2002年一橋大日本史第2問答案例

明治期の日本の産業革命は軽工業を中心に本格化した。産業革命の端緒となった綿紡績業では蒸気力を利用した機械製生産が大工場で行われ、綿糸の国産化に成功し、輸出産業となったが、原料の綿花と紡績機を輸入に頼ったため、輸入超過に拍車がかかった。綿織物業は紡績業発展の影響で、日露戦争後に大紡績会社は輸入した大型力織機、農村では国産の小型力織機をそれぞれ利用し、機械製生産を進めた。製糸業は欧米の技術を参考にした国産の器械製糸による生産が養蚕地域の小工場で展開された。原料の繭を国産とする製糸業は数少ない外貨獲得産業として貿易収支を改善する役割を担った。重工業では、日清戦争後、政府の保護下で造船業が発展し、官営八幡製鉄所の設立により、鉄の国産化を目指したが、国内需要を満たせず、輸入に依拠した。農業は輸入綿花におされ、綿作は衰えたが、生糸輸出の増加を背景に、桑の栽培や養蚕が盛んとなり、零細農家の家計を支えた。(400字)

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