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街の演出

都心を歩き回るときに、よほど撮る気で出かけない限り、わざわざカメラを持っていくことはない。
スマホのカメラで間に合う時代。

長丁場で移動していた昨日は、荷物にはなるのを覚悟でバッグにカメラを忍ばせていた。
何となく、気まぐれに、どういう風の吹き回しか。

撮ろうと思って動いてないと、カメラを持っていても撮らない。
カメラを取り出すのが「わざわざ」という気がしてしまうから。

知人との待ち合わせに少し時間が空いた午後。
わざわざ撮ってみたのは、
舗道添いの狭いテラスに、並べられていたグラス。

舗道を往く人たちに近いテーブルで、わざわざ食事する人はまずいないだろう。いるのかな?

演出としてのセッティングなのか、お客さんを座らせるためなのか、意図は不明だけれど、そのテーブルを遠目にでも見つけてしまったのに撮らないのはもったいないでしょ?と、テレパシーを発するように、グラスが立っている。

街の演出に目が留まり、テーブルの整ったセッティングからの「撮りどき」テレパシーを受け、わざわざバッグからカメラを取り出した。

都心は人通りが多いから、カメラを向けるのに勇気が要る。タイミングも難かしい。

この手の写真は、なかなか撮れない記念に。

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《P14》

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