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「布マスク2枚配布」 冗談のようで、意外と合理的な理由

※最初に言っておきます。政治的な意図は取り扱いません。

ネットではアベノマスクで大炎上中だが、有事の際でも冷静さを保ち、思考停止は避けなければならない。(ネーミングセンスは天才的だと思った。)
政府の対応が必ずしも正しいわけでもなく、時には間違った政策を推進しているときもあるだろうが、全てが間違っていると思い込み、何も考えずに批判するのはお門違いではないだろうか。
猿は喚くことしかできないが、人間には理性と知性があるのだから。
今回で重要なのは選択と集中、そして目的と目標だ。

新型コロナとの戦いにおいて、目的は各国揃って「死亡率の最小化」だとみてもよいだろう。国家の人口に対する、新型コロナ感染者数の死亡率をどれだけ減らせるかが国家の仕事と言える。
そのためには、医療崩壊の阻止をしなければならない。そしてそれを行うためには、急峻な感染者のピークをできるだけ遅滞させ、穏やかな丘にすることで、急激な重症患者の増加を防ぐ必要がある。医療が崩壊すれば重症患者を救うことができなくなり、死亡率が上がってしまうからだ。また、重症化率は10%と言われており、感染者が増加すればするほど、比例して重症者も増加する。しかし、重症患者を治療するためのICUなどの設備、そしてこの設備を運用して治療する医療従事者は無制限に確保することは不可能だ。また、新型コロナ以外の医療も平時と同じように継続していかなければならい。そしてこの医療従事者などを防護する肝心なマスクの生産は間に合っておらず、増産するにも、企業の生産ラインが整うまで時間がかかる。しかし、医療用マスクは医療従事者や感染者、感染時の重症化度の可能性が高い高齢者(施設など)などに優先的に絶対数を確保しなければならない。量産体制が整ったとしても、優先順位の高いところに企業や政府が確保し配布するため、国民全体に行き渡るまで時間がとてもかかる。
そのため、布マスクの配布に踏み切ったと見るべきだろ。医療用マスクは使い捨てだが、布マスクは洗剤で洗うことで再利用可能なことから、急激に拡大しているマスク需要に対応するうえで極めて有効な手段だと言える。なぜ布マスクなのかと疑問を持つ方もいるだろうが、布マスクは医療用や微粒子用マスクほど効果的ではないが、限定的な保護効果があり、作成が簡単なため迅速な供給がしやすためではないだろうか。
そして感染爆発(オーバーシュート)の抑制にある程度の効果を発揮できると見込んでのことだろう。感染者の中には無症状者が一定数出るため、自分が感染しているかが分かり難いことがあると言う。マスクの1番の役割は、飛沫感染の防止であり、感染者がウイルスの含んだ飛沫を飛散さないようにすることで感染を防ぐことにある。飛沫が飛散することで、公共物に付着し、触れた者が口や鼻を触ることで接触感染に繋がるのである。その次の役割として飛沫からの防護があるわけだ。新型コロナウイルスの潜伏期間は2週間と長く、感染しているかが分かり難い側面がある。そのため一人一人が飛沫感染を防ぐ心がけをすることが大切になってくる。そして感染爆発を防ぐことが医療崩壊を防ぐことにも繋がるためマスクの着用が重要なのだ。アメリカの疾病対策センターは、新型コロナウイルス対策でマスクは不要という従来の見解を修正し、着用を勧める新たな指針を発表するなど、世界でもマスク着用の動きが見られるようになってきた。

政府は「3月は6億枚を超えるマスクを供給した。4月には1億枚を上積みすることができる見通しだ」と発表したが、未だに店頭の棚にはマスクはない。それもそのはず、日本の総人口は約1億2千人、東京都だけでも約1,400万人もの人が生活している中で、使い捨てマスク7億枚は少なすぎるからだ。1日1枚マスクを消費していたら、総人口比では7日も持たず、都内だけでも50日が限界だ。そして、7億枚のマスクは優先的に回すべきところに政府が買い取り配布されるため、市場に出回るのごく一部とみていいだろう。だからこそ再利用可能な布マスクが今必要とされているのではないだろうか。

マクロな視点で見ると、死亡率の最小化という目的があり、それを達成するための医療崩壊や感染爆発の阻止という目標がある。また、医療用マスクという重要リソースを医療従事者などの必要とされている一部の人に優先的に配布する、これが選択と集中となる。多くの国民の生命を救うという視点でみれば合理的な判断だと言えるのではないだろうか。

布マスク2枚配布に対する批判ではなくて、一住所あたりなぜ2枚なのか、足りない世帯への対応はどうするのかなどに突っ込んだ方が建設的である。また、政府はなぜ今、布マスク2枚配布をするのかを、懇切丁寧に、猿にも分かるように説明することが義務でもあり、重要課題ではないかと思う。
燃えた理由には、現金給付よりも前に発表されたからとも感じられる部分もあったが、国会などである程度決まった内容からは随時発表しているにすぎないのだから、もう少し落ち着いて視野を広げて見るべきだろう。
そしてなにより、無駄に不安を煽り、炎上させて儲けようとしているマスゴミに踊らされてはならない。


最後に、私の好きなガンダム作品の名言で締めようと思う。
「君も将校だろう。だたの兵でないのなら大局的にものを見ろ。」
(機動戦士ガンダム 0083 STARDUST MEMORY  / アナベル・ガトー)

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