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あの名酒の作り手が、月イチで一風堂スタンドへ。 日本酒交流イベント「酒蔵ナイト」へ行ってきた!

IPPUDO JAPAN / June 16, 2017

2017年2月に福岡・天神にオープンした「一風堂 天神西通りスタンド」では、この5月から毎月第4木曜日に、各地の酒蔵から日本酒の作り手をゲストに招待した交流イベント「酒蔵ナイト」を開催することになりました。作り手の想いや、それぞれの味の特徴などを聞きながら呑むことで、日本酒をより深く楽しんでいただきたいという趣旨のこのイベント。今回の記事は、そんな「酒蔵ナイト」1回目を体験してくれた、福岡のラーメンライター・上村敏行さんによるイベントレポートです。

あの名酒の作り手が、一風堂スタンドにやってくる。

ラーメンライターの上村です。私、ラーメンをすすって、すすって、すすり続けておよそ20年。各媒体でラーメンの魅力や各店主さんの熱い思いを、食べ手代表として書かせていただいています。ゆえに、ラーメンのワールドワイドな人気の広がり、ボーダレス時代への突入と、業界の変革を間近で感じてきました。そんな流行り廃りのある激流のなかで、ここ最近話題になっているのが、“立ち呑みできる一風堂”こと「一風堂スタンド」です。

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無数の提灯が目印の「一風堂 天神西通りスタンド」。テラス席もあります。

「一風堂スタンド」は、昨年、東京・浜松町に1号店ができた日本酒とラーメンが楽しめる新業態で、九州では天神西通り店のみ。 “日本酒とラーメン”というスタイルは、IPPUDO N.Y.で以前自ら体感してきましたが、こちらはもっとカジュアルないわゆる“酒場”。日本酒はスタンダード380円からで、N.Y.店で人気を博している逆輸入サイドメニュー「博多バンズ」など、おつまみも豊富です。お馴染みの白丸元味、赤丸新味のほか、糖質量が半分の細麺を使った「低糖質博多中華そば」など、新ラーメンも楽しめるのも魅力。

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その「一風堂 天神西通りスタンド」で、日本酒の作り手をゲストに招いた交流イベント「酒蔵ナイト」の第1回目が5/25に開催されました。私、日本酒に関してはビギナーなのですが、一風堂が仕掛ける“本気”の日本酒イベントとはどのようなものかを確かめるべく参加。何より一風堂ファンとして、新しいムーブメントが原点の福岡から始まるということが嬉しいですね。

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イベント開始とともにあっという間に店内が満席に。この日だけの日本酒もありました。

日本酒ビギナーにも優しい、「イロハニ枡」や「味わいチャート」。

イベントスタートの19:00前にはすでに満席の盛況ぶり。リニューアル後の店内は、多数の提灯があしらわれるなど、以前に増してにぎやかな雰囲気になっています。この日は、福岡・大刀洗町にある大正11年創業の酒蔵「みいの寿」の4代目、井上宰継さんがゲスト。まずは入店時に日本酒飲み比べセット(1,500円)を購入して自由に席につきます。セットのラインナップは、「バトナージュ」「フェリーチェ」「純吟超辛口」「美田 辛醸」の4種類。枡の側面に“イ”“ロ”“ハ”“ニ”と書かれた枡で提供されるのですが、これは利き酒ができるように仕込まれたもの。お品書きに書かれた銘柄と照らし合わせながら、一杯ずつちびちびと楽しみます。こういう日本酒のイベントには初めて参加しますが、肩肘張らない感じがいいですね。大型スクリーンには、「みいの寿」のヒストリーや製造工程の様子が流れ、各席をまわる4代目井上さんとざっくばらんに話しながら日本酒を楽しむスタイルです。利き酒セットの分かりやすい枡もそうですが、一風堂スタンドの日本酒のメニュー表はスタンダード、スペシャル、プレミアムとカテゴリ分けだけでなく、すっきり飲める「モダン」タイプやしっかりとした「クラシック」タイプなど味わいがチャート図になっていてビギナーでもとても選びやすい。それぞれの日本酒に合うつまみも一目瞭然になっています。

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(上)利き酒を楽しめるイロハニ枡。 (下)日本酒は味わい別にチャートで分かれているので、初心者でも選びやすい。

ちなみに、一風堂スタンドのスタッフはこの日のために事前に「みいの寿」まで足を伸ばしてお酒を仕入れてきたとか。また、そこで手に入れた酒粕を元に「酒粕チャーシュー」なるおつまみを作ったり、大刀洗町の「立石蒲鉾店」の極鯖を日本酒のペアリングのおつまみにしたりと、サイドメニューもご当地色を活かそうというこだわりを感じます。

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スタッフが、大刀洗町の「みいの寿」まで酒蔵見学に行ってきました。

目の前で作り手の話を聞けるという贅沢。

そうこうしていると、今日のゲスト「みいの寿」の井上さんがこちらの席まで来てくれました。「全国各地のイベントでよく話させてもらうのですが、数ある日本酒のなかでも“自分に合う日本酒は3割ほど”だというのが持論です。だから、日本酒を好きになるも嫌いになるも最初に出会う一杯がすごく重要。より親しみやすく間口を広げるための大前提として、真に日本酒を好きになってもらえるよう、しっかりとしたものを作り続けたいですね」と井上さん。

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「みいの寿」4代目の井上さんと、イベントを共同開催している「住吉酒販」の橋本さん。

ちなみにこの日は、「フェリーチェ(生)」という当イベント限定のお酒も出されていました。「今シーズンの最初のフェリーチェです。火入れをしていない生酒のフレッシュ感を楽しんでください」。そういう作り手の思いやこだわりを聞きながら呑む日本酒はいつもより一段と美味。呑み比べだからこそよく分かる味の違いを「うん、うん」と、ちょっと知ったかぶり(笑)しながら確認していくのが楽しく、キレのいいシャープな味の「純吟」、そして追加で頼んだ「美田 にごり」が特に気に入りました。あまり呑みなれない日本酒に、だいぶ酔っぱらいましたが、シメにはもちろんラーメンを。ライトな「低糖質博多中華そば」は呑んだ後にちょうど良いですね。

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最後はやっぱり麺で〆るのが、ラーメンライターの美学。

今回実感したのは、「一風堂 天神西通りスタンド」は、ラーメン目当てでついでに日本酒、はたまたその逆でも存分に楽しめる店だということ。この「酒蔵ナイト」もこれから毎月第4木曜日に開催予定ということなので、ぜひご体験ください。新たなラーメン&日本酒ワールドが広がるはずです。

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チケットは百人一首風。外国人のお客さんが特に喜んでいました。

WORDS by TOSHIYUKI KAMIMURA
上村敏行
昭和51年鹿児島生まれ。平成14年、ラーメン好きが高じて担当した九州ウォーカー(現福岡ウォーカー)の連載「九州ラーメン最強列伝」をきっかけにラーメンライターに。以降年間300杯以上を食べ続け、各情報誌、ブログを中心に執筆。これまで食べたラーメンは数千杯、取材したラーメン店は1000軒を超える。平成23年編集プロダクション「株式会社J.9」設立。食を通じた地域活性化を目的とした「(一社) MESI-OKOSI company」理事。近年のラーメンへの活動は、福岡ウォーカー、ラーメンウォーカー、福岡麺BOOK、ソフトバンクホークスカチドキレッドラーメン祭監修、NEXCO西日本麺王決定戦審査委員長、福岡ラーメンショー広報など。the guardianにも掲載。
https://www.theguardian.com

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