東京外語大日本史2020年論述答案例

大問1問9
答案例
日本は米英がアジアや世界の支配を目的として戦争を起こしたとみなし、日本及びアジアの自存自衛のための戦争であり、かつ、アジアを米英の植民地支配・白色人種優位の状況から解放するための戦争であるという見方を示した。戦局の悪化を受け、大東亜会議を開催して、各民族国家の独立と平等な国家同士の協力により、大東亜共栄圏を確立することを旨とする大東亜宣言を発表して、占領地域の戦争協力を確保しようとした。一方、アメリカは日系人を戦争に協力させることで、日本の作り出した人種戦争という見方を否定し、ファシズムを打倒してアジアの平和を勝ち取り、人種に関係なく、よりよい世界を構築するための戦争であるという見方により、戦争を正当化しようとした。また、カイロ宣言では朝鮮の独立、満州・台湾・澎湖諸島の中国返還、南洋諸島のはく奪など、日本の植民地・権益に関する処分の方針を決め、日本の抑圧化にあった諸民族の解放を決定した。(399字)

太字は指定語句。
従来の問題傾向と異なり、資料読み取り型の論述問題が出題された。与えられた資料文から日本側とアメリカ側の見方を抽出する作業と、指定語句を踏まえ、必要な知識を引き出す作業とが必要になる。大東亜宣言は資料文の文言に従って、大東亜共同宣言とはせずに記述した。


大問2問7
答案例
 幕末期は疫病治療を神仏祈願に頼っていたが、1870年代には否定され、医薬処置に頼るようになった。1880年代には衛生への関心から下水道の整備が始まり、1890年代には疫病対策として細菌学研究への関心も高まりつつあった。(100字)

太字は指定語句。

大問1同様、100字論述も資料読み取り型であった。テーマとしても一般的な受験日本史では扱わない内容であるため、与えられた資料から疫病に対する人々の意識を抽出する作業が重要になる。また、その際に史料A~Cを時期区分する意識が重要である。

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