見出し画像

【同時通訳演習 第11回振り返り】通訳者 村&柘&栗

こんにちは!
今回は、3月14日に同時通訳演習第11回にてトリオで通訳チームを組んだK、柘、村で演習の振り返りをさせていただきます。こちらの同時通訳演習は関根マイクさん主催の英語通訳塾の授業の一環として行われたものです。

ものづくりと安全管理

村:今回の同時通訳演習では受講生Aさんの日本語でのプレゼンを英語へ通訳しました。タイトルは「ものづくりと安全管理」です。Aさんご自身が会社の安全管理のための施策を翻訳、通訳されるお仕事をされていると前々から聞いていたこともあって、非常に個人的に興味はあったのですが、私(村)にとって苦手な日英の演習、かつ内容が非常に日本的で訳しにくい部分があり、苦しい同通演習となりました。

今回の演習を振り返って

村:今回の同通演習を振り返って、というより同通演習を重ねてきた上でという部分が大きいのですが自分にとって馴染みの薄い内容、不安の大きい内容の演習になればなるほど、準備の方向が少しずれてきてしまっていたと感じました。少し前から自信よりも心配、不安の方が多くなってしまい、プレゼンの資料や説明会の内容をもとにほぼ全体のコンテンツのカンニングペーパー(単語の対訳やベタ訳をまとめたもの)を5〜6Pくらいにまとめたものを作成し、常に手元に置いて演習を行なっていました。そうなると話者が自分の想定していた流れと違う方向で話をしたり、ちょっとした言い回しが違った際に想像以上に焦ってしまいました。また、カンニングペーパーがあることで、その内容を使用したい、言いたいと思ってしまい(逐次通訳でメモに囚われすぎているのと同じような状況)聞き手を意識することが全くできなくなってしまっていました。

栗:全く同感です...このスライドに書かれていることで、私の理解が曖昧なところはなんだろうか?ああこれもわからない、これもよくわかっていないと調べれずにいられず、気づいたら「この時間、もっと別の方向に使えたのでは?」とハッとすることがありました。演習の回を重ねるほど、自分にとって未知の分野のことについて訳すことの難しさを感じます。 

柘:タイトルの「ものづくり」という言葉からも日本語感満載で英語に訳しにくいプレゼンになるなと予想できました。やはり中身を見ると「赤チン災害」「ヒヤリハット」「5S」「スカを食う」など日本の製造業で発達した独自の用語がたくさん出てきて、面白いと思うと同時に訳に困るものばかりでした。トヨタ用語などは英語圏でも使われていて検索すれば出てくるものも多かったですが、そのまま言っても伝わらないのでこれをどう言うか?に苦戦しました。また個人的には「モンキースパナ」など日本語でも普段言わない、使わない、イメージがわかないものも出てきたのでこの道具と組み合わせて使う動詞から調べないといけませんでした。

よかった点・うまくいかなかった点

よかった点
村:同通演習を重ねるごとに話者と自分の話すペースを揃えて並走するということにはだいぶ慣れてきました。最初の数回に頻出していた焦るあまり言葉になっていない部分というのはほとんどなくなってきたので、本当に同通の練習とはやればやるほど慣れる部分が大きいのだなあということが身に染みてわかりました。声のペースも落ち着いて出せたのでその部分は良かったと思います。

栗:最近読んだ本や事前準備から学んだことを少し活かすことができました。例えば「不定期点検は、長期間のライン停止や自然災害後に異常がないか管理監督者が行います。」という箇所の一部を、シンプルにafer long suspention of production lines (続き省略)と訳出することができました。

また、「ここから1文は事前打ち合わせで話してていたことだな」と踏んで一度訳すことができたということもありました。加えてスピーカーに遅れてた時、「全部こぼすよりかは」と、本当にメインだけを切り取って他追いつくことも一度だけできました。少し声を使えた箇所もありました。
と、ちらほらとうまくいったことを挙げました。ですが、全体を聴くとなんとか走って、つまり早口で話して、やっとの事で伸ばしたラケットの先に時折ボールが当たって返ることがある、というような訳でした。しかもなんとか訳したけれどもあまり重要ではないのでは?と思える箇所もいくつもありました。当たらないよりかはまだいいのかもしれませんが、同時通訳はやっとの事で追いついて時々なんとか当たる、というのではお話にならないわけですので、嬉しいと同時に反省しています。

柘:6回目ということもあり、声は落ち着いていたと思いますが最後を飾るにはあまりいいところがありませんでした。

うまくいかなかった点
村:上にも記載しましたが、カンニングペーパーに囚われすぎてしまい、話者の話している内容と自分の手元にある内容を照らし合わせることしかできなかったためデリバリーのクオリティが非常に低くなってしまいました。言いづらい部分を自分の言葉で出すという部分が全くと言っていいほどできませんでした。

栗:まだまだ乗り物酔い通訳です。そして、想定外の内容の時にパニックになり、メインメッセージすらとれず不完全な文になってしまうこともありました。また、うまくいったことの所で総じてなんとか追いついて時々当たったようだったと書きましたが、追いかけることすら諦めて突っ立っていた、長時間沈黙してしまったこともありました。
何より相変わらず単数、複数、冠詞、基本的な英語のミスが非常に多く、自分の録音を聞き直していて苦しかったです。フォームも道具もままならない状況で、テニスってできたっけね...。

柘:これまでの演習でも全般的に言えることですが、事前に用意したメモに頼りすぎてしまっています。予測を立てて自分で作った台本的なものから話が逸れると途端にあわあわして訳せなくなってしまいます。特に今回は話者が原稿を読み上げるスタイルで、打ち合わせ時から想定していたよりもスピードが早く、ついていけないところが多くありました。作業者の基本行動である5S(seiri (整理), seiton (整頓), seisō (清掃), seiketsu (清潔), and shitsuke (躾))の説明のときには手元のメモには日本語版と英語版を用意していたのですがとっさに日本語が目に入り、日本語を言ってしまいました。これでは聞いている人は訳がわかないなと思いながらも巻き返せず補足説明をすることもなく突き進んでしまいました。聞き手に優しくない通訳になってしまい後悔しています。

次回への改善点/取り組み

村:次回が最後の同通演習となりますが、次は聞き手に内容を伝えるという原点とも言える部分に立ち返ってチャンスを無駄にすることのないようやり切りたいと思います。

栗:次回の演習が最後なので、通訳の基礎、同時通訳の基礎を意識し前回の英日の際の反省をいかしたいです。

柘:今回で私にとって日英、英日3回ずつの計6回の同時通訳演習が終わりました。今回の演習で人生で初めて同時通訳を行いましたが、事前打ち合わせ、準備、別の人とペアを組んでの実際の通訳、そしてレビューをするという本当に貴重な一連の機会を持たせていただきました。自分の弱み、特に何を強化すべきかがわかりました。実際のところ全てが弱いのですが、特に声の使い方を意識することは大事で、逆に、準備をしっかりすれば自信を持って話せることがわかったのは大きな成果でした。もちろんできなかったことの方が多かったです。それでも実際にやってみて通訳として通用するレベルがどれだけ難しいかがわかったのは今後に向けて大きなモチベーションになりました。


栗、柘、村による振り返りは以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
引き続き通訳塾ブログをよろしくお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?