍で外にでれずヤキモキと通販サイトを眺めていた所に喝を入れられたような気持ちになった。

By having less, you automatically stretch what you do have.
- "Minimalism: A Documentary About the Important Things"
生活がマンネリ化して、ささやかなことに喜びを感じられなくなったら、いちばん効果的なのは五感をフルに生かすということ。ロマンティックな外国の街でヴァカンスを過ごさなくたって、みずみずしい喜びにあふれた暮らしはできる。1日じゅうオフィスで働き詰めでも、公園で子どもの相手ばかりしていても、どんな状況だって楽しく過ごすことはできる。パリの石畳の小道を歩いていても、ニューヨークの人ごみをかきわけながら歩いていても。すべてのできごとは、あなたがどう受けとめるかにかかっている。どうなるかは、あなた次第で決まるのだ。
 - ”フランス人は10着しか服を持たない パリで学んだ”暮らしの質”を高める秘訣”

何かを買いたい、食べたい、どこかに行きたい、と言った欲求が自分の中に生まれた時に、一度立ち止まって考えてみることが重要なのだろう。

「その欲求は本当に自分が必要と思っていることなのか?」
「社会や広告に扇動されていないか?」
「それをすることで、本当に自分は幸せになれるのか?」

本当に必要なことなら実行に移せばいい。
コロナ禍で生活に制限がかかりストレスの溜まる日々だけど、有限のお金を時間を大切に扱うためにも、自分の心に問いかけてみることが重要。

自分で自分の欲求をコントロールしているという感覚が、私は一番幸せだ。

実家の母に、本を送ってみようかな。
今彼女が、日々の生活に満足しているなら余計なお世話だろうが、そうでなければ幸せになれるヒントになれば嬉しい。

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