なぜ一風堂はお冷やにルイボス茶を出すのか? 南アフリカ原産の万能茶、その魅力に迫る!
IPPUDO JAPAN ・November 10, 2017
「これ、何のお茶ですか?」。一風堂でお冷や代わりに提供している飲み物について、よくお客様に尋ねられる質問です。答えは「ルイボス茶」。南アフリカ共和国原産で、今では世界中で愛されている万能茶です。今回は、このルイボス茶にフォーカス。世界中にルイボス茶を広める活動をしている「ルイボス・マーケティング・リミテッド」社長のクリントン・ガスさんに、その奥深い魅力を教えていただきました。
一風堂がルイボス茶を出す理由
一風堂ではお客様が着席されるとルイボス茶をサーブするのが定番。(※一部異なる店舗もあります)
ルイボス茶は、南アフリカ共和国のセダーバーグ地方のみで栽培されているお茶です。ノンカロリー・ノンカフェインで、抗酸化作用のあるポリフェノールを含むことから、健康や美容に良いお茶としても世界中で親しまれています。そんなルイボス茶を、一風堂がお冷やしとして出すようになったのは、2001年頃から。それまでは、よくある麦茶や氷水を出していましたが、創業者の河原成美がルイボス茶の存在を知り、スッキリとした味わいが豚骨スープと相性が良いと、全店での導入を決めました。今ではすっかり一風堂の定番茶としてお客様にも定着しています。
ルイボス茶の伝道師に話を聞きました
南アフリカ出身のクリントン・ガスさん。爽やかなイケメン社長です。
そんなルイボス茶の魅力をより深く探るべく、お話を聞いたのがこの方。ルイボス茶を世界へ普及させるべく活動されている「ルイボス・マーケティング・リミテッド」社長のクリントン・ガスさんです。南アフリカ共和国の出身で、23歳のときに合気道を学ぶために来日。平行してMBAも取得し、母国・南アフリカのルイボス茶を広めるビジネスを行っています。
南アフリカでは、ルイボス茶はどのように親しまれているのですか?
ガスさん:紅茶の代わりに飲まれていますね。イギリスの植民地だった時期が長い国だから、紅茶を飲む習慣があったのです。ルイボス茶は紅茶の健康版みたいなイメージで、ミルクと砂糖だけ入れて、ティータイムにクッキーと一緒に飲むことが多いです。日本人にとっての緑茶のような存在で、日常的に親しまれていますね。
いわゆるティータイムの定番。クッキーやチョコレートとご一緒に。
日本ではどのように広まっていったのでしょう?
ガスさん:日本に初めて輸出されたのは1983年です。輸出国としては日本とドイツが古くて、どちらも健康茶のイメージでマーケティングされていました。でも私は、健康のためだけでなく、日常的に飲めるお茶として流通させたいと考えていました。だから、初めて一風堂でラーメンを食べたときに、ルイボス茶が出てきたのには本当に驚きました。
確かに、一風堂でもルイボス茶はお客様に喜ばれています。
ガスさん:ラーメンは、日本の国民食ともいえる、日々の暮らしに根付いた食文化ですよね。そんな風に、南アフリカのお茶が外国の人たちの日常に深く入り込んでいくのは素晴らしいことだと思います。よく商談などで相手の方に聞くんです。「ルイボス茶、飲んだことありますか?」と。「ないです」と答えた人に「では一風堂には行ったことありますか?」と聞くと、「あります」と。「あそこで出ているお茶がルイボス茶です」というと、「ああ、あのお茶ですか!」と話が通じるんです(笑)。ですので、一風堂はルイボス茶の普及に大きく貢献してくれていますね。
まだまだある! ルイボス茶の楽しみ方
ガスさんだからこそ知っている、ルイボス茶の楽しみ方はありますか?
ガスさん:まずは最初に話したような、紅茶感覚で飲む方法ですね。濃く煮出して、ミルクティーにしても美味しいです。最近では、ルイボスカプチーノ、ルイボスエスプレッソなど、カフェメニューとしても人気が出ていますね。あと、アルコールと合わせるのも良いですよ。焼酎をルイボス茶で割ったり、ウォッカとミントリーフでカクテルみたいにしたり。アルコールを分解しやすいともいわれていて、翌日まで残ることはないですね。
良いですね! 飲みたくなってきました(笑)。
ガスさん:風邪を引いたときにも飲んでいます。煮出したルイボス茶に生姜やシナモンを合わせて飲むと、体がポカポカしてきます。食欲がないとき、食べすぎ飲みすぎのときにも、スッキリするのでオススメです。あとこれは簡単に真似できないかもしれないけど、私は毎日ルイボス風呂に入っています。余った茶葉をネットに入れてお風呂につけるだけ。お茶がシミにならないように、自宅の浴槽は黒にしたくらいです(笑)。
毎年1月~4月の収穫期には現地に足を運び、生産者とのコミュニケーションを続けているというガスさん。近年はルイボス茶の認知が世界中で高まっている一方、供給が追いつかなくなる可能性もあるそうです。「繊細な植物で悪天候に弱いので、栽培も難しい。いまだに南アフリカでしか生産されておらず、この土地の環境だからこそ育つ貴重なお茶と言われています。母国の名産として、これからも多くの人に届けられるように努力していきます」と話してくださいました。
南アフリカ・セダーバーグ地方での栽培の様子。海抜450メートル以上の高原地帯であり、冬は0℃、夏には48℃にまで気温が上がるなど、非常に特殊な環境で育つため、世界でこの地域でしか栽培の成功事例がないといわれています。
お茶だけじゃない! 一風堂のルイボス派生メニュー
そんなルイボス茶を基にしたメニューが、実は一部の一風堂で誕生しているのをご存じでしょうか? ルミネエスト新宿店では、食後のデザートとして開発した「ルイボスティープリン」が女子に大人気。甘さ控えめの濃厚なプリンにルイボス茶がほんのり香ります。また、二子玉川ライズS.C.店など4店舗限定で展開しているルイボスフローズンは、フルーツとルイボス茶の風味を掛け合わせたカラフルなフローズンドリンク。一風堂では珍しい(?)、“インスタ映え”するメニューとしても注目を集めました。
女性のお客様が多い「ルミネエスト新宿店」の人気スイーツ。ほんのりとした甘さが口の中で広がります。
一部店舗で導入しているルイボスフローズン。ルイボス茶に、季節ごとにフルーツやチョコレートを組み合わせています。
さらに、一風堂のおみやげシリーズ「おうちでIPPUDO」のメニューとしても、新パッケージにてティーバッグの茶葉が登場しています。こちらは一部店舗および一風堂のオンラインストアで購入できますので、ぜひご自宅でもルイボス茶ライフを楽しんでみてはいかがでしょうか?
2017年9月から登場した新パッケージ。煮出し用のティーバッグが15包入りで432円(税込)です。
クリントン・ガスさん
ルイボス・マーケティング・リミテッド代表。原産国・南アフリカ共和国の自然の恵みをいっぱいに受けて契約農家で栽培したルイボスを、徹底した品質管理のもとでルイボスティーとして製品化し、日本へ輸入・紹介。各飲料メーカーへ原料供給を行うほか、卸売・販売なども手がける。
http://www.rooibosmj.com
WORDS by KOU MAESONO
前園 興
出版社、編集プロダクションを経て、2011年に力の源ホールディングス入社。一風堂を始めとした社内ブランドの販促企画や、広告物の制作ディレクションに携わる。一風堂の各種SNS運用や、ウェブマガジン「IPPUDO OUTSIDE」の編集も担当。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?