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ケーキ・バイキングにみた夢

先日、初めてケーキ・バイキングというものに行った。甘いものが大好きでずっと興味はあったのだけど、あの華やかな場に自分ひとりで乗り込むには勇気がいる。女性でいうひとりラーメン、特に二郎系などのお店に入る心境と似ているだろうか。

そこで女性の友人に付き合ってもらい、無事にデビューを果たすことができた。いやはや、すごかったです。

普段、甘いものというのは多量の摂取を躊躇(ためら)う対象になりがちで、いわゆる食事が"主"だとするなら甘味はあくまでプラスα、"従"の立場であることが多いのでは。それらの関係が見事に下剋上を果たす...そんな現場に立ち会えたという衝撃。ケーキ・バイキングに本能寺の変を重ねた人間は、ケーキ・バイキングの歴史は長しといえど今までに自分しかいまい。

僕が行ったケーキ・バイキングには、種々のケーキやムース、ベルギーワッフルなどがとても可愛らしく並べられている棚にそっと、塩っ気のある軽食も陳列されていた。甘いものが好きで好きでたまらないという人にとっては必要ないのかもしれないが、この塩っ気のある食べ物こそが、甘味を楽しみ続けるには大切なんだ。中毒性ガルボ-じゃがりこ症候群をしばしば発症する自分には、骨身に沁みてわかること。

陳列されていた甘味と軽食の数は、おそらく7:3、いや8:2くらいの割合だっただろうか。このバイキングの趣旨からすると、その比は当然のことのように思える。

その日の僕らは昼食をとる機会を逸してしまっていて、変な話、昼食とおやつを兼ねるような胃袋の状態で参戦したのだった。しかし当然、自分たちのお皿に載せられていくものといえば、陳列棚の割合よろしく大半は甘いものになっていく。(載せられていく、などと言っていますが、ちゃっかりしっかり、ここぞとばかりに自分で載せている)

甘い物を好きなだけ食べる。そして口が塩っ気を欲していると思えば軽食をつまむ。皿が空く。ふたたびバイキングへと席を立つ。たくさんの甘い物と、少量の軽食。そして夢のような現実は繰り返されていく...。

ハッと、気がつく。

何だこれは。もはや、お腹を満たすという役割すらも、すべて甘味が担っているではないか。塩気のある料理は、もはや甘味の摂取を継続するためだけの促進装置としてその役割を全うしているだけ...。もはや世界の中心にあるのは食事ではなく、たゞデザートであった。...そうか、これをパラダイム・シフトというのか。

天動説がまかり通る世の中でただひとり、地球が動く真実に気がついてしまったニコラウス・コペルニクス。おそらく彼は、今の僕と同じような心境であったに違いない。太陽とはデザートであったのだ。いつもそこにいたのだ。食事など、地球の如く太陽を周回するひとつの惑星に過ぎない。僕はいま、ケーキ・バイキングに宇宙をみたのだ。これは革命的な事件だ。エドヴァルド・ムンク「叫び」さながらに僕は、自然を貫く果てしない叫びを聴いた。

「ケーキ・バイキング、大好き」(ハズキ・ルーペ風に)

...僕があの場と時間をどれだけ満喫したのか、その悦びを少しでも斟酌(しんしゃく)して頂けたらこれほど嬉しいことはない。

三連休の最終日。よい休日をお過ごしください。



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