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父と話す

事務所の友人宛てに来た封書。
中身は父の日のカードと志(お小遣い)。
父の日のプレゼントを開ける姿を見てたら、胸がジワンとした。
いい娘さんだなあと思って。

今日は父に会った最後の日。

顔を見せて、いつものように右手を上げて「やあ!」としても、反応が薄くて、私のことが分かったのか分からなかったのか……。
見舞いに行ってすぐに昼食の時間になり、ペイスト状のランチが運ばれてきた。
食べさせてくれる若い男子の看護師さんが、「食べるだけで体力を消耗するので、30分が勝負なんですよ」と言っていたけど、父は、すごくよく、張り切って食べている感じだった。
「すごいですね~、完食ですよ!」
看護師さんに言われて、父はかすかな笑みを浮かべたように見えた。

あれ、私が見てたから、頑張って食べたんだと思う。
あれ、父の最後の食事。
翌日は病院を移って、父は点滴生活になった。

生前の父に会った最後の日。
毎年、〇年前の数字が増える。
夢に出てきた年もあったね。

父が好きだった珈琲を淹れて、線香を立てる。
手を合わせて目を閉じて、話をしだすと、肩から背中にかけて熱くなっていくのを感じた。

元気かな?
元気も何もない?

最後はいつも、「ごめんね、ごめんなさい」と言いたくなる。
そして終わりは、「ありがとう」。


《P24》 🌐🌎地上綴り🌎🌐


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