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日本の一風堂がユニフォームをリニューアル。エプロンに込められた想いとは?

ラーメン店の固定概念をユニフォームから変えていく

今回の三者による座組の中で大変だったことやエキサイティングだったことについて聞かせていただけますか?

森永邦彦:そもそも、距離によって見え方が変わる洋服をどうやって作るのか。本当に実現できるのか、実はわかりませんでした。プログラマーのQOSMOの浦川通氏に協力をして頂き、生地に特殊なプログラミングを埋め込み、遠近で異なるものが見えてくるというデザインに成功しましたが、「ダメかもしれない」という結果が有り得るということは常に考えていることなんです。そういった綱渡りのものづくりでなければ、新しいものは絶対に生まれないと信じていて。

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河野秀和:森永さんのデザインとコンセプト提案には毎度驚かされます。目の錯覚を起こすテキスタイルの実現には、技術的な調整はもちろんありましたが、何度もパッションをぶつけ合いながら完成しました。まさに、森永さんがおっしゃったような、綱渡りのものづくりでした。ユニフォームですから当然耐久性や伸縮性が求められますし、エプロンには撥水性、シャツやジャケットや帽子には消臭性に優れたハイテク素材を使っているので、森永さんのデザインを実現できるか検証するプロセスに苦労しました。

森永邦彦:サイズも大変でした。僕らは普段モデルとなる人物にサイズを合わせて服を作っていきますが、今回はまったく違うサイジングでも洋服のデザインを成立させる必要がありましたから。

島津智明:一風堂のスタッフは体型も身長も年齢も幅広いですからね。高校生から60代、細身から僕の3倍くらい立派なスタッフまでいて、アンリアレイジの独創性がありながらも、スタッフみんなに似合うようにと、森永さんと河野さんにはかなりのご苦労をかけたと思います。でも丁寧なコミュニケーションと最後まで粘り強くクオリティを求めてくださったおかげで、素晴らしいユニフォームが完成したという達成感があります。

河野秀和:我々は全国の250以上の縫製工場や生地メーカーと連携しているのですが、エプロンとシャツとジャケットは一風堂の発祥の地である福岡の工場にお願いしました。4種の帽子は熊本です。いずれも高級ブランドから指名される、細部までまったく妥協しない職人さんたちの手によるものです。日本のものづくりの誇りを一風堂のスタッフの皆さんに着ていただけるのはとても嬉しいですね。

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では最後に、一風堂としてのこれからの想いを聞かせてください。

島津智明:現場から発想した細部までのこだわりと、僕らが考えもしなかった振り切ったアイデアを九州の工場で縫い上げていただいて、本当に特別なユニフォームができました。これを着て働くということが、スタッフ一人ひとりのやりがいや誇りにつながってほしいと思っています。一風堂にはさまざまな造りの店舗がありますが、それぞれのお店で実際に着てみたらどう見えるのか、そこを含めて非常にワクワクしています。なによりも、このユニフォームが似合う自分たちでありたいですね。

森永邦彦(もりながくにひこ)
ANREALAGEデザイナー。

1980年、東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。
大学在学中にバンタンデザイン研究所に通い、服づくりをはじめる。



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