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蛮族のためのアニメ月評

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毎月第4月曜の19:00にアップしている声優/アニメに関する評論集です。
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#ラブライブ

高咲侑と伝道する12人の使徒:TVアニメ『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第2期が示したアイドルアニメの新常態

※本記事は2020年12月28日に公開した『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第1期評の続編です。前回記事も併せてお読みください。 はじめに TVアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』(以下、『ニジガク』と略称)は「アイドルアニメ」ではない――筆者はそのように『ニジガク』第1期評を書き出した。しかし、筆者は『ニジガク』の真の実力を見誤っていたのかもしれない。2022年4月から6月にかけて放送された『ニジガク』第2期は「アイドルアニメ」の新常態を示

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』が曝け出す対立のメルトダウン:「沼地」のスクールアイドル・序論

はじめに TVアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第1期は「アイドルアニメ」ではなかった。それに比べて、TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』(以下、『スーパースター』と略称)は「アイドルアニメ」ではあった。ただし、「アイドルアニメ」としては、どうしようもなくダラクしていた(*)。  東京オリンピック・パラリンピックの中継の影響で、NHK教育テレビ(Eテレ)での放送終了が2021年10月17日にずれこんだ『スーパースター』は、『ラブライブ!』シリーズ

TVアニメ『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』が描いた侑と9人の絆:ある僭主の「百日天下」とその手口

はじめに TVアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』(以下、『ニジガク』と略称)は「アイドルアニメ」ではない。  2020年10月期のTVアニメにおける二大「勝ち組」コンテンツは、間違いなく『ニジガク』と『D4DJ First Mix』だ。株式会社ブシロードの創業者である木谷高明は、日経クロストレンドのインタビュー記事(2020年10月23日公開)の中で、「SNS時代、消費者は勝ち組にしかくみしない」というマーケティング戦略を打ち出している。木谷は次のように言