2016年一橋大日本史第2問答案例

1職工事情。産業革命期の労働者の労働環境の実態を調査したもの。2少年・女性の就業時間の限度を12時間として、深夜業を禁止したが、製糸業は14時間、紡績業は期限付きで深夜業を認めていたうえ、工場法の適用範囲は15人以上を使用する工場に限られるなどの問題点があった。3繊維産業。1880年代後半以降、日本では産業革命が本格的に進展したが、その中心は紡績業や製糸業に代表される繊維産業で、造船業を除き、重工業の発展は欧米諸国に比べて不十分で、原料の鉄鋼や重工業製品は輸入に頼っており、工業生産額も軽工業の方が多かった。主要な輸出産業である綿紡績業や数少ない外貨獲得産業である製糸業は女性や年少者など安価な労働力に長時間労働を強いることで利益を確保しており、工場法制定で工場労働者の待遇改善が進むことにより、繊維産業の国際競争力が低下して輸出が減少し、元々、赤字だった日本の貿易収支がさらに悪化することを政府は懸念した。(400字)

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