FM 5-0 序論(2)

 継続中の作戦から得られた教訓、モジュラー部隊への改編、陸軍及び統合ドクトリンにおける最近の主要な改訂は、FM 5-0(2005)に基づいている。更に、陸軍及びその共同体は、指揮官や幕僚その他が複雑な問題を理解するのを助けると共に、それを解決もしくは調整するための幅広いアプローチを発展させてきた。これらのアプローチについては FM 5-0 におてデザイン(Dsigne)というかたちでまとめた。

 計画及び計画による成果物の細部を踏襲すると共に、このFM 5-0 に記述するマニュアルの範囲を、すべての作戦プロセスにおける諸活動(計画、準備、実行、評価)に関する指揮及び統制におけるドクトリンを含むものに拡張する。

 他の主な変更事項は下記のとおり。

・作戦指揮におけるフルスペクトラムオペレーションズ(攻勢、守勢、安定化、民間人による支援の要素を考慮)をより重要視した内容とした。

・戦場における作戦実行システムについて、従来の概念に基づく指揮及び統制に関する技術及び成果物に関する修正。

・より良いデザイン、フルスペクトラムオペレーションズ、戦闘機能、5つの情報処理業務のための軍事的意思決定プロセス及び作戦命令に関する修正。

・新たな軍事用語についての追加、修正、削除。

 この FM 5-0 は、作戦プロセスにおける諸活動について、下記のとおり、各章により構成される。付記において戦術、技術、軍事的意思決定プロセスの手順、部隊指揮の手順、作戦計画及び命令の手順について記述する。

 第1章は作戦プロセスの基礎について述べる。この章では作戦の性質全般について議論する。作戦プロセスを通じて、如何にして構築し、維持し、状況の理解を反復するのかということが、効果的な指揮及び統制の訓練において基本となる。また、作戦プロセスにおける諸活動と、戦闘指揮における指揮官の作戦プロセスの運用方法との間の関係性についても述べる。さらにまた、継続的な評価についても述べる。

 第2章は計画(Planning)の基礎について焦点をあてる。計画は、作戦プロセスにおける指揮及び統制や継続的な諸活動において極めて重要な要素である。ここでは計画について定義すると共に、戦争の異なる階層における計画について述べる。また、効果的な計画の重要性について記述する。ここでは、効果的な計画に関する基礎について述べると共に、計画及び命令における重要な構成要素をどのように発展させるのかということについて記述する。

 第3章はデザイン(Designe)の実施について述べる。ここでは、作戦環境に関する理解、組織に関する問題、より細部の計画に至るためのデザインコンセプトの展開について、指揮官、幕僚、その他関係者に有用となる方法論について述べる。この章では、デザインコンセプトの前提となる作戦環境や関連する理解、背景にある論理が変化した時に、問題を組み立て直すための要求事項について焦点をあてる。

 第4章は準備(Preparation)について述べる。準備とは、部隊が計画を受領してから実行に至る間にとる行動である。ここでは司令部やあらゆる部隊において、部隊の作戦遂行能力をさらに向上する諸活動について述べる。

 第5章は実行(Execution)において指揮及び統制の行使に関するドクトリンについて述べる。ここでは実行の基礎を習得すると共に、指揮及び現行作戦への適用における指揮官及び幕僚の役割について述べる。また、実行における評価及び意思決定について記述すると共に、迅速な意思決定及び同調プロセスについて述べる。

 第6章は評価(Assessment)の基礎及び目的の定義について述べる。ここでは評価プロセスについて述べると共に、効果的な評価について指導する。

 付記は下記のとおり本章の内容を補足する。付記Aは戦闘指揮所の組織と運営について記述している。付記Bは軍隊における意思決定プロセスについて記述している。付記Cは小部隊指揮手順(Troop Leading Procedures)について記述している。指揮官の行う計画手順と、作戦計画及び命令の書式は付記E、付記Dのそれぞれに記述している。付記Fは、任務編成の展開のための書式を提供する。付記Gは評価の方法について記述している。付記Hは正式な評価計画を展開するためのガイドラインについて記述している。付記I及び付記Jには、指揮の演習のための技術、軍事的なブリーフィングの展開についてそれぞれ記述している。

 本マニュアルは、作戦における指揮及び統制の実行について学ぶ第一歩となる。また、陸軍指揮官が作戦において実施する計画、準備、実行及び評価について、参考書及び理論的根拠となるよう共通の枠組みを本書において制定する。指揮及び統制の指導のための共通のアプローチ及び用語定義を本書において制定することで、ドクトリンは作戦を通じて相互理解や有効性の向上を促進する。本書においてドクトリンは、既に定着したルール以上の行動を促すための手引きとなる。本書が指揮官及び兵士に権威的な手引きとして提供される一方で、現実的においては環境に応じた独創的な応用を求めていることに注意されたい。作戦において、効果的な指揮官はいついかなるときも、過去の経験に囚われることなく、ドクトリンを理解し、訓練する。

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