#47 【裏ワザあり】商標登録までにかかる時間
こちらのnoteの内容は音声でもお聞きいただけます↓
https://stand.fm/episodes/603b0a400ec063913568e9f0
2回前の配信で、商標登録までの流れについてお話しました。
今回は商標登録までどれくらい時間がかかるか?
について詳しくお話いたします。
★通常は1年ちょっと
最初に結論から言いますと、
今現在は、「出願手続をしてから1年くらい」経ってから、
審査結果が通知されます。
これは、権利を取りたい範囲の広さや、
分野によって変わります。
でも大体1年ちょっとくらいを目処にとお伝えしてます。
結構長いなと感じる方、多いんじゃないかなと思います。
今の時代、ビジネス環境は1年で目まぐるしく変わるので、
お客様の中には、審査結果が出る頃には
「この商標は登録しないことにしました」
とお知らせされる方もいらっしゃいます。
★年々長期化
ただ、この審査期間は、固定されたものではありません。
つい3~4年前は6~7ヶ月で審査結果が出ていましたし、
その前はもっと早く審査結果が出ていたこともあるので、
審査期間は、年々長くなっている傾向なんですね。
なぜこんなに長くなっているかというと、
年々出願件数が増えているからです。
流石に昨年はコロナで減りましたが、
1日あたりだいたい500件近く出願されますので、
当然出願してしばらくは「審査待ち」の状態になります。
出願したらすぐに審査が開始されるわけではないんですね。
また、審査でストレートに「登録査定」の判断が出れば良いですが、
方式審査で引っかかったり、
実体審査で「拒絶理由」が通知されたりすれば、
さらに時間がかかります。
この点は要注意です。
ちなみに、審査に着手するまでの期間の目安は、特許庁のHPにて公開されています。
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/status/cyakusyu.html
★審査を早める裏ワザ
先ほど、審査に1年かかると言いましたが、
実は審査を早める裏ワザ(実際は表ワザですが)が2種類あります。
①ファストトラック審査
と
②早期審査
です。
①ファストトラック審査は、審査の速度を2倍にして、6ヶ月程度にできる方法です。
条件は、
・商標を出願するときに指定する商品やサービスの項目を、所定のものにすること
と
・審査が始まるまでに、その商品やサービスの補正を行わないこと
です。
特に別途手続が必要ということはないので、
手軽に利用できます。
欠点としては、指定商品やサービスの記載が限られるので、
きちんと事業の範囲をカバーできないことがあったり、
事業との関係で権利範囲がわかりにくくなりやすい、
といった点が挙げられます。
②早期審査は、なんと審査の速度が約6倍の2ヶ月程度にできる方法です。
かなり早く審査してくれる点で優れた制度ですね。
早期審査が認められるパターンは3つあるのですが、
説明がやや複雑なので、詳細は割愛いたします。
欠点としては、いろんな条件を満たさなければ認められませんし、
特許庁に対して請求するための手続も必要になります。
少なくとも、「出願した商標をすでに使っている」ことは必須になります。
つまり、それだけ早く審査してもらう必要性がないとダメだし、
審査する側としても、早く審査しやすい出願内容であることが求められるんですね。
①ファストトラック審査も、②早期審査も、
どちらも特許庁に支払う費用はありませんが、
弁理士にお願いする場合は、手数料がかかることもあるのでご注意ください。
以上、理想としては、
商品やサービスをリリースするタイミングで、
商標登録が取れていて欲しいのですが、
どうしても審査期間がしばらくかかってしまうという点には、
くれぐれもご注意ください。
また、お急ぎの事情がある場合には、
2つの裏ワザである、①ファストトラック審査と②早期審査を検討されてみてください。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。