10月13日

雑魚です。


突然だけど、インターネットで知り合った人の中で一人確実に自死していて、それを僕が知ったのはかなり後で、当時僕は何を思ったのだろう。少しずつ思い出に浸りながら書いていこうかな。

精神に障害を持った男の子だった。その子は僕と同じで双極性障害で、上がっているときはとても快活で、精神に何か欠陥を持っているようには見えない、とても明るい男の子。
だけど、落ちているときはTwitterには勿論、LINEも未読のまま一週間以上が経つことなんてよくあった。とても不安定で、執着心が強く、何事にも興味を持ち、とても歪な存在だった。
その子は何度も何度も自傷行為に頼り、自殺未遂を繰り返し、そして最期は自殺した。それを知ったのは、その男の子の家族が当時その人が使っていたアカウントにてTwitter上で「報告」という形で教えてくれたから。
当然それから更新されることはなく、ただ思い出へと変化した。
だけど、そのとき、僕は全然悲しくなかった。これっぽっちも悲しくなかった。
少しの寂しい気持ちと、とても無情な世界から、何一つ救うことのない神様から許されたんだな、と、おめでとう!と、たくさんの祝福をした。
そりゃ日常的に会話をしていた人。決して短い期間ではなく、長く沢山のことをお互い知りあった仲だったから、その人にしか埋められない僕の苦い夜だけが残り、虚しい気持ちになった。
でも、いつまでも、そんな気持ちでいるとその人に「お前らしくない」と「笑え」と怒られるような、呆れられるような、そして少しだけ笑われるような気がして、濁った夜を嗤った。
話すことないのに長電話、いつか会おうとまだ果たせていない約束、煙草の銘柄議論、その人の恋の話。思い返せば思い返すほどくだらない会話。もうほとんど忘れちゃった会話。声も思い出せないくらい色褪せてしまったその人との思い出。
色褪せてもなお僕の中には残り続けていて、僕の中で記憶として生き続けている。今日も、明日も、きっと僕が消えるその日まで生き続ける。僕のために生き続けてくれている。
しばらく会えなさそうだけど、必ず会いに行くよ。待ってて。

「死にたい」たった一言の助けの言葉に対して、どう答えるべきなのか、僕は未だに見つけることができていない。
大丈夫? と、聞くことは簡単で、それでいて、答えは明白。
大丈夫じゃないから死にたいんだよね、って。だからそれは間違っているような気がして、悶々とする。答えなんて、出なくてもいいのかもしれない。誰かに誰かを救うことなんてできないから。

たくさんしんどくて、とても辛くて、キツくて、悲しくて、追い詰められて、吐きそうで、痛くて、壊れてしまって、禁忌以外の何に許しがあるんだろう。
生きる、と言う罪を背負った僕達に与えられる許しなんてものは、死ぬこと以外の何があるんだろうか。
失敗を重ねる自殺は、まるで何者かに「まだ許さない」と囁かれているようで、今度こそ成功させると意気込んだ行為に裏切られる。
許しすら与えられず、苦悩の連続に嘆き叫ぶ僕らの号哭はどこにも届くことなく空虚へ消えるだけで、それも理解している上で僕らはずっと「終わり」を求め泣いている。
冷たい雫と化して流れ落ちるモノは、無意味に光っている。全部隠してしまいたいのに、隠すことすらできないのは何故だろうか。

自殺は逃避じゃない。苦悩の末に辿り着いた答えであり、一種の正解だと僕は思ってる。その答えがどれだけ悲しくても、僕が責めることなんてできない。だからこそ、ようやく君は楽になれたんだね、って。

そりゃ死後の世界なんてものを僕は見た事がないから、こうやって気楽に言えてるだけなのかもしれないけど、現実がこんだけシンドいならせめて死後くらい楽にさせてくれ。人がダメになるソファーならぬ魂があったまるソファーでゴロゴロさせてくれ。だって頑張ったもん。

あったかい死刑宣告を受け生まれ落ちた僕たち。とても悲しいね。爪痕を残しても、讃えられても、溢れんばかりの名誉に囲まれても、最後は死ぬ。なんも意味ない。生きることに意味なんかない。だけど、どうせ死ぬんだから、今はまだ惨めに生きようと思う。
この大きな牢獄の中で、節度ある自由なんてクソッタレな常識を中指を立てながら、どうせすぐ死ぬんだから、テキトーに嘲笑う。どうせ世界に処刑されるからその瞬間まで後悔も反省も何もかも残しながらズルズルと無様に這いずり回ってみてる。何の話?

現実でもネットでも、沢山の精神障害者と関わりを持った。どの人たちもちゃんと絶望していて、しっかり死ぬ準備を整えていて、あとは許しを待っている状態。死が怖くて泣いちゃって逃げ出してもいいと思う。次の自分に任せよう。今日の自分はちょっと無理だったかもしんないけど、次の自分ならもしかしたらやってくれるかも。気長に、短気に、待とう。
明日は僕の番が来るかもしれないし、これを読んでる誰かの番が来るかもしれないし、まあ、待とう。


おやすみなさい。

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