ワンダー 君は太陽

すばらしい映画!
多様性を許容する社会。見た目で人を差別しない。いじめない。もちろんそれは大事なことだが、この物語の主人公である特別な存在の周りにいる人たちだって、それぞれの苦悩がある。それらも描き切る。全編を通じて、どの立場も理解し許容し敬意を示す心温まる作品になっている。

ところで、舞台はアメリカの小学校なのだが、カフェテリアでサンドイッチを食べるシーンだったり、黄色のスクールバスで通うシーンだったり、野外学習のキャンプだったり、どこか憧れる海外の生活がそこかしこに感じられる。これらは、この映画の主題ではないのだが、なんかいいなあと思わされる。
主人公のオギーの家の雰囲気もいい。台所にはアメリカらしいミキサーやレンジなどの家電。これらも、なんかいいのだ。
この「なんかいい」雰囲気に潜んでいる懐かしさはなんだろうと考えると、子どもの頃にNHK教育テレビで見た、夕方の海外ドラマを想起するからだろう。
アルフ、ドギー・ハウザー、フルハウスなど。中でももっとも印象に残っているのは、「素晴らしき日々」だ。ネットで調べてみると、舞台は1968年ごろというから、ベトナム戦争の時台。アメリカ国内では反戦運動が盛り上がり、若者たちも声を上げていた。アメリカの青春ともいわれる時代だ。
そういうことがどれだけ描かれていたかはもう覚えていないが、中学・高校あたりの世代の主人公の青春物語には、アメリカの日常が描かれていた。その雰囲気が、子ども心になんかよかったのだ。

海外作品に垣間見る生活様式が「なんかいい」と思うかどうかは人それぞれだが、日本とは違うライフスタイルをうかがい知るのは大事だ。それも多様性を理解する1つだと思う。特に、日本の学校しか知らない若い世代にはぜひ感じてほしい。
自分の国に誇りを持つのは、どの国の人でも同じこと。自分の国が優れていると個人が思うのは自由だが、他人に押し付けることでもない。
日本以外の他の国の文化を知ることが、国際的な枠組みで考える多様的思考の最初の一歩だ。

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