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企業のテレワークの実施状況などを調査してみた (3)

 連載第3回(最終回)では、テレワーク環境におけるセキュリティの不安などについて紹介します。

1.  テレワークでは、私物端末がウイルス感染(39.1%)したり、情報漏えいさせてしまう(34.7%)ことに不安を覚えている人が多く、その一方で、不安に思わない割合も同程度(34.1%)

3_図1

 相対的に不安の割合が低いのは「自宅のルーターのウイルス感染」「自宅のネットワークの盗聴」でした。その理由として考えられるのは「①急速なテレワークの導入により自宅のルーターやネットワーク環境まで配慮が行き届いていない」「②自宅の環境に対する注意やルールの取り決めが追い付いていない」可能性がある、と調査担当者は考察しています。被害を未然に防ぐための対策には、WPA2の採用、SSIDの設定、MACアドレスのフィルタリング、ルーターのファームウェアのアップデートを漏れなく行う、などがあります。

 さて、これ以降は、取引先の行動変化と不安に思うことに関する結果を紹介します。ここでの取引関係とは、調査対象であるIT企業と取引のあるユーザー企業のIT担当者のことです。

2.  オンライン会議が増え、取引先の訪問回数が減った

3_図2

 取引先からの訪問回数が減り、その代わりに(正確には相関関係は明確になっていませんが)オンライン会議が増えたものと見えます。また、直接の面会は減ったものの、契約書のやり取りがオンライン化したと回答した割合はわずか11.9%でした。ビジネス上の手続きの変化はまださほど起きていないようです。このような取引先の行動の変化に対してどのように感じているかを聞いた結果が次の図です。

3. 取引先とのコミュニケーションがとりづらくなったと感じる割合が42%

3_図3

 取引先企業の行動の変化で、コミュニケーションがとりにくくなったと感じる人の割合が42%で、最多でした。直接訪問の代わりにオンライン会議が増えても、コミュニケーションは必ずしも十分ではないことをうかがわせます。

 簡単ではありますが、調査結果から一部を抜粋してご紹介しました。
今回は企業・組織に属する個人に対して実施した調査結果をご紹介しました。この調査は、企業に対しても行っており、その結果を1月28日に公開しました。先程、ルールの取り決めが追い付いていないのでは、という考察がありましたが、このルールの取り決めや周知・運用に関する企業側の悩みも見えてきますので、この機会に是非ご覧ください。

https://www.ipa.go.jp/security/reports/economics/scrm/soshiki2020.html


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