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悪気はない

昼の1時を過ぎるとヤ●ルトさんがやって来る。

 ピンポーン!

かれこれ2年くらい前になるだろうか。
「ご近所なので、ご挨拶に伺いました。
 明日から寄らせていただいてよろしいでしょうか?」
具体的にどういう意向なのか読み取れなくて、うっかり「ああ、はい」と返事をしてしまってから、ヤ●ルトさんがお休みでない限り、事務所に立ち寄ってくれる。

ヤ●ルトのレディさんは、見るからに、いい人っぽい。
「今日はいいです」と断っても悪い顔一つしない。
ただ、こっちが悪いと思うから、つい買ってしまう。
ジョ●とか、黒酢ドリンクとか、他不満(←変換したらこうなったタフマン)とか。
だけど、ときどき、顔を出すのも負担な日がある。

仕事中の思考を中断されると、思わず口を突いて出る。

 うるさいよ。

もちろん、そのままレディさんに当たったりはしない。
レディさんが悪いわけじゃなし、こっちも悪気があるわけじゃない。

レディさんが去ると、次は、トントン!トントン!
ピンポン!チャイムがあるのに、鳴らさずにドアのガラスを叩いてる。
宅急便のお兄さんが請求書を持ってきた。

暫くすると、今度は凶暴なヤツがやって来た。
ガチャ! ガチャガチャ、ガンガンガン!

鍵、閉まってるっつうの。
いきなりバーンっとドアを開けて飛び込んで来る人がいるので、この事務所は内鍵をしている。
突然に入ってきて、中をキョロキョロ見回して
「あれ、間違えた……」
と腑に落ちない様子で出て行く訪問者がたびたびあった。
こちとら、びっくりしちゃった落とし前はどうしてくれんの!と思う。

強引にドアを開けようとしていたのは、紙のリサイクル回収屋さん。
出てみると、ぜんぜん悪気がないのが分かる。
イラついていたのでもなく、フツーにドアを開けようとしただけらしい。
「どうも! また、よろしくお願いしまーす」
フツーに感じよく出て行った。

こういうときに、セールスの電話があったりすると、なお最悪。

 いらないよ。

そろそろ夕方にさしかかる時間帯。
ようやく落ち着いてくる。
心の呟き「うるさいよ」も治まってきた。
はぁ。。。夕方じゃん。

頭を使っちゃったから、甘いもの必要。

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