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前代未聞のお祭りからスタートした 一風堂の31年目

2015年10月16日に創業30周年を迎えた一風堂。当日はリニューアルされた2大看板ラーメンの「白丸元味」と「赤丸新味」を全国でなんと18,000杯無料(店舗限定・数量限定)で提供する『振る舞いラーメン祭』を開催しました。「無料でラーメンを振る舞う」というニュースは、メディアやSNSでも話題騒然。単に話題性を狙ったお祭かと思いきや、そこには創業30周年の日を迎えた一風堂のこれまでとこれからが凝縮されていたのです。

WORDS by SHOTA KATO (OVER THE MOUNTAIN)


これまでの30年への“感謝”とこれからの30年に向けた“進化”

「振る舞いラーメン祭」当日はあいにくの小雨模様。にもかかわらず、店舗の外には店頭の情報だけでなく、多くのメディアやネット上で噂を聞きつけた大勢の人々が列を成していました。

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寒空の下で待つ一人ひとりに300枚の整理券を配り、感謝の気持ちを伝えるスタッフたち。「振る舞いラーメン祭」は昼夜2部制、整理券はわずか2時間足らずでなくなってしまう盛況ぶりでした。

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そんな一度だけの創業30周年の日。当日の模様から一風堂は何を想ったのか。「振る舞いラーメン祭」を企画した経緯を含め、一風堂の運営会社である株式会社力の源カンパニー取締役・営業本部長、島津智明さんにお話を聞いてみました。

− 限定30店舗ながら、なぜラーメンを無料で振る舞うという企画を実施したのでしょう?

島津さん一風堂が30周年を迎えられたのは、ひとえにお客様の支えがあったからこそ。その30年間分の感謝と、これからの30年もよろしく願いします、という気持ちから、30店舗、昼夜各300食の振る舞い企画を考えました。これまでの創業記念日には、替玉の無料や創業時のラーメンを創業価格で提供する、というイベントを開催しましたが、今回の振る舞い企画のようなイベントははじめての試みですね。

− 無料で振る舞われたのは、リニューアルした2大看板商品「白丸元味」「赤丸新味」ですが、なぜ一風堂の定番として愛されてきた商品をグレードアップさせることを決めたのですか?

島津さん一風堂には「変わらないために変わり続ける」という理念がありますが、実は毎年、お客様に分からないレベルでもレシピ変更を行っています。10、20周年も大きな商品変更を行いました。それは、お客様に飽きられないように、喜んでいただけるように、常にお客様の「おいしい」と思う一歩上の味を提供するためでもあります。30周年のこのタイミングでも、次の10、20、30年を見据えて、大幅に味を変更しました。

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−これほどまでの話題をさらい、集客を成功させた今回の『振る舞いラーメン祭』、まさにお祭となりました。振り返ってみて、お客様の反応をはじめとする当日の模様からどんなことを感じましたか?

島津さん当日の準備やサービスに至らない点もあり、お客様にご迷惑をお掛けしたこともありましたが、たくさんのお客様に温かいお言葉や笑顔をいただきました。「これからも通います」と言っていただける常連様もいらっしゃったので背筋が伸びる思いでした。社員、スタッフ一同、飲食業の原体験というか、温かいものを体感、共有できたのではないかと思います。

番外編

ラーメン界の精鋭たちをお迎えして行われた試食会

30周年の前々日にあたる2015年10月14日(水)、一風堂の東京1号店にあたる恵比寿店では、メディア関係者向けに試食会が催されました。試食会には30名超が参加。全面リニューアルされた「白丸元味」と「赤丸新味」に次のような声が。

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山本剛志氏
ラーメン評論家

白丸元味 スープの豚の旨味が引き出されつつ、臭みを感じさせない点にはおどろきました。麵がのびにくく感じられ、ゆっくり食べてもへたらないのは良いですね。
赤丸新味 赤丸新味の味付けには「攻め」の部分を感じる。これからも変わり続けていくであろう意欲を味わえました。 

大山正氏
フードスタジアム
代表取締役社長

赤丸新味 辛味噌と玉ねぎの甘みの強さが印象に残りました。一杯で完結するラーメンという感じでしょうか。ガツンと男性の方に食べてほしい味かなと思いました。

 吉本匠將氏
ラーメン評論家

白丸元味 以前よりもファーストインパクトは控えめですが、食べ進めるに連れて力強さが徐々に出てきます!完食してこそ分かる魅力!!
赤丸新味 賑わせながらもバランスの取れた味わい。どっしりとしたコクに、辛味噌と香味油のキレが生きています。 

勝野哲史氏
ラーメンWalker編集部
白丸元味 スープの甘みが増したような気がしました。相変わらずおいしい一杯を食べさせてもらえ、感激です。
赤丸新味 辛味噌は中央にあるよりも丼のふちにあった方が食べやすいし、より自分のタイミングで溶かせるかなと、感じました。


WORDS by SHOTA KATO
加藤将太 / OVER THE MOUNTAIN

IPPUDO OUTSIDE 編集担当。1981年、山梨県生まれ。紙・ウェブ媒体の企画・編集・文章執筆からイベント・番組の司会進行まで幅広く担当。2011年3月にウェブマガジンCONTRASTの立ち上げに携わり、2013年7月より世田谷は松陰神社商店街のシェアオフィスを活動拠点とする。2014年10月には自営業の屋号として「OVER THE MOUNTAIN」を開設。今日も明日もこれからも「ひと山を越え続ける」。

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